井坂信彦議員は25日午後、衆院厚生労働委員会で質問に立ち、安倍総理らに対し、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」(年金カット法案)の問題点をあらためて指摘し、年金制度の抜本改革を行うよう提案した。

 井坂議員は、「今回の年金カット法案で強化されるマクロ経済スライドで将来世代の基礎年金は3割減少する。現在も基礎年金だけで基礎的消費を賄える状況とはなっていないが、将来の年金水準では、将来世代の老後の生活は成り立たないのではないか」と質問した。安倍総理は、「2014年財政検証では、2043年の基礎年金額は2014年と比べておおむね横ばいで、購買力という点では変わらない。さらに高齢者も働いてもらい、収入と基礎年金がある状況を生み出したい」とやや外れた答弁。井坂議員は、「3割年金が下がっても、購買力は変わらないから将来世代の老後の生活は成り立つと答弁したのか」と重ねて質問したが、安倍総理は、「賃金に年金は追い付いていかない。現役世代がどんどん豊かになっていくことには追い付かないが、今の物価水準に対して6万3千円が確保される」「高齢者世帯の支出は世帯の所得に応じて変化すると思われる。必要な低所得者対策に取り組む」などと、質問の意味を理解していないのか、わざと答えないのか分からない答弁に終始し、3割減った年金額で将来世代の老後の生活できるのかどうかという点については最後まで答えなかった。

 井坂議員は、「2004年にマクロ経済スライドが導入された時には、将来世代の年金は15%低下にとどまる見通しだったが、物価は下がるはずがないという甘い将来見通しで制度設計した結果、将来世代の年金は30%下がることになった。厳しい経済見通しと、客観的な将来推計で抜本改革をする以外に、将来世代にまともな金額の年金を払うすべはない」と述べ質問を終えた。

答弁する安倍総理

答弁する安倍総理