民進党は31日午後、「加計学園疑惑調査チーム」の会合を国会内で開催。政府からは、加計学園の選定に至った明確な根拠を示す説明は一切なく、引き続き追及していくことを確認した。

 共同座長の桜井充参院議員は冒頭のあいさつで、「国家戦略特区をめぐっては、加計学園や国際医療福祉大学だけでなく、さまざまな問題がある。世の中の人々にどこに問題があるのかを知っていただきたい」と述べ、「次の内閣」会議で了承を得た上で、来週にも議員立法として特区廃止法案を参院に提出する考えを表明。同日の参院本会議で「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案」が審議入りしたとして、「安倍政権打倒に向け、全力を挙げ戦っていく」と力を込めた。

 会議では、これまで民進党から各省庁へ求めていたもののうち、特区で認められたが認可から10年で学部廃止となったLEC東京リーガルマインド大学をめぐる経緯・問題点と、獣医師法第22条に基づき届出があった産業動物診療に携わる獣医師の数(2014年)が示された。しかし、これまで再三にわたって説明を求めている、「なぜ加計学園が事業者として選ばれたのか」については、内閣府は「途中の議論の過程の情報については差し控えたい」との答弁に終始。「加計学園ありきで選定が勧められたのではないか」との疑念は払拭されず、チームとしてあらためて、選定のプロセスの説明とともに、その根拠となったデータ等を示すよう求めた。

 特に、石破国家戦略担当大臣時代に「日本再興戦略改訂2015」(15年6月30日閣議決定)で獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討に当たって示された(1)既存の獣医師養成でない構想が具体化し(2)ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり(3)既存の大学・学部では対応困難な場合(4)近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から検討を行う――の「4条件」を満たしていると判断した根拠を明確に説明するよう強く要請。この「4条件」を満たしていないままに「特区」で認めたことが明らかになれば、内閣府法第6条「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する」に違反するとも指摘した。

構造改革特区と国家戦略特区は別制度
構造改革特区と国家戦略特区の違い
石破大臣時代に閣議決定された「4条件」
獣医学部新設に対する自民党内の意見

 会合後に玉木雄一郎議員は記者団に対し、最近政府側が「民主党政権時代に(特区指定が)『実現に向けて速やかに検討』と格上げされている」と発言していることを受け、02年に創設された「構造改革特区」と第2次安倍政権が13年に創設した「国家戦略特区で」はまったく別制度であり、国・地方の関係や対象区域、決定手法などがまったく違うものだと説明。第2次安倍政権でも石破大臣時代には「4条件」が閣議決定され認められなかったものが、山本大臣になった一転して認められたことや、この点についての前川前文部科学省事務次官が「条件をクリアしているとは言えず、新設する明確な根拠がない」と発言していること、自民党内でも石破前大臣や麻生副総理が問題点を指摘している意見があることをあらためて紹介し、「副総理がこれだけ懸念してそれでも決めることができるのは、日本で一人しかいない。それは総理だ。総理、内閣府にはこの決定過程におけるより高い説明責任が求められる」と述べた。

※上記画像データはすべて「民進党加計学園疑惑調査チーム資料」