民進党は13日「オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム」(座長・玉木雄一郎衆院議員)を立ち上げ、同日午前に第1回会合を国会内で開催。文部科学省、スポーツ庁からヒアリングを行った。

 2020年東京オリンピック・パラリンピック招致をめぐっては、英国「ガーディアン」紙が裏金、贈賄疑惑を報じていることに加え、12日、フランス検察当局が日本の銀行から2013年7月と10月に東京五輪招致の名目で、国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸上競技連盟(IAAF)前会長のラミアン・ディアク氏の息子に関係するシンガポールの銀行口座に計280万シンガポールドル(約2億2300万円)の送金があったことを把握したとの声明を発表しており、同本部としてその実態を調査していく。

 山井和則国会対策委員長代理は、「安倍総理や菅官房長官は『問題ない』という趣旨の発言をしているが、フランス検察当局からは、送金があったことを把握したと発表している。これが事実であれば重大な問題であり、しっかり調査していきたい」とあいさつ。

 蓮舫代表代行は、「スポーツの祭典に黒い疑惑というのは絶対にあってはならない。菅官房長官は記者会見で『スポーツ庁に問い合わせていない』とか『クリーンだったと認識している』と言っているが、そうなら認識の根拠を示してほしい。組織委員会のページには今なおこの問題に対するコメントがないが、組織委員会自ら『こうした事実はなかった』と立証し私たちに説明するべきだと思う。私たちも関係者からヒアリングをしながら実態を調査していきたい」と述べた。

 スポーツ庁の担当課長は、この疑惑については今年1月、ロシアの組織的ドーピングを調べていた世界反ドーピング機関(WADA)独立委員会が公表した報告書でも指摘があった際に東京都、日本オリンピック協会(JOC)にそれぞれ確認をし、「そうした事実はない」との報告を受けていたとしたうえで、「今回のフランス検察当局の発表を受け、あらためて事実を確認中であり、そのうえでしっかり対応していく」「招致委員会は解散しているが、その責任者であるJOCと東京都に対し状況確認をしている。速やかに説明責任を果たすよう求めている」などと述べた。

フランス検察当局の声明

フランス検察当局の声明

 同チームは夜にも会合を開催し、JOCから説明を聴取した。JOC側は、同委員会会長で東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の元理事長の竹田恒和氏、元事務局長の樋口修資氏名による声明「東京2020招致活動に関わるステートメント」に基づき、当該会社に対し2013年7月と10月の2回にわたり約2億2千万円を支払ったことは認める一方、「業務契約に基づく対価であり正当な支払い」だと強く主張。しかし、JOCが「ご本人が鮮明に覚えていたので、その内容で記載した」と説明するように、この声明が樋口氏の記憶のみによるものであることことから、出席議員は契約書やその成果物に関する調査、樋口氏へのヒアリングを要請した。また、不法な行為に使われていた可能性も否定できないと指摘し、いかなる意図で使われたかについても調査を求めた。

 JOCは「これ以上調査する考えはない」と表明したが、JOCと東京都に調査を求めていたスポーツ庁は「どこに契約書があるのかなどを含め、説明責任は果たす観点から対応を考えていきたい」とした。

東京2020招致活動に関わるステートメント

東京2020招致活動に関わるステートメント