山井和則国会対策委員長代理は1日、定例記者会見を開き、消費増税の再延期や今国会で積み残された課題などについて見解を述べた。

1.消費税率引き上げの先送りについて

 政府が消費税率10%への引き上げを2019年10まで再延期することを決めたことについて山井代理は、「安倍総理の(18年9月までの自民党総裁としての)任期中には消費税増税をしないということは、つまり『消費増税ができる経済状況に自分の任期中には持っていく自信がない』という宣言、事実上の『アベノミクス失敗宣言』だ」と断じた。

 また、同日予定されている安倍総理の記者会見について、「安倍総理が『必ず2年半後には10%に引き上げる』と約束されるのかどうかを注目している」と述べ、発言によっては「消費税再延期会見」ではなく、事実上の「消費増税断念会見」になると指摘した。

2.年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用実績の公表に関して

 GPIFは5月31日に、今年3月29日と4月15日に開かれた運用委員会の議事要旨を公開した。GPIFの2015年度の年金運用実績については「5兆円の損失」との試算もある中、実績の公表日を参院選後の7月29日とされているため、民進党などは「損失隠し」だとして批判してきた経緯がある。

 今回公開された議事要旨から、GPIFの委員の中からも「7月29日の公表は遅い」との指摘が複数あったことが明らかになった。山井代理は「『5兆円の年金運用損失』『アベノミクスの失敗』を参院選前に発表したくないから、(公表を)遅らせたと言われてもしょうがない」と述べ、政府の対応を批判した。

3.甘利前大臣らの不起訴処分について

 東京地検特捜部はあっせん利得処罰法違反など疑いで告発されていた甘利前大臣と2人の元秘書について、嫌疑不十分で不起訴とした。この件について山井代理は、「多くの国民は納得しないのではないか。甘利前大臣は説明責任を果たしていない」と述べ、閉会中も引き続き、予算委員会の開会と、甘利前大臣らの証人喚問や参考人招致を求めていく考えを示した。

4.舛添東京都知事の疑惑について

 政治資金の私的流用など数々の疑惑が報じられている舛添都知事の問題について、党東京都連では「舛添知事公私混同疑惑追及チーム」を立ち上げ、本日16時に国会内で同チームを開く。これについて山井代理は、「舛添知事の疑惑の多くは国会議員当時のもの。民進党の都議と国会議員とで総務省にヒアリングを行うなどして論点整理をしていきたい」と述べた。

5.今国会での法案成立率について

 山井代理は今国会での法案成立率について「過去10年間で2番目に低かった」とした上で、「今国会は、もともとダブル選挙を狙った非常に政局含みの国会だった。そのために、結果的に法案の成立率が低くなり、政策議論がないがしろにされた。政府の責任は重い」と述べた。