野田佳彦幹事長は27日、自身が代表質問を行った衆院本会議終了後に国会内で記者団の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

 問 3年ぶりに本会議に立ったということだが、今日の答弁を振り返っての感想を。
 答 何でも反対という政党に対するイメージがあるようなので、それを払しょくするために先の通常国会でもたくさん法案を提出してきたので、あえて提案という言葉をたくさんつけながら我々の考え方を示すことを心がけた。もう一つ、これから本格的な論戦がいろいろな委員会で開かれていくが、TPP交渉参加、TPPの協定の問題についての議論の持ち方とか憲法審査会の議論の持ち方や陛下のお言葉を踏まえての対応の仕方とか、その前裁き的な役割を果たしたつもり。40分と限られた時間だったが、総理は喉の調子が悪かったようで、明快に感じたのは定数削減や中小企業の政策に触れたところで民主党政権の頃は倒産が多かったとか、あまり本質的でない部分でなんとなく感じたが、それ以外はあまり手ごたえを感じることはできなかった。今日の答弁内容をよく精査したいが、ものすごく気になった点がある。それは、これから皇室制度に関する議論を進めていくなかで、公務の負担を軽減するということを論点として定めてしまっていて、それだけで終えるような雰囲気を昨日の所信と今日の答弁で感じた。果たしてそれでいいのかと極めて疑問に思った。

 問 TPPに関して今国会承認の意向をあらためて総理は示したが、そのことはどのように考えているか。
 答 攻めるべきものを攻めて勝ち取ったのがどれだけあるか、守るべきものを本当に守りきれたのかという観点からすると現行の協定案はわれわれとしては反対せざるを得ない。その立場をあらためて強調させていただいた。急ぐ理由はない。今日、アメリカの大統領選挙の初めてのテレビ討論があったが、トランプは相変わらず反対で、クリントンもあらためて明確に反対と言っている。それで本当になぜ急ぐのかという根本的な疑問が改めて湧いてきた。

 問 総理は今国会で働き方改革を一つの目玉にしているが、働き方改革実現会議を今日スタートする。長時間労働の是正であったり、同一労働同一賃金は民主党時代から目指してきたところに合致するのではないか。
 答 ワードは合致するものが多い。今日も少し大串政調会長が触れたが、立ち位置の問題。経営している立場の人たちから働き方という問題に落とし込むやり方なのか、本当に働いている人たちの実情を踏まえての改革なのか。これからの論戦の中でだんだんと違いというものが見えてくるのではないか。

 問 憲法について。自民党草案を撤回しないと議論は進まないと野田幹事長は言っていたが、それに対する今日の総理の回答は、理解に苦しむと、取り下げを求めるのではなくて、自らの考えを示すことで建設的な議論になるという回答だった。これに対して受け止めを。
 答 われわれは自主憲法制定路線でないので、憲法を丸ごと変えた構想を作る必要はない。もちろん条文で今の時代に不都合があるとか、将来世代を考えた時に直した方がいいということを議論するのはやぶさかでない。自民党みたいに総論を基本としてそれで議論をしましょうというのは公明党も立ち位置が違う。そこは大事な議論で、いっとき自民党内で棚上げ論があった。二階幹事長はすぐには撤回しないと言っていた。「すぐに」という言葉が入っている。もう少し立ち位置の整理をしていかなければいけないのではないかと思った。

 問 自民党が来年の党大会を1月から3月に日程変更したことから解散があるのではという憶測があるが、どう考えているか。
 答 常在戦場のつもりで頑張る。

 問 TPPの誤訳の問題で審議に与える影響や、出し直すべきという声が聞こえてくるがその点の考えは。
 答 詳細な法案対応は「次の内閣」がスタ―トするので、その中で対応し、動かし方は国対がするので、そのあたりの推移を見る。誤訳の問題もあるが、今日も大串政調会長が触れたとおり、輸入米の偽装問題も含めて入口で整理しなければいけない。

 問 憲法について、自民党草案に対する立ち位置の整理が必要だということだが、整理がなされていないとすると憲法審査会の議論に民進党として参加するのか。
 答 蓮舫代表は基本的に憲法審査会に参加していく意向は示している。私はその思いは大事にしていきたいが、草案を丸ごと土台にした議論というのでは蓮舫代表の想定とも違うのではないか。まだまだ整理が必要。

 問 自民党の下村幹事長代行は自民党の草案ありきの憲法審査会の議論ではないと会見で言っていることについて考えは。
 答 混乱しているのではないか。意思統一してほしい。基本的に審議はオープン。メンバーも選んでいるので否定するものでない。前提となる議論の仕方に関わる問題。もう少し相手の状況を見ていかなければならない。

 問 憲法について民進党は自主憲法制定路線ではないということだが、今後党の憲法調査会を開いた後に議論の進め方として何が足りないのかという視点で足りない部分から考えて行くということか。
 答 調査会を持っている方に進めてもらう。

 問 消費税増税でこのまま軽減税率の導入を進めるという場合、軽減税率の見直しが消費増税の条件になるか。
 答 何かの条件闘争をしているわけではない。あくまで給付付き税額控除の位置づけを目指して頑張っているということ。

 問 来年5月にも衆院制度改革の改定案の区割り案が出ると言われているが、その前に解散したほうがいいという憶測がある。野田幹事長は定数是正にこだわりがあると思うが考えは。
 答 常在戦場、いつでも解散は起こりうるもの。緊張感をもって準備しておきたい。

 問 2014年に当時の民主党富山県連が印刷費として260万円あまり支出したとしていたにも関わらず、実際の印刷会社の受注は印刷代20万円だったと発覚して不正疑惑がある。党本部として地方組織の政党交付金の使い道をどうしていくかも含めてこの問題の受け止めを。
 答 そういう事態は承知している。これは厳正な処分が前提だと思う。それについては、党本部マターではなく、県連対応でやっていただくことであって、これは済んでいる。加えて党本部との関わり方としては、さらにこの事態が起こったことの解明をしながらそういうことがないように全国の地方組織に周知徹底するのが役割だと思う。組織委員会の佐々木委員長の下で進めている。