大串博志政務調査会長は25日午前、政調役員会後に国会内で記者会見を開き、(1)南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊への「駆けつけ警護」任務の付与(2)民主党政権時の年金改革案――等について発言した。

 政府が同日午前の閣議で、PKOへの陸上自衛隊部隊の派遣について、現行計画で期限切れとなる今月末から5カ月間の延長を決定したことを受け、安全保障関連法に基づき新たな任務として可能になった「駆けつけ警護」任務を付与するかの問題に言及。「今の南スーダンの状況を見ると、スーダンとの間での紛争は停止していることから国際的な紛争当事者は存在していないという状況はあるかもしれないが、一方で南スーダン国内では大統領派と前副大統領派との衝突は相変わらず続いていると見ざるを得ない。報道でも繰り返し民間人を含む犠牲者が出ていると聞く。国連スタッフでも活動が難しいという状況が出ているとも聞く。非常に状況は不安定だと見ている。稲田防衛大臣は『PKO5原則は守られている』と言っているが、本当に厳格に守られているのか、極めて注意深く見ていかなければいけない状況だ」と指摘。「そういう意味で、派遣の延長自体を反対とまでは言わないが、この段階で駆けつけ警護を含む新任務を与えることには反対だ。政府は、こうした野党側の声も踏まえて慎重に対応をすべきだ」と力を込めた。

 物価が上がった年でも賃金が低下すれば年金支給額をカットするいわゆる「年金カット法案」をめぐっては、「民主党時代に検討していた案も賃金が下がると年金が下がる案ではなかったか」という、言われなき指摘があると問題視。(1)民主党政権時の年金改革案としては、社会保障・税一体改革大綱のなかに書かれた制度設計が閣議決定したもので、これが大元にある。その後いくつかの試算を党として議論し公表したこともあったが、その試算はあくまでも試算であり、党として何かを決めたわけではない(2)当時検討していたものは、賃金が下がればそれに応じて年金が下がることを前提とした案ではない(3)今回の年金カット法案が実施された場合は、基礎年金を含めて最低保障機能が大きく毀損(きそん)されてしまうのではないかと指摘をしている。私たちは「最低保障年金」を大きな柱として入れ、最低保障機能を強める方向にあったわけで、今とは真逆の方向を目指していた。(4)私たちが提案したのは、税財源による最低保障年金を前提として、そこに所得比例年金が一元化した形で乗っかるものであり、今の政府が前提として走らせている現行年金制度とは全く異なる内容であり、そもそも比べることは意味がない――と4点を挙げ、反論した。

 加えて、同日開催されている衆院環太平洋経済連携協定(TPP)特別委員会での参考人質疑を自民党の塩谷委員長が職権で決めたことに対し、「与党の運営は遺憾だ。衆院補欠選挙の結果を受け、与党の皆さんは『引き続き謙虚に国会運営をやっていかなければいけない』と口を揃えて言っていたが、その舌の根も乾かない昨日の夕刻に今日の参考人質疑を与党だけで決めた。まったく理解できない」と与党の横暴な議会運営を厳しく批判。「国会でさらにTPPの議論が深まることを強く求めていきたい」と述べた。