山井和則国会対策委員長は8日、定例の記者会見を国会内で開いた。この中で山井国対委員長は、(1)TPPの採決の要件(2)議員立法である長時間労働規制法の審議を求めていくこと――について語った。

 山井国対委員長は「TPPに関して本日の本会議採決は見送られ、次の本会議は10日なので与党が10日に採決を求めてくる可能性がある。私たちとしては山本農水大臣の辞任要求に対してゼロ回答のままでは、全ての委員会の日程協議の環境が整っていないと思っている。TPPに関しては前代未聞の強行採決を行ったので、本会議に上程するのではなくて、委員会採決は無効であって委員会に差し戻すべきと主張している。あらためて、大きな障害となっている山本農水大臣に対して辞任を強く求める」などと語った。

 社員が過労自殺した電通に労働基準法違反で強制捜査が入ったことにも言及した。2年半前に自身が中心議員の一人となって超党派で過労死防止法を成立させたことを紹介し、「2年半前に成立したにもかかわらず、今回のような痛ましい過労自殺が起きたことに強い怒りを禁じ得ない」と述べた。そして、井坂信彦衆院議員が中心となって第190回通常国会に提出した長時間労働規制法案(労働基準法の一部を改正する法律案)について取り上げ、「実施が数年先の年金カット法案よりも、この長時間労働規制法を臨時国会で成立させることが国民の期待にかなう国会のありかただ」と主張した。この長時間労働規制法案は36協定による労働時間の延長の上限規制や一定時間以上の継続した休息時間を与えることを義務化するインターバル規制の導入を規定し、過労死ゼロなどのため労働時間の規制を強化する規定となっている。

 アメリカの大統領選の日までとしてきた与党のTPP衆院通過の目標設定が崩れたことの受けとめを記者団から問われると、「与党は最初は自然成立となる11月1日までと言っていて、次はアメリカの新大統領が決まる8日までと言っていた。ところがもう11月8日になってしまったので、今後急ぐ理由がない。そういう意味では政府・与党が言ってきたアメリカ大統領が決まるまでという一つのハードルがなくなったわけなので、明日決まるアメリカの新大統領のTPPに対する方針を見極めて、日本だけが強行採決をしてまで成立させる必要はないと政府・与党が判断を変えることを切に願っている」と語った。