大串博志政務調査会長は24日午後、定例記者会見を国会内で開いた。第193通常国会が始まり、衆院では野田佳彦幹事長と自身が、参院では蓮舫代表が行った代表質問に対する安倍総理の答弁への印象を述べ、今後の対応について考えを語った。

 安倍総理の答弁姿勢を大串政調会長は「施政方針演説もそうだったが3パターンだ」として、(1)自分に都合のいい数字だけ並べて答える(2)都合の悪いことは答えない(3)民主党時代の悪口を言う――の3つが繰り返されたと分析。「議論として深まらない印象で非常に残念。特に誤った数字、都合のいい数字をたくさん並べていた」と指摘した。

 「保育士の処遇改善について民主党政権時代に(給与は)下がった」と安倍総理が発言した点について、「当時は物価が下がっていたので人事院勧告は下方に改定され、それに伴って保育士の給与もマイナス改定した。そのことを(安倍総理は)言っている。それを問うならば、かつての自民党政権でも人事院勧告に従って保育士の処遇に関してマイナス改定している」と述べた。「保育士の処遇に関して民進党は何もしなかったとなどと言っているが、まったくそんなことはない」とも語り、民主党政権時に社会保障と税の一体改革を行い、消費税を財源とする社会保障について従来は医療・介護・年金の3分野が社会保障の対象であったが、そこに子育てを加えて消費税財源から3000億円、他の財源から7000億円で計1兆円の子育て予算を増やし、処遇改善もしていこうと決めたのは民主党政権だと解説。「実行したのは安倍政権かもしれないが、適当に民主党政権は何もしていなかったというような虚偽の答弁をするのは極めて遺憾」だと不快感を示した。

 子どもの相対的貧困率の問題に関しても「1%減少した」とした安倍総理の発言にもふれ、「子どもの相対的貧困率が6人に1人」という数字に関して厚生労働省はまだ新しい調査結果を発表していないことをまず指摘。安倍総理が今回引用したのは総務省の全国消費実態調査であることを説明し、「ちょっと良い数字が出るとそれをつまみ食いのように取り上げて良くなったと宣伝するのは欺瞞(ぎまん)に満ちた態度だと思う」と述べた。

 共謀罪については「共謀罪ならずば東京オリンピックの開催すら困難だとまで答弁した。いったいその根拠はどこにあるのか。予算委員会等々も含めて議論したい」と大串政調会長は語った。

 さらに、文部科学省で組織的に行われていたと見られる天下りあっせんについては「非常に問題。他の省庁への広がりも強く思わせる」と述べ、今後、党政務調査会の各部門を通じて類似の事案がないかに関して全省庁への調査・確認作業を行っていく考えを示した。

 今後、実施法が作られることになるカジノ解禁に関しては、同日行われる「次の内閣」会議でカジノ検証プロジェクトチームの設置を協議し、了承されれば長妻昭衆院議員を座長にカジノ解禁の問題点を議論していくことになると発表した。