野田佳彦幹事長は20日午後、国会内で定例記者会見を開き、(1)天皇陛下の退位の在り方をめぐる衆参正副議長のもとでの意見聴取(2)2017年度政府予算審議――等について発言した。

 野田幹事長は、天皇陛下の退位の在り方をめぐり、同日衆院議長公邸で衆参両院の正副議長のもとで行われた与野党各会派の意見聴取で自身から冒頭、民進党が提案している衆参憲法審査会での議論について「議長・副議長のもとでの議論を妨げるものではないことを確認させてください」と求め、大島衆院議長からは「衆参議長のもとでの議論を妨げるものではない」との回答を得たと報告。各党での申し合わせで「議長・副議長のもとでの議論の他にも国会の審議を妨げるものではない」と確認したにもかかわらず、民進党からの衆参憲法審査会での議論の提案に対し与党が「議長・副議長のもとでの議論の妨げになってはいけない」との理由で応じてもらえない状況が続いていることから、野田幹事長があらためて議長らの意向を確認したもの。大島衆院議長からは、「そういう意見があったことを議院運営委員会の委員長にも伝える」との発言もあったと付言した。

 意見聴取ではまた、野田幹事長から「それぞれの党の考え方をそれぞれの党がしっかりと伺い、意見をぶつけ合うことが一つの方向性を見出す上では不可欠だと思う」と、全体会議を積極的に設けるように要請したところ、「積極的にというよりも適切に設けていく」という趣旨の回答があったとも報告。本日は、党皇位検討委員会委員長の長浜博行参院議員から民進党の現時点での考え方を説明したと述べた。

 議論のあり方については、「天皇にかかわることは憲法の第1章に設けられ、憲法の根幹にかかわること。その根幹にかかわることを現実問題としてどうするかという議論が起こっている時に、特に円卓形式のやり方は決してマイナスではないと思うのでそういう議論を妨げてはいけない。政争の具にしてはいけないが、大事な議論であり、きちんと議事録が残る形で各党が意見を開陳し、それに対して疑問をぶつけ合いながら一つの方向を見出していく。その議論は歴史の評価に耐えうるものでなくてはいけないし、象徴天皇制の在り方に関心を持っている国民のためにも議事録が適時公開されるなかでの議論を行っていくことがまず基本だと思う。そのことを今日は議長、副議長の前でもあらためて要請をさせていただいた」と述べた。

 衆院予算委員会での2017年度政府予算の審議をめぐっては、与党側から24日にも採決を行いたいとの話があることに対し、「例えば天下りの問題については、きっちりと調査をした上で、予算委員会が開催されている間にその調査結果を発表し、それを議論に付してもらわないといけない。天下り先の公益法人などに2183億円もの予算が計上されていることもあり、まさに予算そのものだ。この問題に蓋をして予算の採決は基本的には考えられない」とさらなる審議の必要性をあらためて指摘。「南スーダンPKOに派遣されている陸上自衛隊の日報の問題や共謀罪の問題等々、まだまだ詰めていかなければならない論点がたくさんある。特に天下りの問題は集中審議も必要であり、しっかりと予算委員会を引き続き開催していくよう強く要求していきたい」と述べた。