野田佳彦幹事長は5日、訪問先の福岡市内で記者団の取材に応じた。

 同日開催された自民党大会で「憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進めていく」との運動方針が採択されるとともに、安倍総理が4日の保守系議員等の会合で憲法改正に意欲を示したことに関連して、民進党の憲法改正問題への対応を問われた野田幹事長は、「従来から変わらないが、基本的には日本国憲法をこれまでの戦後の歩みのなかで高く評価しているし、理念はこれからも引き続き堅持していかなければいけない。もしそのなかで、現状や将来を見通したなかで不都合があるならば、一条一句変えてはいけないという立場ではないのでそのことは議論していいが、改正ありきということではない。そういうスタンスで自民党の動きを注視していきたい。少し前のめりになってきたのかなという印象を持つ」と語った。

 国民のなかに憲法改正が喫緊の課題か疑問視する声があるなかでの安倍首相の憲法改正への積極姿勢をどう見るかとの問いには、「他にやるべきことがいっぱいある。きちんと説明責任を果たさなければいけないこと、喫緊の課題として何らかの施策を早く講じなければいけないこと(がある)。たとえば待機児童ゼロの問題だって、もう1回やり直さなければいけない状況になった。そういう問題も含めて、現実的な問題に全力を尽くすべきではないか」との見方を示した。

 衆院憲法審査会が今国会初の審査会を16日に開くことになったが、与党側は天皇退位の問題を同審査会で扱うことには消極的だ。この点をどう見るか問われ、「参政権の保障を巡る諸問題をテーマに与野党が見解を示し議論することはいいこと。そのあとくらいに、憲法の第1章に関わるような議論をわが党は要求しているので、ぜひ実現したい」などと述べた。

 森友学園の籠池理事長の国会参考人招致について、与党側から「法的瑕疵がない」「私人だ」などと消極的な発言が出ていることについてどう見るか問われ、「国有地の払い下げの相手だ。国民の財産を信じられないくらいの値引きをされて土地を買った方だ。その経緯に不透明さがあって、ご本人はラジオでいろいろ話したりもした。となると国会で話をできないということはないと思うので、この問題の解明のためには、理事長の参考人招致は不可避だと思う」と語った。