野田幹事長

 野田佳彦幹事長は26日、新潟県新発田市を訪問し、黒岩宇洋衆院議員の後援会総会後に時局講演を行った。

 野田幹事長は講演の中で、歴代の内閣総理大臣の話を出し、新潟県出身の田中角栄第64・65代内閣総理大臣を引き合いに、「田中角栄先生の素晴らしかったのは『人への投資』をちゃんとやったこと」と説明した。田中元総理が総理大臣時代に、景気が良く民間企業に就職する学生が多い中、民間に比べ給料が低い教師に就く学生が少なかったことを例に出し、「25%ぐらい給料を上げていく。この発想はすごいなと思う。それによって待遇改善されて、良い人材が入ってきたのが日本の立て直しにつながったと言われている」と田中元総理の実績を紹介した。

 野田幹事長は、こうした田中元総理の実績に民進党が打ち出す「人への投資」を重ねて、「今同じようなことをわれわれはやりたい。大事な仕事なのに十分な待遇がないから人が入って来ない。入ってきてもすぐ辞めてしまうのが保育と介護」と現在重要でありながら人手不足の職をあげ、「(民進党は)ある意味田中角栄先生の一つの魂を現代に置き換えている。福祉に関わる人材のために処遇改善の法案を積極的に提案している」と民進党が保育や介護の待遇改善に力を入れることによって、日本の立て直しを目指していることを強調した。

ガンバロウコール

 野田幹事長は、現在の日本の政治状況について「下につく人たちが忖度(そんたく)しすぎる問題が起こっている」と解説。今通常国会冒頭での2016年度第3次補正予算を取り上げて、政府が1兆7千億円の赤字国債を発行せざるをえなくなった理由を「思った以上に経済が成長しなかった」「見通しを誤った」と説明。見通しを誤った理由を「官邸の主が強すぎるから、勝手に官僚が忖度する」と官僚が官邸の意向を忖度して見通しを立てるため過度の赤字国債発行へ至ったと自説を述べた。

 学校法人森友学園の国有地払い下げの問題については、安倍総理夫人の昭恵氏が小学校の名誉校長を引き受けていたことなどから、「肝いりの小学校が作られるところに、財務省が忖度し、国土交通省が忖度し、大阪府が忖度する。こういう構図が今回の一つの柱ではないか」と述べ、「忖度の政治があるからこういう問題が起こっている。忖度は必要ない。この国は法治国家だから、ルールに基づいて、誰にでも平等に事業が行われること。国有地の払い下げも税の徴収もルールに基づいて行われる。そういう国を作るためにわれわれ民進党は頑張っていきたい」と忖度により現在の政治がゆがめられていることを批判し、ルールに基づく政治の運営を目指す決意を語った。

 野田幹事長は会場からの質問にも応じ、共謀罪の構成要件を変える組織犯罪処罰法改正案への対応を問われると、「いかがわしい」と述べ、「中身が内心の自由に関わり極めて危うい。過去3度廃案になっている。それと同じような中身で装いを変えて、やり方としては筋が悪いので厳しく対峙(たいじ)する」と厳しい対応をする考えを示した。

■野田幹事長ぶら下がり記者会見

 時局講演会終了後に野田幹事長は記者団の取材に応じた。

 「森友解散」とも言われる衆院解散がささやかれることについて是非を問われると、「是非は関係なく、解散したら受けて立つ」と力強く意気込みを語った。

 27日で民進党が結党から1年経つなかで、報道機関による世論調査で支持率が低迷していることについて党再生の方法を問われると、「提案型の路線をしっかり堅持してきているので、提案していることが政権公約につながっていく。政権をとったら何をやるかということが明確に国民に伝わるようにすること。今の政権のさまざまな欠点とか、あるいは欠陥があれば、野党がそれを厳しく追及するということもやらなければいけない」と政策と追及の両面に力をつけていく考えを示した。

 先週行われた籠池氏の証人喚問や安倍総理夫人の昭恵氏と籠池夫人のメールのやり取りの件が内閣支持率に影響を及ぼしているか考えを聞かれると、「よく分からないが、直近の世論調査の動向を見ていきたい」と述べ、「メールのやり取りの中で辻元議員のことが出ているが、全部事実誤認に基づくものなので、このことはしっかりお伝えしなければいけない」とメールに登場する辻元議員についての言及が事実と異なることを指摘した。