野田佳彦幹事長は27日午後、定例記者会見を国会内で開き、(1)民進党結党から1年(2)政府予算の審議――等に関して見解を語った。

 冒頭、当日午前に栃木県那須町のスキー場で発生した雪崩で登山講習中の高校生らが巻き込まれたことに触れ、「全容はまだ不明だが、大変心配をしている」と述べた。

 民進党結党から1年を迎えたことには、党の理念であり綱領に書かれている「自由」「共生」「未来への責任」について、「あらためてこの原点に立ち返り、これからの政治活動もぶれずにしっかりと前に進んでいきたい」と強い決意を述べた。

 政府予算の審議については、2016年度第3次補正予算で7年ぶりに赤字国債を発行せざるを得なくなったことと同様のことが起こりうる予算の中身だと指摘した。

 また、予算審議の過程で明らかになった森友学園の問題、南スーダンPKO日報に関わる問題、天下りの問題など、これから議論をしなければならないものがたくさん残っていると指摘。天下りに問題は全省庁調査結果の公表がこれからであり、PKO日報問題も特別監察の中間報告などが想定されることから、「引き続きしっかり取り組んでいきたい」と述べた。

 記者から、与党側は森友学園の幕引きを図りたいのではないかと問われ、「とても幕を引ける状態ではない。籠池氏の証人喚問を通じて、むしろ幕が開いた。籠池氏の発言だけでは、引き続きグレーのままだ」と述べ、局面を打開するために関係者を国会の場に呼び話を聞くことが必要との見解を示した。

 天皇の退位に関連して女性宮家の創設など皇族減少対策についてどう対応していくか問われ、生前退位の特別法などの中身を確認していくとともに、女性宮家の創設など皇位継承について筋道をつけることにまずは全力を尽くすと述べた。

 日本維新の会の代表の松井一郎大阪府知事が、森友学園の問題に関連し「財務省職員は忖度(そんたく)してサービス精神旺盛な対応をしたが、法律の範囲内だ」と発言したことについて問われると、「何を言っているのかという印象」を受けたと述べ、「霞が関は総理を忖度するのではなく、国民納税者を忖度して法の支配・ルールに基づき仕事をするのが役人の仕事。(大阪府でもそうだが)上の人を忖度するような仕事を役人がやっていたら世の中も地方自治体もおかしくなる」と指摘した。

 かつて総理時代、チャーチルの言葉を引用し「ネバーギブアップ」と発言したことに触れ、大相撲の大阪場所千秋楽で、左肩を負傷していた横綱の稀勢の里が優勝したことについて問われると、「稀勢の里も気迫のこもった2番も、高校野球も激闘だった。最後まで諦めない心の大切さを教えてくれる、昨日はそういう日だった。大変感動した日だった」と述べた。

 森友夫人と安倍総理夫人の昭恵氏とのメールのやり取りが公開され、辻元清美議員についての言及箇所があったことに関して党が報道機関宛の要請文を出したことについて問われると、「メールのやり取りで辻元議員に触れている箇所については事実ではない」と述べ、(1)学園の敷地の中に侵入しようとしたというやり取り(2)業者に知り合いを送り込んだ云々(うんぬん)――について全く事実ではないと否定した。

 さらに「偽証罪で問われるかもしれないという中で出てきた証言に対して、メールのやり取りは根も葉もないところから出てきた事柄なので、全く同列ではない」と述べた。

 憲法改正について自民党が改憲項目の絞り込みを進めていることについて問われると、「憲法審査会の議論も否定するつもりはなく、積極的に関わっている。7条解散などもついてもわれわれが主導して議論している。そういう議論はどんどんこれからやっていいと思うが、それを今すぐ絞り込むという段階ではまったくない。丁寧な議論をし続けていくことが大事」との見解を示した。