安住淳代表代行は29日午後、定例記者会見を国会内で開き、(1)籠池氏の偽証罪告発めぐる自民党・政府の対応(2)共謀罪(3)民進党結党1年――等について発言した。

籠池氏の偽証罪告発めぐる政府与党の対応

 23日の衆参予算委員会での学校法人「森友学園」の籠池理事長の証人喚問をめぐり、自民党の西村総裁特別補佐らが28日、籠池氏の証言には偽証の疑いのあるものが見られるとの調査結果を発表、偽証罪での告発も視野に精査を進める方針を示した。これに関して問われた安住代表代行は、「疑いがある場合は告発することはあるが、昭恵夫人(追及)封じのための告発はあってはならない」と指摘。西村総裁特別補佐らは国政調査権を発動して書類を集めることが必要だとしており、これについても「偽証罪に問われる場合というのは、証人喚問で言ったことと事実が違う場合。流れに沿って自然な形でやるならいいが、一方の当事者である昭恵夫人は何も言っていないなかで、この事件に意図的に幕を引くために一方的に、一人だけ来た証人の告発をするのは、実態の解明というより口封じになる恐れがあるので慎重にやった方がいいのではないか。議院証言法違反が明らかな場合は、われわれの責任でそれは提起する」と述べた。

 これ関連し、菅官房長官が29日午前の記者会見で証言の虚偽立証に協力する考えを示したことに対しては、「議院証言法は議会の問題であり、予算委員会の場で偽証なりがあったと各党が疑いを持った時にやる話で、政府が口を出す話ではない。それを口出してくるのは逆に何かやましいことがあるのではないかと思ってしまう」などと述べ、それを報道するマスコミの姿勢にも苦言を呈した。

 籠池理事長の妻諄子氏が3月1日付きで昭恵夫人に送ったメールに、辻元清美議員が塚本幼稚園を視察した際、「幼稚園に侵入しかけ私たちを怒らせようとした」などと記されていたとして、産経新聞は「3つの疑惑」などと報道。安倍総理がこれを国会審議で「産経新聞に『疑惑』と出ていた。辻元さんも証明しなければならないことになる」と発言した。こうした報道に対しては、「一定のルールのもとでやらないと、まったく根も葉もない話やメールで取り上げたことをいい加減にやるというのは、ネット時代の異様な報道の仕方だ。アメリカの大統領選挙を少し彷彿させるような話で、私はまったくまともに取り合うつもりはない」と断じた。

安保法政施行1年

 集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法が施行から1年になったことを受け、「特段そうした事例があり大きな問題が惹起されたわけではないが、防衛省の予算や陸自、海自、空自のアメリカとの訓練を見ていると、それらを想定した訓練にかなりシフトしており、そうした装備等への予算が増えつつあることには、既成事実化していこうとする流れは感じ、危機感を持っている。同時に施行されたPKOについては、南スーダンはご存知の通り事実上駆けつけ警護ができる状況ではない。つまり、PKOの5原則のなかで当事者間で合意し、駆けつけ警護を伴う任務を付与した昨年秋の部隊について早々に撤収するということは、状況認識が非常に甘かった、またそれが分かったので日報の問題が出てきた。無理に作ったから虎の子の自衛隊を派遣するという政府のやり方は間違いだと思っている。いろいろな意味で1年が経ち検証しなければいけない時だ」と述べた。

共謀罪

 いわゆる共謀罪法案の審議入り時期をめぐり、4月6日の審議入りを主張する自民党に対し、公明党は政府が先に提出した性犯罪を厳罰化する刑法改正案の審議を優先するよう求め、与党内で意見が割れていることについて、「共謀罪についてはそれだけ懸念材料が多いということ。また、社会のニーズ、ありようから言えば刑法改正は非常に急がなければいけない。よく話し合って順番を間違えずに国民のニーズにあった順番でやるということで言えば、私と公明党の考え方は同じだ」と述べた。

民進党結党1周年

 民進党結党1年を振り返り、「超氷河期から氷河期になったくらいで相当厳しい環境にある」との認識を示したうえで、「衆参で戦っていられるのは圧倒的な野党第1党を作れたからではないか」と強調。「まだまだ自民党に対抗するには支持率を見ても決して氷河期を脱したわけではないが、過去の歴史を見てもどん底に落ちた時はある。メール事件のわずか3年後、小泉ブームの4年後には政権を獲っている。野党連携と候補者を統一していこうという機運がほぼでき上がっているなかで、1人区である小選挙区を自公候補と1対1で戦う体制さえ整えておけば、この選挙制度は何が起こるか分からない。自民党を勝たせ過ぎたと思っている方もかなりいるので、われわれはいろいろあっても受け皿としての圧倒的野党第1党の立場をしっかり固めて反転攻勢の機会を待てば、そのうち桜が咲くこともあると思っている」と先を見据えた。