安住淳代表代行は10日午後、定例の記者会見を国会内で開催。(1)文・韓国新大統領就任(2)憲法改正――等について発言した。

 韓国の革新系政党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)氏が同日、第19代大統領に就任したことには、「今日宣誓式を行って大統領になられ、その後の言動が選挙戦の時の言動と一致しているのか、それとも統治者としての発言、行動になっていくのかはもう少し時間をかけて見ていかなければならないと思う」とコメントした。

 安倍総理が3日、自衛隊の存在を明記するための憲法9条改正と2020年の新憲法施行の意向を表明したことについては、「今の政治の流れでは、国会の憲法審査会で議論を詰めてきたり自民党内で深い議論がなされたとは到底思えず、唐突感はかなりあるのではないか。どういう背景でそういう話しをしたのかきちんと国会で話すべきだ。それをやらない、国会で話さないということは国会で議題にする必要はないということだと思う。憲法審査会はその問題をクリアにしないと開けない」と指摘。「わが党としても憲法改正については積極的な議論を行っているが、9条についていじろうという考えはほぼないというのはコンセンサスだと思う。戦後歩んできた道を踏み外していくという憲法改正にはくみしないということは概ねコンセンサスを得ているのではないか」と強調した。

 自衛隊に対する国民意識について問われると、「自衛隊の存在は定着し、現行法のなかで十分存在価値は高まっていると思う。9条に基づき専守防衛に徹し武力行使をせず、しかし侵略する者に対しては防御的にしっかりディフェンシブな防衛力を整備してきたというのは海外からも高く認められていると思う。その形を崩すということは戦後歩んできた道を崩すことになるので私は大変懸念を持っている。国民の皆さんの自衛隊への信頼というのは、旧軍とは違い9条の下で自衛隊の存在を自ら戒めてやってきたというところが大きいのではないか。加えて、東日本大震災をはじめとする災害救助等で大きな貢献をしたことが積み重なって今日がある。国際情勢の大きな変化に対応して自衛力を強化していくことは必要だと思うが、戦後積み重ねてきた信頼というのは、ある意味9条に基づいた抑制的なものがあっての存在だ」と語った。

 8日の国会審議で長妻議員が憲法改正発言の真意を尋ねたところ、安倍総理が「読売新聞を熟読して」と答弁したことに対しては、「ちょっと残念だとは思う。おごりに聞こえるし、政治家に新聞社が利用されると思われたら新聞社にとっても損だと思う」と述べた。