民進党の井出庸生、逢坂誠二、階猛、山尾志桜里各衆院議員は16日昼、衆院法務委員会終了後に国会内で記者ブリーフィングを開き、共謀罪法案に関して同委員会で同日行われた参考人質疑の状況を解説した。

 この日質疑に立った井出議員は、277の対象犯罪の中で共謀罪(テロ等準備罪)の法定刑が懲役5年以下であるのに対して現行法上で予備罪の法定刑が2年以下や3年以下など、現行の予備罪よりも共謀罪の方が法定刑が格段に重くなるものを6例挙げて質問したことなどを説明し、このような例が生じる理由について「おそらく共謀罪の対象犯罪を法定刑から画一的に求めたことによる立法のゆがみではないか」と語り、「分かりやすく言えば同じ犯罪集団が共謀から行ったら重い罪で、予備から行ったら軽い。そこはどうなんだ」と疑問を示した。

 逢坂議員は資料(PDFダウンロード参照)を示し、「ここに書いている182の項目。これは6条の2の第1項の項目について、まだこれくらい疑問があるという一つの例示。これくらい解決していない」と共謀罪法案の審議がまだまだ足りないことを分かりやすく示した。「これから、しっかりと詰めていかないと今回の法案というものの中身がよりクリアにならない」 と指摘した。

 階議員は民進党が提出した法案について、「政府案に代わる案ということで、予備罪の新設、二つの罪の組織的詐欺と組織的人身売買について予備罪を設ける案を出しているが、この件について参考人から積極的な評価をいただいた」と述べた。「予備罪というものは客観的に危険な行為があってはじめて処罰されるものであるから、共謀罪と違って無限定に監視が拡大する恐れはないということで質的に全く予備罪と共謀罪は違う」と参考人である弁護士の加藤健次氏からの説明があったことを紹介し、党が提出した法案に「正当性と必要性が裏付けられた」と語った。

 山尾議員は「調査があって、嫌疑の有無を境に捜査になる。そしてその捜査には任意捜査と強制捜査がある」と調査と捜査の違いについて説明。そのうえで、「捜査でやることを調査でやることはあるのかと質問をずっとしていて、(刑事局長が)捜査としてやらないと言っているということは調査としてはやるということだし、実際にやっている。尾行であれ、張り込みであれ、聞き込みであれ、あるいはラインの会社やドコモ等の通信機器会社に対して令状を示さなくても先方に捜査の必要があると言って、そしてそれに向こうが応じれば、実際にラインの公開資料でも令状のない捜査機関からの請求に対して、去年の上半期下半期に何件開示をしましたというようなことをあの会社は公表している。つまり「嫌疑の有無を境にして、いわゆる調査と任意捜査は別であり、だからこそ一般人に捜査は及ばないというのは全くの詭弁だと思う」と説明し、「調査と任意捜査としたら要するに中身が同じでしょということだ」と指摘した。

PDF「共謀罪未解決の論点」共謀罪未解決の論点