野田佳彦幹事長は29日午後、定例記者会見を国会内で開き、(1)北朝鮮による弾道ミサイル発射(2)参院で審議入りした共謀罪法案(3)加計学園をめぐる与党の対応――等について見解を語るとともに、記者の質問に答えた。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射について、「3週続けてミサイルを発射し、わが国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したということだが、度重なる挑発行為に断固たる抗議をする。北朝鮮の行為は新たな段階に入ってきた。G7でも北朝鮮問題について国際社会の最優先事項としての認識が共有された。いかに自制を求めるかだと思う。日米、日米韓の連携に加えて、中国も含めた関係国に対して日本が強く働きかけをしていかなければいけない」と述べ、中国を含めて一致して北朝鮮に対応していくことが重要だと指摘した。

 本日29日の参院本会議で審議入りした共謀罪法案については、報道各社の世論調査結果を踏まえ、「今国会での成立を望む声は少なくなっている。法案に不安を抱いている証拠だと思う」との見方を示したうえで、国民のこうした声を受け止めてしっかりと法案の問題点を明らかにしていくことが重要だとして、政府・与党に丁寧な審議を強く求めていく考えを語った。

 加計学園の問題をめぐっては菅官房長官が「民主党政権の間にも、7回にわたって要望があり、それまで対応は不可とされてきた措置を、平成21(2009)年度の要望以降は、実現に向けて検討、と民主党政権でも格上げをされております。そして、それを、安倍政権がさらに前進をさせて実現された。これが事実であります」などと語った発言を取り上げた。野田幹事長は「民主党政権下での特区というのは構造改革特区で、(自治体や個人などから)ボトムアップで上がって来たものについて検討を加えていくもの(で政府の検討は決定ではない)。一方で安倍政権の途中の2013年12月からスタートした国家戦略特区はトップダウン型(で政府の検討は決定となる)。従って、総理の意向やだれかへの忖度(そんたく)(が及ぼす影響)は、ボトムアップ型のものとトップダウン型のものはまったく違う。同じ前提であったかのように議論をすり替えるのはまさに国民に誤解を与えるものだ」と語り、菅官房長官の情報操作ともいえる発言を批判した。

 また「官房長官はあまりにも個人攻撃が見苦しいほどだ。これが官房長官の職責とは私には到底思えない。それだけ前川・前事務次官が発言することについての警戒感が強いからだろうと思う。ただ、あそこまで明快にお話をされ、しかも証人喚問にも応じていいとご本人もおっしゃっているので、きちんと国会の中で前・前川次官にお話をしていただけるよう強く主張し、与党にものを申して実現していく」と述べ、証人喚問の実現を政府・与党に強く求めていく考えを語った。