民進党は30日、下村博文元文部科学大臣政治資金問題について国会内で会議を開き、総務省と文科省の担当者からヒアリングを行った。

 29日発売の週刊誌で、元文科大臣の自民党の下村衆院議員を支援する政治団体が学校法人「加計学園」から100万円ずつを入金されながら収支報告書に記載していなかったと報道。これを受け下村衆院議員は同日記者会見を開き、文科大臣だった2013年と14年、学校法人「加計学園」の当時の秘書室長から、下村議員を支援する政治団体の政治資金パーティー券の費用として現金で計200万円を受け取ったことを認めた。一方で、下村元文科大臣は、現金は加計学園からではなく、秘書室長が加計学園と関係のある個人や会社の合計11人から預かったものを持参したと説明、11人の詳細については「分からない」としている。

 冒頭、山井国会対策委員長は、「昨日下村議員が記者会見を開いたがまだまだ不明な点が多々ある」と指摘。稲田防衛大臣の東京都議選の応援演説のなかでの「自衛隊としてもお願いしたい」発言や、安倍総理の獣医学部開設をめぐる「速やかに全国展開を目指す」発言など問題が山積しているにもかかわらず、野党が求めている国会開会を拒み国民への説明責任を果たしていない政府・与党の姿勢をあらためて問題視し、「本来であれば国会でやるべき議論だが、何が何でも国会を開きたくないというのが安倍総理のご意向のようなので、この場で議論をしていきたい」とあいさつした。

 会議では、政治資金規正法に照らしながら、下村議員の事案が「あっせん」に当たるのかどうかなどを議論。報告書の一般的な事例として、大西健介衆院議員の政治団体がパーティーを開く際に、階猛衆院議員が知人、友人11人から合計100万円を集め大西議員に提供した場合、階議員の行為は政治資金規正法上のあっせん行為に当たるかどうかを尋ねたが、総務省は「総務省としては個別的な調査権を有していないので、具体的な事実的関係を承知する立場にないのでお答えは差し控えさせていただく」と繰り返すのみだった。出席議員らは、国会答弁などでは通常「一般的な事例としてはご指摘の通り」と答えると指摘。政治資金規正法であっせんの事実の明記を求めているのはこうした事案を防ぐためではないかと趣旨についても尋ねたが明確な回答はなかった。

 議論を踏まえ次回会議までに、(1)この事例についてあらためてあっせん行為に当たるかどうか、当たらないとすればその根拠(2)政治資金規正法で政治資金収支報告書に一定の金額以上についてあっせんの事実を明記しなければならないとしている趣旨(3)政治資金規正法第9条、第10条の3項に関わる「会計帳簿の備え付け及び記載」「会計責任者に対する明細書の提出」にある、政治資金パーティーの対価に関わる収入のうち対価の支払いのあっせんをされたものについての事実などを記載する書式、あっせんに関わる金額とこれを集めた期間を記載する明細書の書式――を文書で提出するよう求めた。