代表選挙4日目の24日午後、代表選挙管理委員会主催の中国・四国ブロック合同候補者討論集会が愛媛県新居浜市内で開かれた。前原誠司、枝野幸男の両候補は、今回の選挙が民進党代表を選ぶにとどまらず、危機的な日本政治を変える重要な転機であるとの認識で一致。原発ゼロ政策の進め方、法人税のあり方、党再生のビジョン等について議論し合った。会場に集まった320人を超える党員・サポーターや自治体議員らの質問に答え、討論集会後には新居浜裁判所前で街頭演説会も行った。

前原誠司候補

前原誠司候補

 まず、代表選に臨んだ決意について前原候補は、「この党には使命がある。自民党しか選ぶ政党がないことは日本の不幸、民主主義が機能しないということだ。この党を再生させ、国民に選択肢を示し、支え合いの社会を作っていく。われわれはその使命を果たさなければいけない」と訴えた。

 枝野候補は、「リーダーを支える立場でいろいろな経験をした。近くで見てきた私だからこそ、できることがある。やらなければならないことがある。私自身がリーダーとして生まれ変わる決意で民進党を再生させ、日本の政治を転換させる」と力を込めた。

 会場からの原発政策、特に使用済み核燃料処理をどう進めていくのかとの質問に対して枝野候補は、「一刻も早い原発ゼロを実現したい。原発を止めると言うだけなら簡単だが、同時にやらなければならないことがたくさんある。その中で一番難しいのが使用済み核燃料問題だ。だからこそ最優先で最大のエネルギーをかけてやっていかなければならない。現実を見据えながら丁寧に進めていきたい」と述べた。

 野田政権時の政調会長として2030年代原発ゼロを取りまとめた経緯を説明した前原候補は、「民進党結党時に住民の理解と自治体の避難計画が納得できるのものかどうかが新たに加わった。これをしっかりベースにすべきだ」と主張。最終処分には「非常に難しい問題で今解決策はないが、まずは廃棄物についての安定的な貯蔵をしっかりやることが大事ではないか」と述べた。

枝野幸男候補

枝野幸男候補

 候補者相互の質問で枝野候補は、大手企業を中心に内部留保がどんどん膨らんでいる中で法人税減税が行われてきたとして、「中小零細企業に配慮したうえで、儲かっているところには(法人税を)払ってもらう。この方向を明確に出していかないと国民の負担に対する理解を得られない」と指摘し、法人税引き上げについて前原候補に見解を求めた。前原候補は「それはそう簡単な議論ではない。企業の国際競争力を高めるため、法人税を世界全体で下げようとしている。異次元の金融緩和を前提とした内部留保が貯まっているからといって法人税を上げるとなるとむしろ企業の首を絞めてしまう可能性がある。アベノミクスが終わったときに企業にはもっと大変な状況になるかもしれない」と税率引き上げに慎重な見方を示した。

 一方前原候補は、民主党が下野してから4年半、いまだに党勢が回復しない中で幹事長などを歴任してきた枝野候補に対して、「時の代表に何が足りなかったのか。何が足りないから党勢が回復しないのか。自分が代表になればそれがどう変わるのか」をただした。枝野候補は、2つの点を変えるべきだと指摘。「1つは、地域で頑張っている地方議員、党員・サポーターと情報共有したり、意見交換したり、選挙などいろいろな活動したりすることが足りなかった。これをもっと組織的に党本部を挙げてやっていかなければならない」「もう1つは、野党第1党として何が与党と違うのか。『ここが違うから(与党の政治では)だめだ』と違いを明確にすることが足りなかった。違いをもっと鮮明に出す」との意気込みを語った。

 討論会後に衆院愛媛3区補選(10月10日告示、22日投開票)の白石洋一公認候補予定者(元衆院議員)があいさつし、「民進党が目指す社会はともに助け合い、支え合う社会。みんながみんなのために手を差し出す社会だ」と表明。安倍1強であまりにも強引な政治が行われていると現状に疑問を呈し、それを正すことを「愛媛3区から始めよう」と訴えた。

街頭で訴える前原誠司候補

街頭で訴える前原誠司候補

街頭で訴える枝野幸男候補

街頭で訴える枝野幸男候補