民進など野党6党は2日昼、茂木経済再生担当大臣が支部長を務める政党支部が地元の有権者に線香や衆議院手帳などを無償配布した問題に関して合同でヒアリングを行った。この問題ついて総務省が1月30日に衆院予算委員会理事会に文書「政党支部からの寄付について」(PDFダウンロード参照)で示した見解について同省から説明を受けたうえで、民進・立憲・希望・共産・自由・社民各党の出席議員が総務省・法務省・警察庁の担当者にさまざまな観点から確認を求めた。

 総務省は公職選挙法が定める寄付の禁止規定に関して今回示した文書で、「一般の政党支部は、公職の候補者等の場合とは異なり、公職選挙法第199条の3において、候補者等の氏名を表示又は氏名を類推させる場合に限って、当該選挙区内にある者に対する寄付が禁止されている」との見解を示している。

 民進党を代表してあいさつに立った平野博文国会対策委員長は「(線香や衆議院手帳などを)配布した事実についてはご本人が認めている。ただ、公選法199条に基づく立法の趣旨・背景と現実の解釈との違いが疑念を生んでいるわけで、当該の政治家がしっかりと説明することから始まっていくと思う。法解釈と現実的な違いがまさに国民から疑念・疑惑を招くもとになるわけだから、しっかりと大臣本人から事実を説明してもらい、また総務省の立場で公選法199条を起こした立法の背景は何かということを(聞き)、順法するのがわれわれ政治家の使命だと思う。そういう視点で疑惑を解明していく」旨を語った。

 ヒアリングでは次のようなやりとりがあった。

  • 総務省の文書や茂木大臣の答弁など委員会での質疑は公職選挙法第199条の3をもとに議論されているが、公選法第199条の5を見ると政党支部であっても一定の場合について寄付は禁じられている。一定の場合とは「候補者もしくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、もしくは支持することがその政治活動のうち主たるものであるもの」なので、政党支部の実態を見ると、まさにこれに当たる。そこから考えると199条の5についても抵触するのではないか。この件についても総務省の見解を示してほしい
    →(総務省)公選法199条の5は後援会などがこれに当たる。他方、一般の政党支部については選挙時においてはその所属候補者を支持することを主たる活動とすることもあるが、その他の政治活動も行っており、また常時諸般の政治活動を行っているので、継続的に見ると特定の候補者の支持が主たる政治活動とは言い難く、当該団体には当たらないものと解される。
  • 公選法199条の3では寄付に当たり「いかなる名義をもってするを問わず、これらの者の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法で寄付をしてはならない」と定めているが、茂木大臣が持っていけば大臣本人が持ってきたと考えられるということでいいのか
    →(総務省回答)具体の事例について個別の事案ごとに具体の事実に即して判断していただくことに尽きる。
  • 持参した際に「茂木事務所の●●です」と言うか、「衆院議員茂木敏充と明記された名刺」の差し出しとともに線香を手渡せば公選法199条の3にある「氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推される」に当たり得るのか、全く当たりえないとは総務省としては言い切れないか。
    →(総務省回答)そういう趣旨だ。
  • 線香を受け取った側が「だれかは分からないが茂木大臣の秘書だ」という形で、線香を渡した本人よりも茂木大臣という政治家を受け取った側は認識しているということであれば、公選法199条の3にある「氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推される」に当たり抵触するのではないか
    →(総務省)相手方の認識はどんなことなのか等仮定の話になってくるのでお答えできない。その人がその身分、その資格で来たのかどうかが分かるのか等も含めて事実を認定できないので何とも言えない。
  • 議員の秘書がこうした形で何かものを持って行って寄付と判断されて書類送検された、もしくは書類送検・起訴された事例はあるか
    →(警察庁)網羅的に統計を取っているわけではないので把握していない。網羅的に統計を取る性格のものではないので把握すること自体ができるかどうかも分からない。

PDF「政党支部からの寄附について 総務省」政党支部からの寄附について 総務省

PDF「逐条解説 公職選挙法(第百九十九条の三関係)抜粋 総務省」逐条解説 公職選挙法(第百九十九条の三関係)抜粋 総務省