衆院予算委員会で22日、働き方改革等をテーマに集中審議が行われ、民進党会派である無所属の会の原口一博議員は(1)働き方改革(2)規制についての基本認識(3)労働者の権利を保障する政治の責任(労働の分断を防ぐために)(4)裁量労働制データと答弁撤回(5)労政審が議論したデータ(6)自身が総務大臣の時に挑戦した働き方改革――等を取り上げ、安倍総理らと議論した。

 質問の冒頭で原口議員は労働時間規制の歴史的意味を振り返りながら、「経済的規制は自由にした方がいいが、今回議論しているのは社会的規制であり、まさに人間の命と尊厳を保障する分野であるので規制を強化しなければならない、緩めるときにはよほど慎重に行わなければならない」と指摘。つらい思いに耐えながらも裁量労働制がもたらす過労死の危険性を訴えた全国過労死を考える家族の会のメンバーの訴えにこめられた痛切な思いを国会審議に生かすべきだと提案した。

 原口議員は独立行政法人労働政策研究・研修機構が作成した資料3を掲げ、「これを見ても裁量労働制を広げると過労死は増えていくと思う」と指摘。また、「政府は『厳格な時間管理を行う』としているが果たして厳格な時間管理ができるかは疑問だ」との認識を示した。

 今回問題となっている厚生労働省の2013年「労働時間等総合実態調査」は、一般労働者と裁量労働とで違う問いかけにもとづき調査が行われ、本来比較してはいけないものをまとめていたことから、「信用性に欠ける」と指摘。安倍内閣がデータや証拠に基づく政策立案を重視するのであれば、「(今回は)データそのものが違っていたわけであるから、いったん立ち止まって考えなおすべきだ」と安倍総理に求めた。しかし、安倍総理は「裁量労働制は一定の知識・経験を有して働く本人に会社が決めた一律の定時に縛られることなく出退勤を自由に決めてもらい、より効率的に成果を上げていただこうというもの。労働政策審議会では労働時間等についてのさまざまな資料に基づいて議論してもらった」などと強弁するばかりで、考え直す意向は全く示さなかった。

 原口議員は、労働政策審議会では充分な資料提示も議論もなされていないのが実態だと指摘するとともに、「命を守る、人権を守るより、弱い人をより強く守ることが日本の競争力を強くすることでもある」と説いて裁量労働制に関する議論のやり直しを強く求めた。

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