森本真治参院議員

 参院本会議で16日、2018年度地方財政計画および地方税法等改正案、地方交付税法等改正案の本会議質疑が行われ、民進党・新緑風会を代表して質問に立った森本真治議員は、(1)森友学園問題(2)18年度地方財政計画の評価(3)臨時財政対策債(4)公庫債権金利変動準備金の活用(5)地方交付税の法定率の引き上げ及び抜本的な地方税制の改革の必要性(6)歳出特別枠の廃止(7)一般財源総額実質同水準ルールの今後(8)地方自治体の基金(9)ふるさと納税(10)固定資産税の特例措置(11)教職員の働き方改革――等について取り上げた。                

 森本議員は冒頭、森友文書の改ざん問題を取り上げ、「本件は憲法62条に基づく国政調査権の行使を妨害し、憲法66条に定める国会への連帯責任に違背し、公文書管理法、情報公開法、会計検査院法、刑法等々に違反するもので、憲政史上類のない前代未聞の問題」「憲法が定める議会制民主主義及びそれが立脚する国民主権の原理そのものを破壊する絶対にあってはならない言語道断の暴挙で、法秩序に対する重大な違反行為」だと指摘した。

 麻生財務大臣が「書き換えたのは理財局の一部の職員、最終責任者は当時の佐川理財局長」と説明していることに対して、「決裁文書の改ざんは、刑事罰に課せられる可能性がある行為であり、一官僚が軽々に行うことができるとは到底思えない」と指摘。書き換えた理由として財務省が佐川理財局長の国会答弁と整合性を取るためとしている点についても「そもそもこれがおかしい。すでに決裁された公文書に沿って、正確に丁寧に答弁するのが本来の姿のはず。国会答弁が先にあって、これに合わせて公文書を改ざんするなど、言語道断」だと厳しく批判した。

 そのうえで、(1)どこかからの圧力があったのか(2)どうしても忖度(そんたく)せざるを得ない「本件の特殊性」があったのか(3)財務大臣やその周辺からの改ざんの指示や圧力は絶対になかったと断言できるか(4)「私や妻が関係していたなら、首相も国会議員も辞める」などとした昨年2月17日の衆院予算委員会での安倍総理の答弁の影響はないか(5)総理周辺や財務大臣周辺からの圧力があったから佐川局長は国会で虚偽答弁を繰り返し、決裁文書の改ざんという行為に出たと考えればよいか(6)就任直後から適性が疑問視された佐川前国税庁長官について野党がたびたび更迭を求めたにもかかわらず「適材適所」としてかばい続けてきた麻生大臣は、9日の佐川氏辞任の際も適任として慰留したのか――等を質問。「現時点では、佐川氏が決裁文書改ざんの最終責任者としているが、これまでの適材適所は撤回するか」と、任免権者としての見解をただした。さらに、疑惑解明を進める上でも安倍昭恵総理夫人の関与は大きな焦点だと指摘し、真相解明の上で、佐川前国税庁長官と安倍昭恵総理夫人の証人喚問が必須だと述べ、財務大臣の所見を尋ねた。

 麻生財務大臣は「今回の決裁文書の書き換えについて私から指示したことはない。本件書き換えは昨年2月下旬から4月にかけて国会答弁について誤解を受けることがないよう、国会担当を担当する当時の理財局の一部の職員が行ったもの」と答弁した。「私や妻が関係していたなら、首相も国会議員も辞める」などとした昨年2月17日の総理答弁の影響については「書き換えが行われた文書を見る限り、国会での答弁が誤解を受けることとならないようするために行われたと見られる。従ってご指摘の答弁が影響を与えたとは考えていない」などと麻生大臣は語った。「私や官邸が佐川前局長の答弁に圧力を加えたとの事実はない」とも述べた。

 佐川氏辞任の際に慰留したかとの問いに麻生財相は、「9日に退職したいと申し出てきた。本人がそうした意向であるならば、それ以上国税庁長官の重責を担わせるわけにはいかないことから、その日のうちに退職を認めた」などと答弁。「適材適所」とした自らの認識については「佐川前長官は決裁文書の国会提出時の担当局長であり、国会審議を混乱させ、国有財産行政に対する信頼を損なったと言わざるを得ないと考えている。佐川前長官を理財局長に任命したのは私であり、先週金曜日に懲戒処分を行ったうえで退職させた。私としては佐川前長官の行政官としての能力はすべて否定されるものではないとも考えられる」などと答弁した。そのうえで証人喚問については、「国会で決めること」として明言を避けた。

 森友学園問題の真相究明には当事者が公の場でしっかりと説明することが重要だが、当事者の一人である森友学園の籠池泰典前理事長が、昨年7月末に逮捕され詐欺罪などで起訴された後、家族の接見も禁止されたまま長期間勾留されていることについて、「いまさら証拠隠滅や逃亡の恐れはないと考えられ、保釈しない理由はないと思われる。逆に財務省側に証拠隠滅の恐れがあるくらい」だとして、長期勾留の理由を法務大臣にただしたが、「要件に照らして裁判所でなされることなので所見を述べることは差し控える」などと逃げの答弁が示された。

 森本議員は2018年度地方財政計画については、一般財源総額が62兆1159億円とわずかながら前年度を上回る額が確保されたが、原資としては国税決算の精算繰延べ、交付税特別会計剰余金の活用、金利変動準備金の活用、国・地方の折半ルールによる特例措置などを駆使したぎりぎりの結果だと指摘。「特例措置は2001年度から3年間の時限措置であったはずが、その後も継続が繰り返され、特例が常態化しているのが現状で、参院総務委員会が毎年決議している『自立的かつ持続可能な財政運営を可能とする地方財政制度』とはほど遠い状況」だと批判した。野田総務大臣は「厳しい状況のなかで最大限の対応ができた」との答弁にとどまった。

 森本議員は、特例措置の活用などでは巨額の地方財源不足に対応することはできないとして、「地方に必要な一般財源総額の確保を図るためには、地方交付税の法定率の引上げしか残されていない。地方交付税法第6条の3第2項の規定に従えば、法定率の引上げは義務だ」と強調した。

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