民進党など野党6党は19日、「教育現場不当介入問題野党合同ヒアリング」を国会内で開き、前川喜平前文部科学省事務次官が名古屋市の公立中学校で行った公開授業について、文部科学省が名古屋市教育委員会に対して授業内容等の報告や録音データの提供を繰り返し求めた件について、同省担当者から話を聞いた。

 ヒアリングに出席した議員は、文科省の担当者から説明を受けた後に、「文科省が、前川氏が名古屋市内の中学校で講演の形で授業を行ったことを17日に外部からの問い合わせで知ったと説明したが、この外部の者とは誰なのか」「17日は土曜日であり、一般の方が文科省に照会することは難しい」と質問。文科省の担当者は、「外部の方が誰かについては、判断に影響を与えるので差し控える」などとして答えなかった。出席議員から、「外部の方とは自民党の衆院議員であるとの報道があるが、これは誤報なのか」と重ねての質問に文科省の担当者は、報道を否定する答弁はできなかった。

 前川氏の講演授業について、「文科省としては問題はなかったということでいいのか」との問いに文科省は、「現時点で把握している情報によると、不適切なところは確認していない」と答えたが、今後別の学校が同様の授業で前川氏を呼ぶことについては、「仮定の話に答えるのは難しい」と答弁を避けた。この答弁について出席議員からは、「これは圧力だ。前川氏を講演に呼ぶことを、問題がないと言えない理由は何なのか」と指摘があった。

 斎藤嘉隆参院議員は、当該中学校の校長が記者会見で述べた「『一度人生において失敗をした方が、それをもってその後も全てダメだ』ということは、教育者として、人間教育の観点からも相容れない」という発言を取り上げ、「今回の件で文科省から照会を受けた中学校の校長が話している。文科行政を司る役所としての矜持(きょうじ)はないのか。教育課程課長は引き続き、個別の学校の学習内容を問い合わせると言っている。現場は委縮してしまう。文科省の顔色ばかりうかがって、自主的な教育課程編成ができなくなる」と文科省の姿勢を強く批判した。

PDF「文部科学省提出資料」文部科学省提出資料