無所属の会の岡田克也代表は27日、定例記者会見を党本部で開き、(1)佐川前国税庁長官氏の証人喚問(2)自民党改憲案――等について見解を語り、記者の質問に答えた。

 同日午前参院予算委員会で行われた佐川前国税庁長官への証人喚問について「非常に残念だった」と語り、冒頭で行われた予算委員長からの質問に対し、「国会において大きな混乱を招き、行政の信頼を揺るがすような事態になったことは誠に申し訳ない」と語った点について、「言っていることの意味が自分で分かっているのか」と指摘。「国会における混乱」と佐川氏は発言したが、事実は「国会における虚偽の答弁、差し替えられた事実でない文書の提出ということで、混乱ではなく、事実としてはそうしたことがなされたこと」だと述べた。「行政の信頼を揺るがす」と語った点については「行政そのものが国民から見て全く信頼を失墜してしまったということで、国会の混乱が行政に対する信頼を揺るがすような事態になったというような軽い言葉で済まされることではない」と不快感を示した。

 「すべての責任は私にある」「刑事訴追の可能性がある」と言った言葉を繰り返し、質問にはほとんど答えないことについて「自らがやったことをしっかり自覚しているのであれば正直に話すべきであった。返す返すも残念」とも述べた。

 自民党大会で発表された自民党の憲法改正案にある9条の改憲案について「非常に問題があると思う」との懸念を示し、戦力不保持を定めた9条2項を維持したうえで、新設する「9条の2」で「前条の規定は(中略)必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織」として自衛隊を明記した点を問題視した。

 岡田代表は「安倍政権のもとで憲法9条の議論を行うことは適切でないとかねがね申し上げている。立憲主義、あるいは憲法の平和主義というものを理解しない安倍総理の下で議論しても、ろくな結果にならないと考えているからだ」とまず指摘。そのうえで今回の改憲案の9条の2の新設には大きく2つの懸念点があるとして次のように説明した。

 (1)自衛隊について従来の憲法解釈で「自衛のための必要最小限度のものでなければならない」としていたのを、それを削除して、「そのための実力組織として自衛隊を保持する」とした。これは「必要最小限でなくてもいい」ということを言外に含んだ、今までとは違う結果を憲法改正によって実現しようとするもの。自衛隊の装備でも最近では、航空機が発着できる空母化や敵基地攻撃能力の向上などの議論がされているが、自民党改憲案はそれを先取りしたような内容で、自衛隊の装備が際限なくなることを懸念させる改憲案である。

 (2)改憲案の9条の2で「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず」としているとしているのは、存立危機事態よりもさらに広い概念で、場合によってはフルスペックの集団的自衛権を認めかねない表現である。いろんな規定を置いている9条2項が残っているからいいではないかという議論もあるが、新しい条項の方が古い条項を上書きするので、これが加わることでフルスペックの集団的自衛権を認めるという解釈になりかねない。

 岡田代表は「今までと変わらないと安倍総理は言っているが大きく変えることを意図した改正案だと言わざるを得ない」と問題視した。