【教育政策】

チルドレン・ファーストで、人への投資

  • 民進党は、チルドレン・ファーストで人への投資を進めます。

教育の無償化

(就学前教育の無償化)

  • 就学前教育の段階的無償化を推進します。

  • 待機児童の解消をめざし、保育園の質と量の確保と保育費用の負担軽減を推進します。幼稚園の認定こども園への移行を推進するとともに、保育士・幼稚園教諭等の待遇改善を図ります。

(就学支援)

  • 「貧困の連鎖」を断ち切るため、給食費・学用品費・クラブ活動費等の学校生活に係る諸経費を教育のための必需品として位置付けることを含め、就学援助事業を拡充します。

  • また、ほぼすべての小学校で実施されている学校給食について、給食費の無償化をめざすとともに、食育の推進、地産地消による地域再生、給食費徴収にかかる教職員の負担軽減を図ります。

(貧困状態にある子どもへの学習支援)

  • 「生活困窮者自立支援法」における子どもの学習支援事業は、任意事業にとどまり、自治体の実施率が質・量ともに低くなっています。自治体に対する支援策を講じることを前提に、学習支援事業を必須事業とし、また、その際にすべての子どもの学びの場を確保する観点を明確にします。

(高校無償化と高校生等奨学給付金の拡充)

  • 高校無償化制度を継続し、家庭の状況に応じて学習支援、生活を支える高校生等奨学給付金の拡充など高校生などが安心して勉学に打ち込める環境をめざします。

(大学授業料減免と奨学金制度改革)

  • やる気と能力があれば誰でも大学に進学できる社会を実現するため、大学等の授業料減免を拡大し、将来的には大学の無償化をめざします。

  • 大学や専門学校等に進学を希望する若者が、親の収入など家庭の状況によらず入学でき、奨学金による借金を背負わずに卒業できる環境をつくります。そのために、先進国では当たり前の、返済のいらない給付型奨学金を創設します。同時に、すべての奨学金の利子をなくすことをめざします。現在、奨学金を借りている人が所得に応じて無理なく返済できる制度をつくります。

(私学助成の充実)

  • 建学の精神や大学の個性と多様性を尊重するとともに、多様な教育の機会を確保するために私学助成の充実を図ります。

安全と安心、子どもを最優先する学校へ

(虐待・いじめ・自殺防止対策の推進)

  • 児童虐待やいじめ防止を強力に進め、子どもの自殺を防ぎます。いじめ対策推進法を強化し、学校の相談体制の強化、学校と教育委員会の取り組みへの責任の確立、日常的な児童相談所、警察との連携態勢を確立します。

  • また、児童相談所職員の量的・質的両面において抜本的な拡充を行った上で、開所時間を弾力的に運営します。

(体罰・セクハラ等の一掃と相談体制の充実)

  • 体罰は学校教育法で禁止されており、決して容認できるものではありません。「体罰等防止法」を制定し、体罰禁止・防止の徹底を図ります。同時に子どもたちを傷つけている強制わいせつ、セクハラの一掃を図るための学内体制を整備します。

  • 全国の小学校、中学校、高等学校にスクールカウンセラーやガイダンスカウンセラー等の配置を進め、相談体制の充実を図ります。

(少人数学級のさらなる推進)

  • 子どもの「見守り」機能の拡充と一人ひとりの子どもがきめ細かい教育を受けられるよう、義務教育における国の学級編制の基準について、公立の小学校2年生から中学校3年生まで順次、35人以下学級とするよう法定化します。

(マイノリティーの人権確立)

  • 学校施設、授業や学校生活全体を通じて性的マイノリティーを含めて人権の尊重を貫き、あらゆる人が孤立したり、排除されたりせず、学校と地域が協力して人権の砦となることをめざします。

(通学安全確保の取組み)

  • 「児童通学安全確保法」を制定し、国が責任を持って体制整備を行うことにより、通学路などでの子どもの安全を守ります。

(学童保育・放課後子ども教室の拡充)

  • 自治体の方針に基づき、学校施設を活用した放課後の子どもの居場所支援、学習支援事業に中央省庁が予算を含めて協力する態勢を作ります。

(学校の施設整備<耐震化・老朽化・トイレ対策>)

  • 公立学校施設、国立大学などの耐震化を完了させ、私立学校についても早期の完了をめざします。

  • 子どもたちが安全で安心な学校生活がおくれるよう、「学校安全対策基本法」を制定し、学校における防犯、防災、老朽化、事故防止、つり天井対策、環境衛生対策などに万全を期します。

(学校体育と部活動)

  • 組体操の一部禁止や部活におけるしごきや精神論の強要の禁止など、スポーツ医学等の科学的識見に基づく体育授業、自主性と人格尊重の課外活動などを進めるとともに、教職員に部活指導を強要するのではなく、地域クラブや企業チーム、プロスポーツ界との連携づくりを促進します。

(学校のあり方)

  • 安易な株式会社化、公設民営学校等には厳しく慎重な姿勢で臨みます。

多様な教育機会の保障

(フリースクール・夜間中学への支援拡充と不登校の子どもへの対応)

  • 一人ひとりの学ぶ権利と個性を尊重し多様な学びを保障するため、フリースクール等への支援を推進します。また、不登校の子どもへの支援を拡充します。

  • また、学齢を超過した後に就学を希望する人に対する教育機会の確保を進めるため、夜間中学の拡充を図ります。

(小中・中高一貫教育と統廃合、学制改革)

  • 新しい学校種である義務教育学校(小中一貫教育)や中高一貫教育について、安易な学校統廃合ではなく、学力の向上やいわゆる「中1ギャップ」などの負担軽減、不登校の減少などの効果を引き出すために計画的に進めるものについては自治体の自主判断で進めます。

  • 6・3・3制の見直しなど学制改革については慎重に検討していきます。

(特別支援学校)

  • 一人ひとりに応じた支援を行うため、特別支援教育のあり方について検討を進め、充実のための体制整備を図ります。

(インクルーシブ教育・バリアフリー)

  • 希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求します。個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を推進します。学校のバリアフリー化を推進します。

地域活性化と高校教育・高等教育改革

(職業技術教育・就労支援と高専の充実)

  • 高校、高専を通じて職業技術教育と資格取得への助成を進めるとともに、高校、大学等における職業技術教育を大幅に拡充するため、企業に協力を求め、その企業規模に応じて、職業技術教育、インターンなど生徒・学生の受け入れを要請します。

(国公立大学改革)

  • 地域における教育機関、地場産業、地方自治体の協力と連携を強化し、教育・研究・地域産業・地域再生の拠点としての国公立大学、高等専門学校づくりを進めます。大学学部改革はあくまでも大学内の議論と方針に拠るものとし、文部科学省や財政当局が介入することを厳に戒めます。

(大学運営費交付金)

  • 大学運営費交付金減額の議論については、授業料の値上げ等につながらないよう、維持増額を図ります。

(語学教育・ICT教育の推進)

  • すべての小・中・特別支援学校へのネットワーク基盤環境の整備、デジタル教科書の普及、教育クラウド(情報ネットワークを活用した教育)の実用化に取り組みます。また、インクルーシブ教育実現のために、障がい者の生活を助ける技術(アシスティブ・テクノロジー)の研究・開発・普及体制を強化します。

(専修学校・各種学校の充実)

  • 専修学校や各種学校が社会の実学を支え、広く産業・社会の人材養成の基盤となっていることを踏まえ、適切な助成を充実させるなど、学校制度上での位置付けを明確にします。

(外国人の子どもへの支援及び日本語教育の充実)

  • 中長期に渡って日本で暮らす外国人が増加していることから、外国人の子どもの就学機会の確保や就学支援、学習支援を行います。

  • また、海外における日本語教育の推進を図るとともに、日本語学校の普及を進めます。

(入試改革・研究活動支援)

  • より充実した教育の質の保障、研究開発能力の向上、大学の国際化、入試改革、少子化による大学再編などを、国民的な議論を深めながら積極的に進め、日本に世界的な高等教育・研究センターを構築していくことをめざします。

教育の仕組み

(文科省・教育委員会改革)

  • 教育委員会制度については、教育行政に関する権限と責任の所在が不明確であり、審議が形骸化しているなどの課題が指摘されています。現在の教育委員会を中心とした地方教育行政制度を抜本的に改革し、教育の中立性を確保しつつ、より首長の責任の強化と議会、教育監査委員会がチェックすることをめざし、教育における責任の所在を明確にします。

  • 文部科学省の集権的・通達行政的な「古さ」を解消し、学校や地域の必要性に応える教育行政組織への改善を進めます。

(教科書検定のあり方)

  • 教科書検定のあり方を見直します。また、学校単位でも教科書を採択できる仕組みを検討します。

(全国学力テスト)

  • 子どもたちの学力、学習状況を調査するための全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)の在り方について、抽出型も含めて、真に子どもたちのためになる方法を検討します。

(教育環境の整備・改善)

  • 教職員が、いじめや不登校など様々な状況に置かれている子どもとしっかり向き合う時間を確保するため、学校現場への専門家配置の充実、臨時的な加配措置によらない教職員定数の充実を図ります。

  • 労災認定基準を上回り、国際機関(OECD)に「世界一多忙」と指摘された教職員の勤務環境を改善します。

(教員免許と研修の充実と効率化)

  • 教員免許の更新制について、研修の質の改善を図るとともに、法定研修との整理統合を行うことで、効果的・効率的な研修体制となるよう整備します。

(コミュニティースクール)

  • 保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家などが参画するコミュニティースクール(学校理事会)の導入を促進し、それぞれの学校が創意工夫を発揮できるようにします。

(男女共同参画教育の推進)

  • 義務教育から高等教育課程において、男女共同参画社会の実現のための教育及び啓発を進めるとともに、教育現場における男女共同参画社会の推進を図ります。

(主権者教育の推進)

  • 18歳選挙権の実現を契機に、現実にある課題や争点について学び、自ら考えて判断し行動する能力を身に付けるための主権者教育を、高校だけでなく小・中学校から積極的に行うことを推進します。

  • 学校現場での取り組みが萎縮しないよう、公職選挙法との関係などを整理し、主権者教育や「模擬選挙」等の実施について支援します。

(高校生の政治活動)

  • 高校生の政治活動・選挙活動については、主権者・有権者にふさわしい対応とし、無用な制限に向かわないよう取り組みを進めます。

(社会人教育)

  • 通信教育、夜間大学院などの充実を図り、学び直し(リカレント教育制度)など多様な教育ニーズに対応する生涯学習社会の実現をめざします。

教育費への予算配分

(教育予算・財政)

  • 日本は就学前教育における公的支出を含めた教育支出のうち、家計などの私費負担の割合がOECD諸国の中で最も高くなっています。

  • また、高等教育における私費負担も韓国に次いで2番目に高くなっており、重い負担となっていることから、教育に係る予算の確保・充実を図り、著しく低い日本の教育への公的負担を大幅に引き上げていきます。

    (参考)
    ・就学前教育の私費負担割合OECD諸国平均18.7%、日本54.6%
    ・高等教育の私費負担割合OECD諸国平均30.3%、日本65.7%

(寄附税制)

  • 教育・研究への支援拡充を図るため、寄附文化を醸成し、大学等への寄付にあたっての税額控除の拡充などを推進します。

【文化政策】

  • 日本の伝統的な文化芸術を継承し、発展させるとともに、独創性のある新たな文化芸術の創造を振興します。子どもたちが学校教育などを通じて、文化芸術に触れる機会を増やし、文化財保護を強化します。

  • 工芸・芸能・祭りなどの伝統文化の保護と後継者養成、映画や音楽、アニメ・漫画等の振興助成を推進します。

  • ユネスコ等の国際機関への対応を的確に行うとともに、文化遺産・記憶遺産登録等への積極的な対応を図るとともに、国際的な論争や紛争の冷静かつ客観的な処理をめざします。

  • 学校図書館や児童図書館の充実と司書等の配置を促進するとともに、図書館を子どもたちの居場所の一つとして位置付け、子どもの読書環境を改善します。

  • 公立図書館や郷土資料館、博物館等の充実を地域起こしの一環として位置付け、公立図書館等の整備充実を進めます。また、文字・活字文化の振興を図るとともに、図書館司書の充実を図ります。

【スポーツ政策】

(2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功)

  • 2020年東京オリンピック・パラリンピックを成功させます。新国立競技場建設問題やエンブレム問題、事業全体の予算、招致の際のお金の動きなど、不透明性も指摘されてきたことから、情報公開の推進による透明性確保をはかるため、190回通常国会で民進党が提案して成立した大会準備や運営について国会報告を義務付ける「オリンピック・パラリンピック準備推進法案」(平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案)に基づき、透明性確保や国民への理解を進めます。

(障がい者スポーツの推進)

  • 障がい者スポーツの普及及び支援、指導者・選手の育成など環境整備を進め、障がい者のスポーツ参加や大会開催を促進します。

(国民皆スポーツ)

  • 地域スポーツの振興、学校部活動、体育授業中の事故防止対策、プロスポーツ振興と現役・OBの雇用対策、スポーツ医学の発達、知的スポーツである囲碁・将棋等の振興を通じて「国民皆スポーツ」に取り組みます。

  • スポーツ基本法に則り、スポーツを通じた地域づくり、人づくりを進め、地域におけるクラブ活動(スポーツ少年団、地域スポーツ文化クラブなど)を支援することにより、様々な活動の裾野を広げ、子どもたちが歓びや楽しさを体験し、協調性や創造性などを育むことを応援します。

  • 誰もが気軽にスポーツに取り組める機会を一層拡大するため、生涯スポーツや地域密着型クラブスポーツの振興を図り、地域に根差したプロスポーツチームの取り組みを支援することにより、スポーツの振興や地域の活性化を推進します。

【科学技術政策】

  • 研究の中核となる大学の研究力を強化し、世界で戦えるリサーチユニバーシティ(研究大学)を増強します。

  • 世界最先端の研究基盤の整備・共用を推進し、世界の研究者を惹きつける国際的な研究拠点を充実させます。

  • 研究者の処遇改善を進めます。大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、またテニュアトラック制(任期付き研究者が審査を経て専任となる制度)の普及などにより優秀な若手研究者を支援します。また、研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援を検討します。

  • 女性研究者が能力を最大限発揮できるようにするため、研究環境の整備を行います。女性研究者の育成・支援に取組み、欧米諸国などに比べ低い女性研究者の割合を引き上げます。

  • 世界に先駆けて本格的な再生医療を実現するため、iPS細胞などの研究に対して集中的な支援を行います。

  • 研究開発型の独立行政法人について、世界の第一線で競う研究開発の特性に応じ、研究開発成果を最大化するための制度構築・運用改善を行います。

  • イノベーション(技術革新)を促す基礎研究成果の実用化環境を整備します。

  • 国際リニアコライダー計画(世界最大級の電子・陽電子衝突型線形加速器の開発計画)の研究拠点の日本誘致に取り組みます。