2030年代原発稼働ゼロ社会

  • 2030年代原発稼働ゼロを実現するために、

    • -40年運転制限制を厳格に適用する

    • -原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする

    • -原発の新設・増設は行わない

    ことを原則とします。

  • 3つの原則を厳格に適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入します。省エネを徹底するとともに、小規模分散電源や自然エネルギーへのシフトを推進します。

  • 原発再稼働については、国の責任を明確化し、責任ある避難計画が策定されることを前提とします。

  • 廃炉を決定した原発の安全な廃炉、再稼働した原発の徹底的な安全管理など、原発稼働ゼロ社会を安全に着実に実現するため、原子力に関する技術の継承・開発、人材の確保・育成について国の責任で取り組みます。また、日本の原発廃炉と合わせて、世界で必要となる廃炉技術を輸出し、廃炉ビジネスの世界展開をめざします。

  • 原子力損害賠償制度について、国と事業者の責任分担の在り方等の点を踏まえ、検証、見直しに取り組みます。

  • 原子力安全の向上に向けて、原子力規制員会のあり方や、原子力規制全般について、不断の検証、見直しに取り組みます。

  • 使用済核燃料の減容化、減量化、無害化の研究開発を国際的に進めます。

  • 当面は化石エネルギーの重要性が高まることから、燃料の安定かつ安価な調達、高効率の石炭・石油・天然ガスプラントの新増設・リプレースに関わる規制の改革などを進めます。

  • 化石燃料の安定確保のための資源外交を進め、またメタンハイドレードなど日本近海の海洋資源の調査・開発を進めます。

使用済核燃料の最終処分

  • 未来への責任を果たすため、高レベル放射性廃棄物の最終処分については、現在の事業者のみが責任を負う形を改め、国が責任を持って取り組みます。

  • 使用済核燃料の安全な貯蔵は、短期的のみならず、中長期的にも必要なものであり、国の積極的かつ責任ある関与のもと、使用済燃料プール、乾式貯蔵施設等による中間貯蔵能力の拡大を進めます。

  • 使用済核燃料の直接処分や暫定保管を可能とするための技術開発や必要な措置など、多様なオプションの検討を進めるとともに、使用済核燃料の総量管理については、日本国民や国際的にも理解が得られるよう全体計画を総合的に検討します。

核燃料サイクル事業

  • 再処理事業については、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持します。核燃料サイクル事業に対する国の責任を明らかにし、今後の原子力発電所の稼働や、技術革新、国際情勢等を踏まえ、在り方について検討を進めます。

  • 青森県を放射性廃棄物の最終処分地にはしません。

原発立地地域の経済、雇用

  • 原発の再稼働を含む原子力政策については、地方自治体、地域住民との話し合い、合意形成を大前提として取り組みます。

  • 国の新たな要請によって影響を受けることになる原発立地地域には十分配慮して、経済、雇用が安定的に維持できるような措置を講じます。

  • 立地自治体の構造転換を支援するため、グリーンエネルギーの導入支援を含めた各種施策を優先的・重点的に行います。

  • 防災対策の重点区域などの見直しに伴い、周辺地域における原子力防災対策を強化します。

地球温暖化対策

  • 徹底した省エネルギーと再生可能エネルギー30%以上の導入等により、2030年に1990年比30%以上の温室効果ガス削減をめざします。

  • すべての国が参加する将来枠組みを採択するため、我が国から具体的な将来枠組みを提案し、主導的な環境外交を展開します。

  • 地球温暖化対策に関する①国際社会に通用する新たな中長期数値目標の設定、②再生可能エネルギー導入目標の設定、③省エネルギーの徹底、④技術開発、⑤環境外交の推進、⑥適応等を盛り込んだ基本法の制定を図ります。これにより、地球環境・生態系の保全、新たな産業の創出、就業機会の拡大など環境と経済発展の両立を図ります。

グリーンイノベーション

  • グリーン成長を社会の大変革につなげていきます。グリーン(環境・エネルギー分野)を我が国の主要な産業へと育成し、次世代自動車の研究開発促進や、スマートシティ構築の強力な推進、洋上風力を中心とする海洋エネルギーの戦略的開発、蓄電池の高度化・低コスト化・普及を加速させることで、新たなマーケットの創造を図りつつ、地産地消の分散型エネルギーシステムを展開します。これによって、再エネ・省エネ産業における雇用を拡大していきます。

  • 再エネ・省エネの類型別に以下のように強力な開発・普及支援を行います。

    • ・太陽光―技術開発、需要創出などによるコスト低減、農地などの規制改革

    • ・風力-建築基準の適正化、環境アセス法の適切な運用、系統対策

    • ・バイオマス―バイオマス資源の利用拡大、バイオ燃料の開発、実用化支援

    • ・地熱―環境と調和のとれた開発の推進、技術開発促進

    • ・水力―水利権への柔軟な対応、ポテンシャル調査補助事業

    • ・海洋―技術開発及び実用化・事業化の促進、海洋利用ルールの法制度の整備

    • ・スマート化―スマートコミュニティの実現、スマートメーターの普及促進

    • ・燃料電池―研究開発・コスト低減支援、燃料電池自動車の普及促進

    • ・蓄電池―新設病院などへの設置、規格の国際標準化への取り組み

  • 再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)については、小規模優先・地域優先、安定電源優先などの原則を整理し、買取価格の見直しを適宜適切に行うとともに、送電網への接続義務を確実に実施させます。また、系統強化・安定化への支援も行います。

  • 住宅の省エネ化を進めるため、新築住宅の断熱・省エネ義務化・省エネリフォームの推進、木材住宅の普及などを図ります。

  • 「公共施設省エネ・再エネ義務化法」を制定し、国の施設への導入を義務付け、省エネルギー・再生可能エネルギー機器の供給を拡大し普及・低価格化を進めます。

  • 再生可能エネルギーの利用拡大の前提として、省エネルギーの徹底をはからなければなりません。特に、住宅やビルなどの建築物の断熱性能は欧米に比べて低いことから、エネルギー消費を抑えることが難しくなっています。建築物省エネ義務化法を改正し、全ての新築建物の高断熱化を義務付けます。また、リフォームにおける高断熱化を推進し、建築物の価値を高めるとともに、建築物の省エネ表示(エネパス)を義務化し、流通市場において省エネ建築物の流通促進を図ります。また、ピーク需要については、スマートメーター、 HEMS/BEMS、デマンドレスポンス(需要応答)などにより大幅抑制するとともに、LED照明などの省エネルギー機器の導入促進を図ること等により、最終エネルギー消費量ベースで、2010年(約3.9億kl)比で、2030年までに9,000万kl以上の削減を実現します。

  • 都市のヒートアイランド対策として、保水性アスファルト舗装の推進、建築物の遮熱塗装や高断熱化の推進、地中熱・河川熱の利用拡大などにより、大幅な省エネルギーと快適な生活の両立を図ります。

  • 日本では熱の有効利用が十分に行われていません。「熱エネルギー利用促進法」を制定し、「熱は熱で」の原則の下、バイオマス、太陽熱、河川熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱など再生可能熱エネルギーの普及目標等を定めるとともに、大規模な再生可能熱供給に対する買い取り制度や再生熱供給機器への助成制度の導入、国の施設での再生可能熱導入の義務づけについて検討を進めます。また、地中熱の利用を推進するため、地中熱利用適正化法を制定し、揚水規制の緩和等を進めます。

  • 「分散型エネルギー利用促進法」、「エネルギー協同組合法」を制定し、省エネの徹底、再生可能エネルギーの普及拡大、再生可能熱利用促進施策を導入することにより、エネルギーの自給自足ができる自立した地方自治体を大幅に増やします。さらに、農業分野における化石エネルギーに頼らない持続可能な農業(小水力や太陽光発電の電力を耕耘機に利用、ビニールハウスの地中熱利用など)モデル事業を各地で展開し、エネルギーの自給自足を支援します。

  • 変電所等にNAS、レドックスフロー等の大型蓄電池を設置し、出力の平準化を図ります。大型蓄電池を普及させるため、コスト低減化のための技術開発を加速させます。さらに、各電力会社によって系統制御技術が異なることに鑑み、複数の一般電気事業者に実際に大型蓄電池を導入し、各社の蓄電池・系統線制御技術を確立するための実証事業を実施します。また、家庭用蓄電池を飛躍的に普及させるために、技術開発を促進するとともに、導入に対して大幅な助成を実現します。

  • 再生可能エネルギーを含む広域的な供給力を有効に活用し、市場を活性化させるため、地域間・地域内の送電網の増強を進めます。また、電力の需給バランスの管理を個々の電力会社が行う仕組みを改め、新たに設立する「広域系統運用機関」が、独立、中立の立場から地域をまたいだ需給運用を行うことで、再生可能エネルギーの導入余地を拡大します。

  • 原発ゼロ社会を実現するとともに、環境エネルギー分野での革新的技術開発と実用サービス展開を図るため、「スマートグリッド革命」を推進します。具体的には、再生可能エネルギーの安定的な利用と国民全体の省エネ・節電行動の拡大を同時に実現するため、①あらゆるレベルでのエネルギー管理システム(EMS)の普及促進、②デマンドレスポンス(需要応答)の導入、③民間資金を活用した日本版グリーンニューディールの導入を図ります。