1.力強い農林水産業の復活

農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化

  • 農家所得・新規農業者の増大、食の安全安心の向上につながった農業者戸別所得補償制度を法制化し、恒久的・安定的な制度にします。また、食料自給率50%をめざし、耕地利用率や農業生産力の向上に向けた施策を推進します。

  • あわせて、農業生産に関する国際基準の導入に取り組むなど、環境や働く人に配慮した国際水準の農業を行う生産者への加算等、農業の競争力強化、輸出の促進につながる農業者戸別所得補償制度へとバージョンアップします。

農協改革

  • 農家の所得向上と経営の安定を図るのみならず、生活や医療、福祉など地域における様々な機能を支える組織として農協を位置付けるため、「地域のための農協」を法律に位置付けることなどを柱とする農協法改正案の成立をめざします。

新規就業者支援等

  • 人・農地プランの作成により、多様な経営体の育成を図りつつ、農地の有効活用、農村の維持・発展など、今後の方向性を明確にする取り組みを支援します。また、中核的な担い手の育成や農地集積を図る中で、青年就農給付金制度の充実などを通じて意欲と能力のある若者・女性農業者等に対する積極的な支援を行います。農林水産業における新規就業者への給付金の充実等を図ることによって、新規就業をさらに促進し、地域のリーダーの育成策を講じます。

  • 農業経営専門マネージャーなど、農業経営に特化した専門家の育成や採用を進めます。

  • 特色ある農林水産高校を活用し、新規就業者の確保を進めます。

林業

  • 森林・林業再生プランに基づき、木材の安定供給の強化、国産材の利用促進を図り、また、フォレスター、プランナーなどの山の専門家の育成等を支援します。適切な森林管理をする者に対する直接払いを維持し、2020年度までに「木材自給率50%」をめざします。合法伐採木材の流通と利用を促進します。

  • 間伐等を実施する上で森林所有者が負担する費用相当額を交付する直接支払制度の充実を図ります。

  • 路網整備や大型機械導入への支援、販路開拓など流通ルート各段階における支援の強化、森林施業集約化をさらに進め、林業の発展と雇用の拡大を図ります。その際、林業における労働安全衛生の徹底を図ります。

  • 公共建築物の木造化の推進、CLTの活用、木造住宅ポイント制度の推進などにより、木材利用を促進します。

  • 安定財源確保を含め、森林吸収源対策のための諸政策を拡充します。

  • 管理経営法等改正法の改正を図ります。

漁業

  • 2020年度までに「魚介類(食用)自給率70%」をめざし、「漁業者所得補償制度」(資源管理・漁業所得補償対策)及び「漁業経営セーフティーネット構築事業」の拡充や税制の見直しなどにより、高騰する燃料・飼料価格に対する支援の充実を図ります。また、省エネ・省コストな漁船の導入支援、広域回遊種を含めた資源増大、国内消費の拡大などに努め、漁業経営の安定を図ります。

  • 漁村集落が行う海の清掃、稚魚の放流等の取り組みなど、多面的機能の発揮に着目した直接支払制度を創設します。

  • 魚種・資源管理の強化・拡充を行います。

  • 外国人漁業規制法等の改正による罰則強化を通じ、徹底した取締りを行い、水産・海洋資源を守ります。

畜産・酪農

  • 畜産経営の安定が急務であることから、肉用牛肥育安定特別対策事業及び養豚経営安定対策事業について、TPP協定の発効を待たず、即時に交付金を交付するよう法制化します。加えて、将来展望を持って畜産経営が行えるよう、飼料高騰への対応を行うとともに、畜産・酪農所得補償制度の導入に向けた検討を行います。

  • 中長期的な視点に立ち、水田等地域資源の有効活用による自給飼料基盤確立に向け、飼料政策の一層の展開を図ります。

  • 地域の特色に応じたブランド力の高い畜産・酪農経営を支援します。

  • 指定生乳生産者団体の廃止など、規制改革会議による拙速な議論に反対し、小規模でも継続可能な酪農生産、酪農を主産業とする地域経済の安定化をめざします。

園芸作物(野菜・果樹・花き・茶等)

  • 野菜・果樹・花き・茶等を含む総合的な収入保険制度を検討します。生産状況等を的確に踏まえた上で、世界各地への輸出も視野に入れ、改植及びこれに伴う未収益期間における経費支援等、引き続き園芸作物の戦略作物化も含めた効果的な生産振興を図ります。

都市農業

  • 都市農業の機能や効果が発揮できるように、市民農園のさらなる開設に向けた取り組みを含め、生産緑地等の持続可能な都市農業を守るための政策の推進を図ります。また、税制の見直しについて検討します。

安定した農林水産政策の実現

  • “猫の目農政”が生産者に混乱を与えていることから、政権交代や政権の枠組みに変更があった場合であっても、基本的な農林水産政策が維持・継続が出来るよう、その仕組みづくりを検討します。

2.食の安全・安心を守る

食の安全

  • 安全・安心な農産物・食品の提供体制を確立するため、輸入農産物を含め食品トレーサビリティを促進し、原料原産地表示の拡大とともに、食品表示の一元化を進めます。

  • 農林水産業の多面的な機能を守り、予防原則・未然防止の観点から消費者の権利に応え、農林水産業を安心・安全の高付加価値の成長産業とできるよう、施策の推進を図ります。

  • 一人ひとりの健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保などを図るために食育を推進します。

  • 食の安全確保に向け、内閣府・消費者庁・厚生労働省・農林水産省など関係政府機関の連携を強化するとともに、窓口のワンストップ化を進めます。

国産農水産物の消費拡大

  • 学校給食への利用拡大を含めた地域の食材の活用拡大を図り、食育・地産地消等の推進を通じて農水産物消費の拡大に努めます。

3.農村を地域再生の核に

農村機能の維持・地域の活力等

  • グリーンツーリズム等、都市と農山漁村の交流の推進等を含めた複合的な農政の展開により、共同体の存続を前提とした農村機能の維持を図り、地域の力をさらに活性化させます。自然災害に強い農業生産と、担い手が安心して営農に取り組めるよう、必要な農業農村整備事業については受益者負担の軽減を図りつつ進めます。

農山漁村における再生可能エネルギーの促進

  • 農山漁村の土地、水、バイオマスといった豊富な資源を活用し、地域の規模に応じた発電事業による地域還元等を通じ、農山漁村の活性化を図ります。

中山間地農業等の推進

  • 中山間地における農村自体が共同体として存続し、農業を継続していけるような体制の整備を推進します。

  • 農業生産活動の基盤の維持及び整備、中山間地域その他条件不利地域の農業支援、有機農業など自然環境の保全に資する農業支援などのため、その実態に合った交付金を交付する「ふるさと維持3法案」の成立を目指します。

鳥獣被害対策

  • 近年の野生鳥獣の異常出没急増、それに伴う人的被害や農作物被害の深刻化といった実態を十分に踏まえつつ、①生息地管理、②中山間地域活性化、③被害防除を3本柱とする対策のさらなる充実を図ります。その際、人の安全確保と農作物被害防止のための措置を確実に講じつつ、広葉樹林・針広混交林など野生鳥獣の生息しやすい森林整備を通じた被害軽減、可能な限りの生態系の再生・回復等に取り組み、鳥獣被害の抜本的解決をめざします。また、ジビエ特区創設について検討します。

4.戦略的農産物を「輸出産業」へ

6次産業化と輸出促進

  • 農林水産物の付加価値を高め、農林水産業者の所得の向上と地域の雇用のさらなる創出を図ります。農林漁業成長産業化支援機構法に基づくファンドから6次産業化に取り組む事業者への出資と経営支援の推進を図る等、施策を一層推進します。

  • 日本の農林水産物の魅力や、ユネスコ無形文化遺産である「和食」など日本の食文化を世界に向けて発信し、販路拡大を含め輸出倍増に向けた戦略的施策を推進します。

  • 農林水産物輸出を促進し、東京オリンピック・パラリンピック大会で国産食材等の使用を可能にするため、農業における「グローバルG.A.P」(農業生産に関する国際基準)、食品加工業における「HACCP」、林業における「FSC」などの農林水産分野の国際認証取得を推進します。

  • 国際的評価の高まる國酒(日本酒)、ワインやウイスキー、焼酎など日本産酒類の生産・流通支援、文化の発信、輸出の促進を行います。