子ども家庭省(仮称)の創設

  • 子ども・子育てにかかわる施策について、縦割り行政を排し、総合的な子ども・子育て支援を実施するため、早期の「子ども家庭省(仮称)」の設置をめざします。

チルドレン・ファースト、社会全体で子どもの育ちを支援

  • 社会全体で子育てを支援します。すべての子どもたちが健全で安心できる環境で育つことができ、すべての保護者がゆとりと責任をもって子育てができるように、妊娠期から一貫して子どもの育ちを支援し、家族全体の心身の健康サポートを行います。男性と女性がともに子どもを育て、社会全体で包み込むように切れ目のない子育て支援をめざします。

  • 教育の無償化を一歩一歩実現し、すべての子どもたちが、生まれた環境にかかわらず、同じスタートラインに立つことのできる社会をめざします。子育ての負担を減らし、少子化に歯止めをかけます。将来的には、財源を確保しながら、旧民主党政権で実現した高校無償化を、保育園・幼稚園から大学まで広げ、給食費など家計の負担をなくしていきます。

子育て支援の拡充

  • 保健所や児童館などの子育て支援機能を強化し、育児の不安や地域での孤立を解消するため、子育て世代包括支援センターを中核とする子どもの育ちや子育てを支える地域ネットワークづくりを推進します。

  • 誰もが安心して出産・子育てができるよう支援を拡大します。妊婦健診費用、出産費用、幼児教育・保育費用、就学関係費用、高等教育費用や育児休業給付など子どもの成長にあわせて必要となる各費用について、一層の助成や給付拡大を行います。

子ども・子育て支援新制度の充実

  • 子育て支援の予算を増額して、保育園・認定こども園・放課後児童クラブなどを通じた保育等のサービス、育児と仕事の両立ができる支援を充実させます。

  • 保護者の就業形態にかかわらず、また都市でも地方でも安心して子どもを通わせることができるよう、幼保連携型認定こども園や小規模保育などへの給付制度を着実に実施します。

  • 2015年4月に施行された子ども・子育て支援新制度がスムーズに進むよう、事務処理を簡略化するなど現場の声を十分に反映させます。

  • 家庭的保育事業など就学前の様々な保育サービスについても、段階的に支援対象を拡大します。安全確保と万一事故が起きた場合の十分な補償のための体制を整備します。

子どもの権利としての保育の保障

  • あらゆる子どもの育ちを保障するための保育を実現します。

  • 待機児童の解消をめざし、潜在的待機児童も含め待機児童の定義を明確にし、待機児童数のカウント方法を全国一律にすることで、待機児童の実態を明らかにして保育園や放課後児童クラブの必要な整備量を設定します。

  • 子どもの命を預かり、人格形成に重要な時期に適切な対応ができる保育人材を確保するために、民進党が提出した保育士・幼稚園教諭の賃金を月額5万円引き上げる「保育士等処遇改善法案」(「保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法案」)を成立させます。

  • 待機児童の解消のために、保育園定員の増員、放課後児童クラブの整備を積極的に行います。小規模保育園や一時預かりについては、保育士配置、子ども一人あたりの面積の基準の緩和を行うことなく、保護者や地域の実情に応じて計画を立て、子どもの安全と良質な保育環境を守ります。

  • 縦割り行政を排し、子どものための保育園開設の促進、運営者の負担軽減を図るため、子どもの安全や保育の質の確保に影響のない規制については、厚生労働省だけでなく、国土交通省、消防庁所管など省庁横断的に見直します。

  • 国有地、公的施設をさらに活用できるようにするために、国や都道府県に、国有地・国有施設を含め、保育園に転用できる場所の候補をリスト化し、市区町村への情報公開を求めます。

  • 保育園等に活用される土地等の課税標準額の減額を含め、税負担を軽減する措置について検討します。

  • 大規模集合住宅の建設にあたっては、事業者等と連携しつつ、人口増等による保育需要を想定した保育園整備、子育てのしやすい都市計画、街づくりを進めます。

  • 近隣住民を含めた社会が保育園に対する理解を深められるよう、より積極的な行政の対応を行うとともに、その仲裁を行う第三者機関の設置等を検討します。また、ドイツの「子ども施設の騒音への特権付与法」等を参考に、「子どもの声、音」に対する社会の理解を前進させるとともに、事業者の訴訟リスクの低減を図る法制度を検討します。

多様な保育の拡充

  • 病児・病後児保育、延長夜間保育、障がい児保育など多様な保育の提供の充実に取り組みます。

  • 公立の幼稚園、保育園を休日や祝日にも開園し、働く人を支援します。

  • 一時保育をインターネットで依頼しなければならない実態を解消し、低料金、柔軟な保育時間で、子どもが安全に過ごせる保育施設の増設を進め、ベビーシッターについても安心して利用できる体制を整えます。

子どもの貧困対策

  • 子どもの貧困の解消のため、毎年の数値目標を設定します。

  • 「社会全体で子どもの育ちを支援する」ことを掲げ、「子どもの貧困」、特に親から子に引き継がれる貧困の連鎖を断ち切ります。生活保護世帯の子ども、4人に1人が成人しても生活保護から抜けることができない実態があります。日本は、OECDの中で教育予算の対GDP比が最低レベルにあり、親の自己負担額は最高レベルです。財政面を含めた公的な支援を大胆に拡充し、教育格差の壁を取り除くために、特に就学前教育や大学など高等教育に対する負担軽減策を実行します。旧民主党が提唱して成立させた「子どもの貧困対策法」(「子どもの貧困対策の推進に関する法律」)に盛り込まれた理念を着実に具現化します。

  • ひとり親が資格取得のために講座を受講する際の負担の大幅な軽減や、講座受講時における子育て支援サービスの提供などの拡充を進めます。

  • 病児・病後児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、ひとり親家庭に対する子育て・家事のヘルパー派遣を拡充します。

  • 離婚後、住居の問題が発生することもあるため、保育機能や無料学習支援を受けられるキッズルーム等が完備された母子家庭等のための「サービス付き子育て賃貸住宅」の整備を検討します。

  • 非婚ひとり親世帯へ寡婦控除を適用する等、いわゆる未婚の母への制度適用における差別をなくします。

  • 社会全体で子育てを支援するという観点から、離婚の際の養育費の確実な支払を確保するため、欧米諸国の例(行政機関の一時立替)を踏まえ、公的関与の拡大の検討をはじめ、公正証書作成支援や裁判支援を強化します。

  • 貧困が子どもの栄養状態・健康に悪影響を及ぼし、その結果として学習、就労等の活動を阻害するという悪循環を断つため、学校給食の実施率の向上、無償化の推進、「フードバンク」「子ども食堂」の促進等の施策を展開します。

児童扶養手当の拡充

  • 日本では、ひとり親家庭等の半分以上が貧困状態にあり、ひとり親家庭等の相対的貧困率は、OECD加盟国中で最悪となっています。「子どもの貧困」の象徴となっているひとり親家庭に対する支援を大幅に拡充します。

  • ひとり親家庭に対する経済的支援である「児童扶養手当」について、第2子以降に対する給付額を月額1万円とします。さらに、支給年齢を20歳まで引き上げます(現行:18歳)。また、現在4ヶ月毎の支給を毎月支給に改めます。親子の生活を下支えし、大学や専門学校への進学のチャンスを増やします。

貧困状態にある子どもの学習支援

  • 生活困窮者自立支援法における子どもの学習支援事業は、任意事業にとどまり、自治体の実施率が低いことに鑑み、自治体に対する支援策を講じることを前提に、学習支援事業を必須事業とします。その際にすべての子どもの学びの場を確保するという観点を明確にします。

  • 少人数学級推進による子どもの「見守り」機能の拡充をめざし、小学校1年生35人以下学級は維持し、小学校2年生から中学校3年生まで順次、35人以下学級を法定化(「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」)します。

  • 給食費・学用品・クラブ活動費等の学校生活に係る諸経費を教育のための必需品として位置付けることを含め就学援助事業を拡充します。

  • 貧困、虐待、育児放棄などにより不登校となった子どもに対し、地域と学校が連携した支援を行います。

  • 「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策」をさらに推進し、教育と福祉の連携を進めるため、小中学校へのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置などを加速します。

給付型奨学金の創設

  • 大学や専門学校等に進学を希望する若者が、親の収入など家庭の状況によらず入学でき、奨学金による借金を背負わずに卒業できる環境をつくります。そのために、先進国では当たり前の、返済のいらない給付型奨学金を創設します。同時に、奨学金の利子をなくすことをめざします。現在、奨学金を借りている人が所得に応じて無理なく返済できる制度をつくります。

子ども手当(児童手当)の拡充

  • 「社会全体ですべての子どもの育ちを支援する」という民進党の理念を明確にするため、「児童手当」の名称を「子ども手当」に改め、その上で、財源の確保に留意しつつ、「子ども手当」の拡充について検討します。

多様な教育機会の確保

  • 幼児期から貧困、障がい、性的指向・性自認など様々な困難によって子どもたちが不利益を被ることなくともに学び合い、支え合う包容力あるインクルーシブ(包摂的)な社会づくりの素地をつくります。あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないように支援し、社会の一員として包み、支え合う社会をめざします。夜間中学、フリースクール、フリースペース、定時制、通信制など「多様な学びの場」を用意し、どのような選択をしても十分な教育が受けられる環境を整備します。

就学前教育の充実

  • 一人ひとりの能力を最大限発揮するために、費用対効果が高いと評される就学前教育を充実させます。すべての子どもが幼児教育を受けることができることをめざして、保育・幼児教育の段階的無償化を推進します。

特別養子縁組等の拡充

  • 特別養子縁組制度を拡充し、実親が育てることが困難な子どもも、家庭的な環境で育つことができるよう、「特別養子縁組の促進等のための児童の養子縁組に関する法律案」を制定します。実親の支援、特別養子縁組制度の周知なども進めていきます。

  • 里親制度に対する広報の強化と里親の育成や支援強化に向け、児童相談所及び児童家庭支援センター等の体制強化を進めます。

児童相談所等の機能の抜本的拡充

  • 相談件数に比して十分な人員体制が整っていないことや専門性の高い職員が不足していることから、児童相談所職員の量的・質的両面において抜本的な拡充を行い、その上で、開所時間を弾力的に運営できるよう整備します。

  • 児童相談所の相談業務の対象に妊産婦も含め、若年妊娠など出産前からの相談体制を整備します。

  • 乳児院・児童養護施設などの児童福祉施設の居住環境の向上、職員の増員、待遇改善など社会的養護環境の抜本的見直し、児童養護施設退所後の自立援助ホームの充実及び財政支援などを進めます。

  • ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)を推進します。

高齢女性に対する支援策

  • 現在でも約半分が貧困状態にある単身高齢女性の環境悪化を防ぐために、貧困状態にある高齢社会の女性のために低額の国民年金受給者に対する追加的な給付を行います。高所得の年金受給者に対する国庫負担部分の年金給付を減額し、これを財源に低額国民年金のかさ上げを実施します。

  • 借家住まいの単身高齢者に対する支援策を検討します。

  • 貧困が命にかかわる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護受給資格の要件をわかり易く提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与します。

貧困・格差に関する各種調査・分析の推進

  • 子どもの不登校のうち貧困によるものや若者の引きこもりの状態、ひとり親家庭の生活困窮の状況、フリーターなどを含む非正規労働者、特に子ども、若者、女性などの生活実態などについての縦断調査を含め調査と分析を進めます。

  • 「女性の貧困」の正確な実態把握を行うための調査・統計を整備します。

  • 障害があること、日本で生活する外国人であること、アイヌの人々であること、同和問題等に加え、女性であることや性的指向や性自認を理由としてさらに複合的に困難な状況に置かれている場合について、きめ細かな実態把握を行い、施策に反映させます。

  • 男女共同参画に影響のある政府の施策については、内閣府や男女共同参画会議等による監視体制の強化に加えて、施策の影響を正しく把握・分析する観点から、ジェンダー統計の整備を一層強力に推進するとともに、世論の動向を把握します。なお、各種の政府の計画における数値目標等についても、その達成状況を可能な限り男女別に示すようにします。

  • 政府が、全国の自治体における男女共同参画の推進に関する条例の制定状況を把握するとともに、条例制定や制定後の運用状況の監視について、積極的に情報提供・助言等を行なうようにします。

子どもの命と権利の保障

  • 民進党は、子どもの持つ「生命・生存・発達の権利」を明確にし、学校でも家庭でもどこにいても、子どもが伸び伸びと育つことができる環境づくりをめざします。

  • 子どもの虐待、いじめ、自殺の問題に正面から取り組み、相談体制を充実し、子ども一人ひとりに応じた支援を拡充します。

子どもの居場所づくり

  • 放課後児童クラブの整備を積極的に行うほか、学童保育の待機児童対策として、国からの学童保育所の整備費・運営費予算の増額、職員の待遇の改善など学童保育の行政的支援、法的整備にさらに取り組み、学童保育の質を確保します。

  • 子育て支援としてのみだけでなく、子どもが自ら育つ場として、学習支援の場として、また、家庭への支援・貧困対策の観点から異年齢集団での活動・生活体験・社会体験をする子育ちの場として、学童保育施設の整備費・運営費の予算を増額し、整備します。

  • 子どもを連れて過ごせる図書館など親が安心して子どもと過ごせる居場所を作ります。

教育・研究現場における男女共同参画

  • 実体験に基づく事例から、男女が真に平等な社会こそ、すべての人に幸福がおとずれる最低条件であることを、小さい時から学べるようにし、就学以前の「性別役割分担意識を固定させないための教育」を行い、学校教育における男女共同参画を進めます。

  • 女性研究者が能力を最大限発揮できるようにするため、研究環境の整備を行います。女性研究者の育成・支援に取り組み、欧米諸国などに比べ低い女性研究者の割合を引き上げます。

  • 社会問題化している教育・研究現場でのアカデミックハラスメント及びセクシュアルハラスメント対策を推進し、意識、慣行の見直しを促進します。

  • 雇用形態・給与等の処遇や研究資金等、女性研究者の研究環境について男女共同参画推進の観点から点検し、見直しを促進します。研究活動と子育ての両立を実現するため、妊娠・出産・育児支援体制の整備を確実に進めます。

  • 妊娠・出産などで高校への進学や卒業を諦めざるを得なかった女性の高等学校卒業程度認定の取得支援など家庭の様々な事情に沿った施策を行います。

災害対応における男女共同参画、被災児童等の支援

  • 子どもの心身のケア、就学支援を長期的・継続的に行い、未来を担う子どもたちの声を復興事業に反映させます。

  • 健康や将来に対する不安を払しょくできるよう、「子ども・被災者支援法」(「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」)に基づき、健康調査の強化、母子・父子避難者への支援、帰還支援などを進めます。

  • 被災者のニーズ把握・支援について、ジェンダーや性的指向・性自認、複合差別への視点からもを東日本大震災、阪神大震災等の検証を行います。

  • 避難所運営への女性の参加、女性や性的指向・性自認で困難を抱えている人のニーズ把握や相談に応じる体制の整備、知識・経験を有するNPO等との連携など災害対応における男女共同参画を推進します。

真の男女共同参画社会の実現

  • 女性も男性もライフスタイルや境遇にかかわらず、社会の一員として能力を発揮できる社会をつくります。

  • チャレンジする女性を応援します。女性の人生の様々な場面での選択を広げ、家庭で、職場で、社会で女性の力が発揮されるよう、より一層の男女共同参画社会の実現を図ります。

  • 女性に対するあらゆる形態の差別や経済的な不利益を解消し、社会における女性の立場の向上を図ることが重要であり、同時に女性の価値観や経験などを十分に反映させることで活力ある社会の実現につなげます。またジェンダー平等教育を通じ、子どもの段階から男女共同参画社会への理解を深めます。

ワークライフバランスの実現

  • 結婚、出産、介護、看護など様々なライフステージにおける休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。労働時間規制により、男性も女性も「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)の実現が可能な環境を整備します。

  • 男性の長時間労働を是正し、ワークライフバランスを整えます。主体性を持って男性が子育てに参画できるように、男性の育児休業取得者数を向上させます。

  • 男女が共に家族としての責任を担い、健康で仕事とともに自己啓発や地域活動もできるよう、ワークライフバランスの確保をめざします。多様な働き方に応じた保育ニーズへの対応や、学童保育の待機児童解消を進め、保育環境を向上させます。

女性の登用

  • 女性が社会で活躍できるようにするため、女性管理職比率の目標値の設定・公表を義務付けるなどの具体的な施策を実行します。

  • 女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)の実効性を高めるため、男女の賃金格差と女性労働者の非正規比率などについて、企業等が把握し目標を設定するよう義務付ける法改正を行います。

  • 「2020年30%」(社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標)の目標の達成に向けて、女性の採用や管理職・役員における女性の登用についての具体的な目標を設定するなど、実効性のある推進計画を策定します。

  • 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に際しては、「継続就業のための環境整備」にとどまらず、物理的な「職場環境の整備」も進めます。

  • 男女雇用機会均等法を「男女雇用平等法」とするとともに、「男女労働者の仕事と生活の調和を図る」ことをめざします。

  • 女性の平均給与額は男性の約7割しかなく、賃金格差が大きく開いたままです。同じ価値の仕事をすれば同じ賃金が支払われるよう、「同一価値労働同一賃金」の法律をつくります。

  • 残業が当たり前の働き方を変えて、子育てと仕事を両立できるように、長時間労働をなくす法律をつくります。

  • 在宅就労を可能とするテレワークの普及、教育訓練給付制度を活用したスキル習得機会の拡大などにより、特にボリュームゾーンである団塊ジュニア世代を中心に女性の社会参加を促進するとともに、結婚・出産前後の女性が働きやすい環境を整備する企業への支援の拡充を行います。

  • 就業継続のための取り組みを前提として、妊娠、出産、育児により退職した女性を同じ事業所で再雇用した場合に補助金を出すといった再就職支援策を進めます。

  • 国家公務員だけでなく、地方公務員においても、超過勤務の縮減に向け、数値目標と達成期限を設定します。男性の育児休業取得促進、各種ハラスメント対策等については、自主的な取り組みのみに委ねるのみでなく、国の方針としての政策誘導等、必要な措置を講じます。

  • 公務職場においても、非正規職員(臨時・非常勤職員)の7割を女性が占め、「官製ワーキングプア」として看過できません。その処遇の改善ならびに雇用の継続を確保するために、労働契約法およびパートタイム労働法の趣旨が適用されるよう必要な法整備を早急に図ります。

あらゆるハラスメントの撲滅

  • セクハラ、マタハラ、パワハラ、パタハラはもちろん、ジェンダーや性的指向・性自認によるハラスメントを禁止するとともに、防止のための職場環境を整備します。

イクメン支援

  • 男性と女性がともに子どもを育てる社会をつくります。女性の社会参加に不可欠な男性の育児参加の抜本的拡充に取り組みます。具体的には、育児休業の代替要員確保を支援することなどにより、男性の育児休業取得率向上をめざします。

  • 男性が女性の補助としてではなく、ともに家庭的責任を担う人間として家事や育児に参加すること等を通じて人間的に生きる権利を持つことを明確にします。

  • 男性の長時間労働の解消、育児休業・介護休業取得の推奨、家事労働への参加を推進します。

  • 極端に低い男性の育児休業取得率を引き上げるため、イクメンプロジェクトの拡充など、イクメン支援を行います。

  • 男性の育休取得促進に関して具体的な数値目標を設定するとともに、きめ細かな実態調査と分析に基づく実効性の高い方策を展開します。

  • 自治体と連携し、特区などモデル事業を通じて、育メン・域メン(イクメンを通じた地域活動)、育ジイ(孫の育児に積極的に取り組む祖父)を増やします。

  • 男女ともに、働き続けることや学び続けることにおいて、子育てを行うことによる不利益を被ることのないよう、育児休業や短時間勤務の取得を性別や雇用形態に係らず促進するため、「パパクオータ制」導入を含む男性の育児休業取得率向上などのための施策展開(イクメン支援)を推進します。

育児休業取得率の向上

  • 育児休業中の職場復帰支援の充実、給与などの待遇面の改善を企業の責務として法律に明記します。

  • 正規労働者はもとより、非正規労働者の育児休業取得・復職が容易となるよう、復職支援を事業者支援とともに進めます。さらに企業が就業規則に非正規労働者でも育児休業が取れることを盛り込むように都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)からの働きかけを強化します。

  • 厚生労働省が取り組んでいる「子育て支援企業」認定(くるみんマーク等)、女性活躍企業認定(えるぼし)の求人広告やメディアへの広告掲載を促進します。

非正規雇用対策

  • 非正規雇用であることや仕事に就けないことなど生活の基盤が不安定なことを理由に、結婚し家庭を持つことや、子どもを育てることを諦めることがないよう、若者の生活を安定させます。

  • 非正規雇用から正規雇用への転換を積極的に進める企業に対する社会保険料事業主負担1/2相当額の軽減措置など、支援措置の拡充を行います。

  • 有期契約労働者に対する育児・介護休業の適用要件をさらに拡大し、事業主・労働者双方への周知徹底その他積極的な取得促進策を講じます。

  • パートタイム労働者や有期契約労働者、派遣労働者などいわゆる非正規労働者の均等処遇を確保し、正規、非正規を問わず働く意欲を持つすべての人に対する能力開発の機会を確保するとともに、正社員への転換の推進を図ります。

クオータ制の導入

  • 男女が政治の政策・方針決定過程に参画し、ともに責任を担うとともに、多様な意思が政治や社会の政策・方針決定過程に公平・公正に反映され、均等に利益を享受する必要があります。特に政治分野における女性の参画の拡大を強く推進するために、「男女同数候補」をめざす法案と、衆議院比例代表選挙区に「男女交互名簿」の採用を可能とする法案の成立をめざします。人口の半分を占める女性の声が、正当に議会へ届く環境をつくり、政治を変えます。

  • 党内クオータ制を導入し、「2020年30%」の目標達成など政治分野での男女不均衡の是正を先導します。政党における取り組み状況・実績の「見える化」を進めます。

  • クオータ制の導入などによる議員、各府省・地方自治体の幹部、企業などの役員・管理職など、意思決定に係るポジションへの女性登用、女性研究者の積極的な登活用などの積極的な推進を行います。明確な指標・目標を設定し、進捗状況を可視化し不断に検証します。

無償労働の公正な評価

  • 家事・育児・介護などの無償労働の負担の男女間の極端な偏りを是正して公平に分担することは、人が人らしく生活できる男女共同参画社会の大前提です。そのため、無償労働の把握、分析及び経済的・社会的評価のための調査・研究を推進し、無償労働を公正に認識、評価し、男女がともに担う社会の実現に取り組みます。

農林水産業、自営業、起業における男女共同参画

  • 農山漁村や自営業における女性の産休・育休、所得保障、社会保険料免除について、実態把握・調査研究を実施し、改善策の導入をめざします。

  • 若者・女性の起業支援のため、「働くなでしこ大作戦」などを推進します。社会的起業・小規模企業等へのマイクロクレジット・金融支援、第二創業など中小・小規模企業の女性経営者を支援します。

男女共同参画に立った国際協調

  • 世界の紛争地域では、多くの女性と子どもが犠牲となり、被害を被っています。世界中の子どもたちが等しく質の良い教育を受けられる権利の保障と、その環境づくりに取り組みます。開発途上国においても一般に女性は教育、雇用、健康等の面で男性に比べて弱い立場におかれています。紛争国や開発途上国で女性の教育水準向上と仕事の充実を図ることは、貧困を是正し、男女格差・国際間格差を解消するために重要な方策です。こうした視点を海外援助に生かすため、政府開発援助(ODA)の予算配分と実施に際して、調査、計画、立案、推進、評価の各段階に男女共同参画の視点を取り入れます。また、関係条約の締結や女子差別撤廃条約選択議定書の締結を促進します。

  • 「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」(ILO第111号条約)を批准します。

  • 「パートタイム労働に関する条約」(ILO第175号条約)、「母性保護条約(改正)に関する改正条約」(ILO第183号条約)について早期に批准します。

  • 「外国人家事支援人材の活用」にも関連して、「家事労働者のためのディーセント・ワークに関する条約」(ILO第189号条約)の批准及び国内法の整備を図ります。

生涯を通した女性の健康の保障

  • 女性が、子どもを産む・産まない、性的指向・性自認等にかかわらず、また人生の段階などに応じて、健康保持・向上のために必要な支援を受けられるよう施策を拡充します。

  • 性と生殖に関する女性の権利と健康を守るための施策の拡充を図り、女性が自己決定権に基づき心身ともに健康で生き生きと自立して過ごせるよう、総合的に支援します。

  • 生涯を通じた女性の健康を保持するためには、幼児期からの教育が重要であることから、学校等における性に関する指導の実施や科学的な知識の普及などを推進します。

妊娠、出産の支援

  • 妊娠・出産・子育てに関する悩みについて、いつでも対応できるよう、24時間対応の全国統一番号のホットラインを開設します。相談と実際の支援を連動させるため、産婦人科・教育機関・企業・保健所・児童相談所・マザーズハローワークなどの関係機関を、周産期母子医療センター等を軸に再構築し、ワンストップの支援体制を整備し、一層の支援を講じます。性暴力・性虐待被害者や若年妊娠等について、迅速に必要なサービスにつながるよう、他の行政機関や民間団体との連携を強化し、包括的な支援を提供します。

  • 不妊治療の費用助成など公的支援の充実、治療期間に応じた「不妊治療休暇」の導入、カウンセリング体制の強化など、切れ目のない支援体制を確立するとともに、不妊治療への社会の一層の理解を促進します。

性差医療の充実

  • 女性と男性の生物学的性差や社会的性差に着目しつつ、女性の心身の症状を診る「性差医療」を拡充します。

  • 女性医療従事者の就業継続・再就業支援、就労環境整備等を強化します。

  • 女性の健康、性差医療等に係る調査研究・統計を行うとともに、その成果等について、教育・研修及び普及・啓発を推進します。

  • 適切な性・生殖に関する情報の提供を進めるため、若い世代の男性(泌尿器科)、女性(婦人科)の検診の普及促進を図ります。

  • 更年期障害の軽減、成年期、高齢期における女性の健康づくりを支援します。

  • 男女の生涯を通じた健康の管理・保持増進のための施策の推進により、健康寿命のさらなる延伸を図ります。

  • 男性は、女性に比べ肥満者の割合が高く、喫煙飲酒者の割合も高い統計があり、精神面で孤立しやすく、自殺者数を見ても男性が多くなっているなど、男性に固有の病気、傾向についても着目し、生涯を通じた健康保持策を推進します。

性暴力被害者支援法の制定など

  • ポルノや売買春、痴漢等の被害からインターネット上の性犯罪、子ども・高齢者・男性を対象とする性的虐待・暴力、あるいは性的指向や性自認に関する暴力に至るまで、性暴力は、被害者の人権を著しく侵害し、心身を害する重大、深刻な被害が生ずる犯罪であり、断じて許されるものではありません。さらに性暴力被害者は、就労が困難になるなど、格差を生む要因ともなっています。

  • 性暴力被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であるという性暴力による被害の特性に鑑み、「性暴力被害者支援法案」(「性暴力被害者の支援に関する法律案」)を制定し、各都道府県に1箇所以上のワンストップ支援センターを設置し、支援員の育成、財政支援を行い、警察への届けの有無に関係なく、急性期、中長期に適した十分な被害者支援を行うことができるようにします。

  • 子どもに対する性犯罪捜査における関係機関の連携等被害者支援を制度化し、真に子どもと女性の人権と一生涯にわたる健康を守ります。

  • 性被害の実態・現実を踏まえた刑法・刑事訴訟法の見直しなど、加害者の適正な処罰とともに、被害者の権利擁護、犯罪防止等、総合的な性犯罪・性暴力対策を推進します。

  • 女性に対するあらゆる暴力を根絶するために、配偶者からの暴力(DV)などその類型や被害者の置かれた立場に応じた幅広い取組みを進めます。さらに実効性を高めるために、「DV防止法」(「配偶者暴力防止法」)、「ストーカー規制法」(「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)の改正、的確な運用を進める等、総合的に推進します。

  • DV、ストーカー対策等について、加害者更生プログラムや啓発・教育を具体的に進めるほかに、加害者対策・研究を充実させます。

  • 10代の望まない妊娠や中絶を減らし、また性犯罪の被害や加害を防ぐため、男女ともに年齢にふさわしい性教育を行います。

  • 人身取引の防止、撲滅と被害者保護を強化するために、「人身取引対策行動計画2014」に基づき被害者への支援を拡充します。

  • メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。

  • アダルトビデオ(AV)やいわゆるJKビジネスにおける女性・子どもの被害防止、被害者救済・支援、加害者取締り等のために、実態把握を進めます。既存の法制度を適切に運用・周知するとともに、必要な改善策を検討します。

  • 売買春等における買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組みを具体的に進めます。

より多様な生き方を可能にする社会の実現

  • 変化し続ける家族や夫婦に関する様々な価値観を持つ人々を支え、制度自体が、その価値観に基づく生き方を阻害しない社会をつくります。

  • 結婚によって多くの女性が姓の変更を求められることが、女性自身の尊厳を傷つけ、またキャリア形成の障害となる場合があります。女性の社会進出を進め、さらに女性の能力をさらに社会に活かしていくために、この障害を取り除く必要があります。夫婦の選択により別姓を法律上可能とする「選択的夫婦別姓法案」の成立に全力をあげます。

  • 戸籍法の改正により婚外子差別を是正します。

  • 生殖医療の現状を踏まえた法整備の検討、出生届の様式変更など婚外子差別の全面撤廃、子どもの出自を知る権利の明定を進めていきます。

  • 「無戸籍児」問題の解決に向け、民法772条の嫡出推定規定等を改正します。離婚による婚姻の解消の場合、離婚に先行して事実上の離婚状態にある期間が存在することが社会通念上一般的と考えられることから、こうした事実関係をもとに、一定の条件のもとで推定排除を認める規定を民法、戸籍法に追加します。

中立的な税制の実現

  • 共働き世帯の増加など社会の構造変化に対応し、男女共同参画社会に資する、性やライフスタイルに中立的な税制の実現に取り組みます。

  • 年金の第3号被保険者の見直しを検討するとともに、共稼ぎ世帯、ひとり親家庭の増加など世帯の態様の変化や家計の実質的な負担に配慮しつつ、配偶者控除も含め、人的控除全体の見直しを行います。

自立と自治の介護保障

  • 介護従事者の処遇改善等によって介護サービスを充実し、家族介護の負担を軽減します。

  • 介護職の賃金が低いことが介護現場の人手不足の大きな要因となっています。介護職の賃金を他産業並に引き上げることを目標とし、第一段階として、民進党の議員立法である「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を早期に成立させ、月額1万円の引き上げを実現します。

  • 財政支出を抑制し、要支援高齢者に対する訪問介護・通所介護サービスを市町村に移管する「要支援切り」は、介護サービスの質と量の低下を招きます。その結果、「要支援」高齢者が「要介護」へと重度化して、逆に財政負担が増えたり、家族の負担増で、家族の介護のために離職する「介護離職」や介護する家族も倒れる「共倒れ」が増加しかねません。民進党は、「要支援切り」を見直します。

性的マイノリティへの支援

  • 性的指向による差別や偏見をなくすよう、支援団体と協力して性的マイノリティに関する政策を充実させます。

  • 少数派が暮らしやすい社会こそ誰もが暮らしやすい社会です。あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないように支援し、差別解消と社会の一員として生活できるための法制を検討します。

  • LGBT差別解消法を制定します。