参院TPP特別委員会で18日午後、岐阜大学応用生物科学部教授の荒幡克己氏、明治大学農学部准教授の作山巧氏、九州大学准教授の磯田宏氏を迎え、参考人質疑が行われた。野田国義議員が質問に立ち、(1)TPP対策のあり方(2)「もうかる農業」にするために必要な施策(3)食の安全・安心(4)食料の安全保障――等に関して質問した。

 関税削減や撤廃までの期間を長く取ったことを評価し、「これに対応した国内対策、競争力強化に向けた息の長い取り組みが必要」と意見陳述した荒幡氏に対し、野田議員は「輸出を増やすだけで日本の農業は強くなるのか」と提起。荒畑氏は「おっしゃる通り。輸出だけで問題が解決するような雰囲気はよろしくな いと思っている。輸入品への対抗力、守りの力を高めてもらいたい」と述べた。

参院TPP特別委員会で参考人質疑

 野田議員の「いわゆる『もうかる農業』を実現するためにはどのような展開を図るべきか」との問いに磯田氏は「特効薬があれば日本の農業は今とは違った姿になっていただろう」と前置きしたうえで、「付加価値を高めていくこと、新たな市場の開拓、差別化し国外との競争を避ける形での販路の拡大。消費者との距離感を、物理的な距離にとどまらず生産者と消費者が交流を通じて信頼関係を高めつつ買ってもらうこと。若手、青年就農者への支援を今後一層強化、拡充してもらいたい。新規参入者のみならず農家の後継者についても十分な支援をお願いしたい」などと述べた。

 政府の説明や資料公開が不十分であることを問題視した作山氏。「食の安心・安全」をめぐっては、「国内農産物を差別化するために食品衛生管理の国際標準であるHACCPや国内の農業生産工程管理GAPの普及、拡大に向けた取り組みを支援していくことは重要」だと指摘。欧米の先進国を中心にHACCPの義務化が進んでいるとして、「日本でも義務化しないと輸出する資格がなくなる恐れがある。そういう取り組みへの支援は重要だ」と述べた。