参院予算委員会では15日から2015年度補正予算に関する総括質疑が始まり、長浜博行議員がトップバッターとして質問に立ち、憲法や補正予算の問題点をただした。

【パラオで見た日本の国際貢献】

 質問に先立ち長浜議員は、参院ODA調査の一環としてパラオ共和国、ミクロネシア連邦を訪問したことを紹介。パラオは先の戦争で日米が激戦となった地で、昨年4月、天皇皇后両陛下が訪問した。同国でODAや青年協力隊・シニア協力隊などの日本の貢献が評価されていることも紹介し、「あの戦争とは何だったのか、平和とは何かを歴史から学ばなければならない」との自身の思いを安倍総理に語った。

【憲法に関する問題】

 長浜議員は「『3本の矢』よりも憲法の3原則の危機が気になる」と述べ、(1)臨時国会が開かれなかったこと(=国民主権に関わる問題)(2)1票の格差(=基本的人権の尊重にかかわる問題)(3)安保法制(=平和主義に関わる問題)――を取り上げ、あえて安倍総理には質問せず、他の閣僚との議論を通じて安倍自民党の憲法認識をただした。

 安倍内閣は、臨時国会を開かなかったことについて「(臨時会の開会要求から)合理的な期間内に通常国会が開かれれば、憲法違反には当たらない」との解釈で正当化している。そこで長浜議員は「合理的な期間内」とはどの程度かと質問した。菅官房長官は、過去には120日や80日の例もある中、今回は75日であり妥当だとする旨を答弁したが、これに対し長浜議員は、自民党の憲法改正草案では「要求があった日から20日以内」としていることを示し、政府の都合のいい憲法解釈を批判した(資料1)。

長浜議員が質問

 1票の格差の問題をめぐっては、2010、12、13、14年の国政選挙がことごとく違憲状態とされたにもかかわらず(資料2)、安倍内閣が積極的に是正に取り組む姿勢を見せないことを問題視。他方、1票の格差を是正する手法として「鳥取・島根」「徳島・高知」をそれぞれ1つの選挙区とする「合区」について、東京一極集中是正の観点からどう考えるかとただした。石破地方創生担当大臣は、憲法43条に規定される国会議員は「全国民の代表」(=地域の枠組みに縛られない代表)であり合区には一定の妥当性があるとする一方、現状では地域代表という性格を有している以上、地域の問題を国政に反映させるために「適正な数が確保されることは大事」との認識を示した。

 安保法制については、国政選挙がいずれも違憲状態である中で行われた解釈改憲であり、本来であれば堂々と憲法改正を訴えるべきだったと強調した。

資料1 自民党憲法改正案と現行憲法の対比

資料1 自民党憲法改正案と現行憲法の対比

資料2 国政選挙で「違憲状態」が続く中、憲法解釈を変更

資料2 国政選挙で「違憲状態」が続く中、憲法解釈を変更

【補正予算に見られる問題】

 長浜議員は、財政法29条では補正予算について「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」を行う場合に「国会に提出することができる」とされていること、また、補正予算はその年の年度末(3月31日)までに使われることが前提であることを確認した上で、今回の補正予算が「特に緊要となった経費」と言えるのかをただした。麻生財務大臣は、補正予算が必要となった理由として、1億総活躍国民会議で緊急に実施すべき対策が取りまとめられたこと、TPP大筋合意を受けて早急に施策を講じなければならないことなどを上げたが、長浜議員は「新しい政策として議論されるべきもので、緊急性が感じられない」と反論し、補正予算ではなく2016年度予算の中で議論するべきだと主張した。

 その上で長浜議員は「補正予算の根拠になっているTPPや1億総活躍社会など、3カ月も国会で議論せずに行政府だけで決めたことは、与野党関係なく立法府は怒らなければいけない。少数党の意見を聞いて、(予算の)ベースになる議論をしてから予算を議論するという手順がめちゃくちゃだ。民主主義を崩壊させる過程に今ある」と訴え、予算編成の仕方そのものが安倍内閣の憲法認識と直結していることを批判した。