参院では21日、決算委員会で2014年度決算について全閣僚が出席しての全般質疑が行われ、江崎孝議員が金融政策や雇用問題、地方交付税制度などについて日本銀行や政府の認識をただした。

甘利大臣に関して報じられた疑惑について

 午前中の安井美沙子議員の質問に対して甘利大臣は「(罪に問われるような事実は)一切ない」と答える一方、大臣自身が50万円を受け取ったことについては「覚えていない」とした。江崎議員は「『一切ない』と言うならば、『50万円を受け取っていない』とはっきり言ってはどうか」と促したが、甘利大臣は「確認する時間をいただきたい」とする答弁を繰り返した。

量的緩和政策の限界を指摘する江崎議員

異次元の金融緩和政策について

 日本銀行が「異次元」と言われる量的緩和策を打ち出したのは2013年4月。「2年で2%の物価上昇」を目標に掲げたが、3年近く経った今でも、その目標は達成されていない。これについて黒田日銀総裁は「日本経済のファンダメンタルズはしっかりしている」として、2016年後半ごろに目標達成できるとの見通しを述べる一方、「(この時期は)原油価格の動向によって前後する」と留保をつけた。江崎議員は「黒田バズーカは黒田リスクに、アベノミクスはアベノリスクになりつつある」と指摘した。

雇用問題について

 安倍総理は明日の施政方針演説の中で「同一労働同一賃金の実現」を盛り込む予定だとされている。江崎議員は安倍総理の意図をただし、安倍総理は「同一労働同一賃金の実現の方針は、女性の活躍や若者を含めた正規・非正規の問題に真正面から取り組んでいくために必要」などと述べたが、具体性に欠ける答弁にとどまった。江崎議員は、「非正規の問題は賃金だけでなく処遇の問題もある」と述べ、育児休業が取れない現状や病気で離職に追い込まれた例を挙げ、処遇改善も含めて非正規雇用の問題を検討する会議を設置するよう提案した。

地方交付税制度について

 政府は、2016年度から地方交付税の算定基準を見直し、他団体のモデルとなるような歳出効率化の取り組みを基準財政需要額の算定に反映する仕組み(=トップランナー方式)を導入するとしている。江崎議員は「地方交付税は、自治体間の財政力格差の解消と計画的な行政運営を可能とする自治体固有の財源だ。トップランナー方式を導入することは、財源保障という地方交付税の性格からかけ離れているのではないか」と危惧(きぐ)を示した。高市大臣は「財源保障機能を適切に働かせることが前提だ」とし、施設管理や庶務、情報システム等の16業務を想定しているとした。

安保法制に関する内閣法制局での検討経過について

 2014年7月1日に安倍内閣が憲法解釈の変更を閣議決定するにあたり、内閣法制局が局内での事前の検討経過を公文書として残していないことが昨年9月に報じられた。江崎議員は横畠内閣法制局長官にこの点をあらためてただし、「決裁文書はあるが討議の議事録はない」などとの答弁を受けて、内閣法制局内に残されている資料をすべて提出するよう要求した。