参院予算委員会の基本的質疑が2日に開かれ、民主党の2番手として質問に立った蓮舫議員は、(1)政府の女性政策(2)子ども・子育て(3)軽減税率(4)子どもの貧困対策――などについて、安倍総理や関係閣僚を問いただした。

 蓮舫議員は、安倍内閣で制定した「2020年にあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合を30%とする」という目標について、計画を下方修正しているのではないかと質問。加藤担当大臣は下方修正しているものではないと述べたが、安倍総理は、「全てで30%を達成できればいいが、現実的な目標として下方修正したが、この目標に向かって進めていく」と認める答弁をした。蓮舫議員は、「女性が輝くと声を高めたことは、数少ない私の安倍総理への評価の一つだ。そういう部分では、数値目標を下げたことは非常に残念だ」と指摘した。

 子ども・子育てについて蓮舫議員は、「働きたいけれども働けない人を支援する政策が最も大事になると思う。希望しているが働いていない人の3分の2が女性で315万人いる。この方たちが働いていない最大の理由は出産と育児だ。この2月に各基礎自治体が待機児童数を発表しれたが待機児童数は増えている。女性の就業者数が増えたから待機児童が増えるという認識では政策を誤る」と指摘。これに対し安倍総理は、「預けられる環境を作っていくことが大事。受け皿を増やしていく」と答えた。蓮舫議員は、「いくらハコ(保育所)を増やしても、人を増やさないとだめだ。保育士の平均月収は21万9千円だが全産業平均の33万円と10万円近く違う。だから絶対的に保育士が足りない。ハコを増やしても人を増やさないと待機児童は解消されない」と重ねて強調し、保育士の処遇改善を進めるよう強く要求した。

蓮舫議員

 軽減税率問題を取り上げた蓮舫議員は、「軽減税率は、低所得者支援としては対象者を限定した給付措置に比べれば極めて非効率。私たち民主党は、低所得者に消費税分を戻す給付付き税額控除を主張しているが、さらに問題は、軽減税率導入の財源に、社会保障の充実として私たちが充てたいとしていた、総合合算制度の財源4千億円が使われることだ」「総合合算制度とは、家計全体をトータルに捉えて、医療、介護、保育等に関する自己負担の合計額に上限を設定するもの。家計を支える人が急に重い病気にかかるなど、想定外のリスクに遭遇することがあるが、そうした時に困っている人たちを補助をする支え合いの制度だ」と指摘し、高所得者に恩恵の厚い軽減税率に4千億円を使うと決めた理由と、残り6千億円の安定財源はどうするのかと追及した。安倍総理は、「3党合意の中から軽減税率を選択した。安定財源は政府・与党でしっかり考えていく」など、残念な答弁しか得られなかった。

 蓮舫議員は、子どもの貧困対策について、「今回の児童扶養手当の拡充では、1人親家庭の子どもの貧困率は0.9%しか改善しない。しかし、第2子、第3子の児童扶養手当を一律3万円に増やせば10%改善される。子どもの貧困を放置すれば、大人になった時にその子どもにも連鎖する。選挙前に高齢者1人に3万円ばら撒く4千億円のお金があるのなら、こちらにお金を使うべきだ」と安倍総理を問いただした。

 「1億総活躍会議で、子どもの貧困対策の実効性を高めるために、民間資金による基金の活用や地方公共団体等を通じた支援があるが、実際に貧困の子どもを助ける活動をしているNPO等には国費はゼロ円だ。なぜここに国費を投入しなかったのか」と疑問を呈した蓮舫議員は、これまで1949万円を集めるために2億円以上の広報活動費が国費で使われている事実を指摘し、「民間に依頼する前にこの資金をまず基金にいれるべきでは」と主張した。加藤大臣は「弾力的に活動してもらうために、民間資金にした」と答弁したが、蓮舫議員は、「民間資金は安定財源ではない。一方で国費基金には、子どもの貧困対策とはレベルの違う潤沢な資金が積み上げられている」と指摘し、無駄に基金を積み上げるのではなく、必要なところに必要な予算を使うよう求めた。

PDF「蓮舫議員配布資料」蓮舫議員配布資料