この場に立つのは場違いな人間ですが、ここに来させていただいた理由は、一つに絞ることができます。それは安倍政治にストップをかけ、方向転換する政治勢力が、どうしても必要だということです。社会経済学者としてどうしても必要だ、一市民としてどうしても必要だ、と思って今ここに立っております。

 では、安倍政治とは何か。もう皆さんは、飽き飽きするほどご存知のことです。社会経済政策に即して振り返ってみましょう。2014年総選挙で何を言ったか、「景気回復、この道しかない」。しかし、今振り返ってみればアベノミクスというのは、アベコベノミクスでしかなかった。最も新しい毎月勤労統計等を見ましても、安倍政権のもとで実質賃金はつるべ落としに低下しました。民主党政権のもとでは、100の指数を保っていましたが、今現在の実質賃金指数は、94のあたりを行ったり来たりしています。これだけ短期間に、6%も実質賃金を低下させた政権が過去にあったでしょうか、ありません。

 しかも実質賃金が下がっていますから、家庭消費も軒並みマイナスになっています。これでは成長するはずもないわけであり、直近のGDP成長率で見れば、2015年の第4四半期にはマイナス1.1%のマイナス成長になりました。年率換算で2%成長すれば御の字というこのご時世のなか、マイナス1.1%という大失態を演じたわけです。

 これは雇用を非正規化し、岩盤規制改革と言ってどんどん働くものの立場を弱めていることの結果に他ならない。

 もう一つ、2012年の総選挙で、安倍自民党は何と言ったか。「日本を取り戻す」と言ったわけです。結果として起ったことは、日本を売り渡したということです。これは小泉政権のもとで進んだ外資の株の持ち率が、安倍政権のもとで飛躍的に伸びてきた。今や、日本の名だたる大企業は、ほとんど外資系企業になっています。ですから、国民に対してほとんど還元はしないとうのもうなずけるところがある。もし国を思い、国民を思い、郷土を愛するのであれば、こうしたことに歯止めをかけなければならない。

 外国人の株式投資が、今、過半数を占めているというのは、国民のなけなしの公的年金積立金まで動員し、官製の株の相場をつくっているからです。このことによって利益を得ているのは、日本人ではなく外国人なのです。

 国を守り、国民を安倍政治から守るために、何としても今、この民進党を中心とする政治勢力が必要であるということを申し上げてごあいさつに代えます。