江田憲司代表代行記者会見

2016年3月28日(月)15時00分~15時39分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=s0v1Xo-YumA


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○民進党代表代行就任に当たって

【代表代行】
 昨日、民進党の代表代行を仰せつかりました江田憲司でございます。これから月曜と木曜に、代表代行3名おりますので、順繰りに会見をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 冒頭、私の役割は代表代行ですので、岡田克也代表を微力ながらしっかりお支えをしていくことに尽きるのだろうと思います。岡田さんとは、よくも悪くも30年来存じ上げている方で、人となりもおそらく誰よりも存じ上げているのかなと。そういう立場からも何かお支えできることもあるのかなと、仕事以外でも。そういう思いでこれからやってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 昨日、結党大会後に申し上げたとおり、「民進党」というのは読んで字のごとく、民とともに進む・歩むという意味でございますが、綱領を読んでいただければおわかりのように、特に社会的に弱い立場にある方々とともに歩むということでありまして、ここが安倍政権との最大の対立軸・対抗軸になるのではないかと私は思っております。もちろん違憲の安保法制を強行した安倍政権に対してしっかりストップをかけていくことも大事ですし、2030年代に原発ゼロにしていくというお約束も大事ですが、やはり安倍政権が、強い者をさらに強くすれば、その“おこぼれ”が弱い立場の者にも行くと。こういった政治では決して日本の将来は切り開けないと私は確信しております。
 それに対して、やはり経済成長は重要、その成長の果実、すなわち税収や、そして改革政党という真骨頂を発揮してやはり行革、税金の無駄遣いの解消、そういったところから出てきた財源、こういったお金をしっかりと社会的弱者のために重点配分していく。常に弱い立場に立つ方の味方である民進党だということを強調しておきたいと思います。
 一言で言えば、私の言葉で言えば「政治は社会的弱者のためにある」。語弊を恐れずにあえて言えば、強い者には政治は要らない。まさに社会的に弱い立場にある方、例えば低所得の方々、低年金のお年寄り、ひとり親家庭・母子家庭・貧困家庭のお子さん、さらには障がいや難病をお持ちの方々、そういった方々に光を当てる政治。
 「政権交代を目指す」というからには、予算配分というか予算編成というのは権力そのものですから、政権交代をして権力を握るということは、そういった意味で予算の配分を抜本的に変えていく。安倍自民党政権とは全く異なる観点から予算の配分を抜本的に変えていく。それが政権を取る意味ですから、そういったものを目指して、これから民進党、しっかりやってまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。


■質疑

○連合との関係について

【朝日新聞・藤原記者】
 今日午前中、連合の神津会長のところに幹部の皆さんでごあいさつに伺ったと思うが、どのような話が出たかを伺いたい。

【代表代行】
 今日は最初のごあいさつですから、特段、皆さんにお話しするような話はしませんでした。とにかく昨日結党したご報告と、今後ともよろしくお願い申し上げますという、以上でも以下でもございませんでした。

【朝日新聞・藤原記者】
 昨日の神津会長のあいさつの中では「支援」という言葉がなくて「連携」という言葉にとどめていたが、こちらのあいさつを聞かれての感想と、今後、連合と民進党との関係をどのように取り結んでいくおつもりか伺いたい。

【代表代行】
 私が答えるよりも岡田代表からしっかりお答えになるべきだと思いますが。私にはいまひとつ、今まで政党としてのおつき合いを連合の皆さんと支援という形でしていただいたことがないので、「支援」と「連携」がどう違うのかよくわかりませんが、いずれにせよ、綱領にもございますように、我々民進党は「働く者の立場に立つ」ということを明確に書いておりますので、しっかりと連合の皆様のご要望や政策、ご意見をお聞きした上で、わが党でしっかり働く者の立場に立った政策を訴えていくことは当然だと思います。
 ただ、私ごとで恐縮でございますが、私は努めて、もう2年ほど前からでしたか、当時、古賀会長とおつき合いをする中で、私も労働組合というものに疎遠だったものですから、連合のお考えも政策もお聞きをしてまいりましたし、1年ほど前からでしたか、神津事務局長(当時)もお入りになって定期的に2、3ヵ月に1度はお会いしお話を聞いてきた限りで申し上げますと、全く違和感はございません。今日も、思い出しましたが、神津会長、それから事務局長、政策局長のお三方とごあいさつをした後、ちょうど役員の皆さんが会議をされておられるというので、そこにも参りまして、そこで岡田代表以下あいさつをしましたが、私はこう言いました。「江田憲司については、皆さん誤解をお持ちかもしれません。しかし、もともと江田個人の政治信条は、『政治は社会的弱者のためにある』。横領に書いてある、『消費者』『納税者』『生活者』『働く者』の立場に立つというのは、私は全く同感でございます」ということを申し上げて、また機会があればしっかりと意見交換をしたいと、そういうことを申し上げてまいりました。
 この際、いい機会ですから申し上げますと、結局、みんなの党、そして結いの党、維新の党と、私、新党を立ち上げてまいりましたが、その分裂の最大の原因が、やはり与党化するのか、それとも野党再編、あくまでも自民党への対抗軸を立ててライバル政党、二大政党を目指していくのかという違いでした。
 よく「憲法改正についてのスタンスが民主と維新で違うのではないか」と。それは皆さん、大阪も一緒にいた時の話でしょう。大阪はもう離れたわけですから。憲法改正につきましても、私どもは将来の課題として議論するのはいい。それから綱領にも書いてあるように、憲法も不磨の大典ではないから、指一本触れちゃいかんという立場ではありません。時代の要請に応じて、改正する必要があれば適時適切に改正していけばいい。しかし安倍総理が言う「次の選挙の焦点」、何を言っているのかということです。国政の重要課題が山積している中で、憲法改正に莫大な政治的エネルギーを使っている場合か、その前にやるべきことがあるだろう。社会保障制度の抜本改革もできない政治家に、憲法改正なんか言う資格はないと思っていまして、一言で言えば、憲法改正なんていうのは国政のいろいろな課題の中のむちゃくちゃ優先順位が低い課題です。だからといって議論するなと言っているのではゆめゆめなくて、誤解なきように申し上げますと、衆参ともに憲法審査会があるわけですから、そこでしっかりと憲法改正についての熟議を重ねていけばいいわけで、それを政権のアジェンダとか選挙の公約の一丁目一番地に掲げていくのはおかしい。優先順位が違うでしょうということを申し上げている。
 簡単に言えば、維新の党は大阪維新の会のメンバーが抜けたことで、より民主党と親和性が高まった。  皆さん覚えておられますか、結いの党って、皆さん、意味がわかりますか。なんで付けたか。「結い」というのは、「結い仕事」。昔、僕の選挙区にもあるのですが、稲刈りとか田植えの時に無償でみんな助け合う、そういうことを「結い」「結い仕事」というのです。結いの党とはそういう意味なのですね、「共生」なのですね、「共生」。当事、細野豪志さん達ともおつき合いをしていたので、「江田さん、名前いいですね、結いの党。『結い』というのは『共生』なんですよ。我々民主党の掲げている理念なんです」と。
 何度も申し上げますが、我々維新の党は、右寄り・保守派のメンバーが分裂で去っていったということで、僕は何の違和感もなく政策的には合流できたと。江田憲司の良心に照らしても、解党は譲りました、解党一点は譲りましたが、それに匹敵する名称・綱領・基本政策になったと。私・江田憲司の良心に照らしても、すんなり受け入れられる中身になったと思って今回合流したわけでございますので、こういった考え方は、逐次皆さんのご質問等々に答えながらいきたいと思っております。
 ですから連合さんと、古賀さん・神津さんといろいろ議論しました。特に連合さんの一番の要望は働き方の問題ですから、働く者の立場に立った政策とは何ぞやということですが、これは明確に一致しました。
 要は、働き方の多様性は連合は認めるんです。雇用の流動性も認めるんです。しかし「江田さん、その前提は、しっかりとセーフティネットを張ってくださいよ」と。それはもちろん、我々がみんなの党時代から言ってきたことです。小泉政権は製造業に派遣を解禁して、セーフティネットを新たに張らなかったから、「派遣村」ができたんです。我々は、みんなの党は、維新の党は、ああいった冷たい感覚ではありません。我々はしっかりセーフティネットを張る。
 具体的には、私はよく言うのですが、スウェーデン型のセーフティネットをしっかり張っていきますよ。スェーデン型とは何ぞやというと、スウェーデンはボルボもサーブも潰しましたね。日本で言えばトヨタ・日産を潰したんです。それで大量失業者が出た。しかし、それは手厚いセーフティネットで、職業訓練だけではありません、失業期間中の生活金(失業保険)も支給しながら、政府があっせんする形で次の就職口まで見つける。
 こういった形でのしっかりとしたセーフティネットを張った上で、働き方の多様性も認める、雇用の流動性、人材移動も認めると言ったら、「いやあ、それはもう大賛成です」と。全く一致しているのです。
 ですから綱領・基本政策にもそれを書き込ませて、特に昨年12月に両党で合意した基本政策にはそれを書き込ませていただきましたし、何を隠そう、その12月の基本政策で「政治は社会的弱者のためにあるとの考えを基本とする」という文言は、わざわざ私が入れていただきました。私の政治信条であり、民主党にも受け入れられる理念として、それをわざわざ入れていただきましたので、まさに私もこの民進党を結成してよかったと今は思っています。
 ちょっと長くなりました。失礼いたしました。

○地域主権改革・大阪都構想について

【東京新聞・宮尾記者】
 大阪の保守系の方が分裂したという話があったが、大阪都構想については、分裂した後も、残ったほうの維新の党も基本的には賛成していたと思う。昨年のダブル選(大阪府知事選・大阪市長選)では、そこのところは民主党とは違ったことを訴えていたと思うが、今、江田さんは大阪都構想に関しては民主党の皆さんと同じ考えか。

【代表代行】
 綱領と基本政策をよく読んでいただきたいのですが、そこには明確に「地域主権改革を断行する」「道州制への移行を目指す」と書いてありますので、全く一緒です。
 大阪都構想自体の個別具体的なプロジェクトの評価が違っていたのでしょう。そこは大阪が途中で変心した。よく覚えておられるように、橋下さんが最初、大阪都構想をぶち上げた時に、後ろには「関西州の実現」と書いてあった。知事時代でしたかね。それが、いつの間にかその看板を外して、大阪都に権限が集中するようなイメージを作た。あれは簡単に言うと奈良県や兵庫県が反対だから、関西州と言っても実現できないから、関西州という看板を下げた、橋下さんが。それで大阪という中で、市は五つに区分して、そこに権限・財源を下ろすのだけれども、大阪都構想みたいなちょっと多少スケールが小さくなったところで来たので、それに対する理解がたぶんあまり十分ではなかったのでしょう。
 いずれにせよ大事なことは、みんなの党以来我々が求めてきたものも、民主党が今回受け入れてくれた基本政策も、「地域主権改革」ということと「道州制への移行」が明確に入っています。もともと民主党の政策でもあったわけですが、道州制はあまり言っていませんでした、民主党は。その意味でもこれは合流効果だと思っています。

○衆議院北海道5区・京都3区補欠選挙について

【共同通信・比嘉記者】
 4月に入ると北海道5区補選・京都3区補選と、民進党として初めて臨む国政選挙になる。代表代行は、この両方の選挙をどのような位置づけでご覧になっているかということと、選挙態勢についてもお考えがあれば伺いたい。

【代表代行】
 これは補欠選挙といえども、今の安倍政権の評価を問う選挙になりますし、民進党結成以降の初めての国政選挙になりますから、この勝敗がその後の政局に大きく影響するだろうということははっきり言えると思います。いずれにせよ私も、どこまでお力になれるかわかりませんが、できれば京都にも北海道にも入って応援をさせていただきたい。
 昨日は、結党大会でお二人のスピーチを見ても、お世辞抜きに、いやぁ、こんな立派な若者がいるんだなと思いました。これならば、本当に心から応援したいと思いましたので、ぜひ。北海道のほうは特に背中が見え始めましたから。1ヵ月以上前はかなり差が開いていたのですけれども。しっかり勝ち抜きたいと思います。

○安全保障に関する民進党の考え方について

【読売新聞・平田記者】
 明日、安全保障関連法の施行となるが、受け止めを伺いたい。

【代表代行】
 施行するのに、いつから運用するのですか。何か後ろめたいことがあるから、選挙の後にするのではないですか。PKOの改正はいつから実施するのですか。そんなやましい法律なら、やめたほうがいいですよ。
 我々は、ご承知のように違憲の安保法制をまず一旦すべて白紙に戻して。ただ申し上げたいのは、そこは共産党や社民党とは違う。我々民進党はしっかり対案を出しました、領域警備法案、PKO法改正案、周辺事態法改正案。残念ながら昨年、維新の党だけが対案を出して、当時、民主党にも相当働きかけたのですが、なかなか対案が出なかった。これも合流効果ですよ、今年になって領域警備法案、PKO法改正案、そして周辺事態法改正案を出した。我々はやはり北朝鮮の核ミサイルの脅威、さらには中国の海洋進出の脅威、こういうことにしっかり万全の態勢をもって臨まなければいかんと思っていますから、こういった対案を出したというのも大きな合流効果、民進党結成の成果ではないかなと私は思っています。

【NHK・加藤記者】
 安全保障関連法の施行に関して、対案を提出したのが一つの成果だとおっしゃったが、提出された対案がなかなか審議されていない状況があると思う。これについて、政府側にどのような対応を求めていくか伺いたい。

【代表代行】
 安保法の対案については引き続き強く審議を求めていきます。しかし、安倍自公政権は取り合わないでしょう。審議すればするほど(安保関連法の)あらが出てくるわけですから。また「違憲」「違憲」の大合唱になるわけですから、絶対に取り上げませんよ。だから選挙で決着をつける。この違憲の安保法制を強行した安倍政権でいいのか、しっかり違憲の部分を白紙化して、北朝鮮の核ミサイルの脅威や中国の海洋進出に対応できるような領域警備法、そういった対案を提出した民進党がいいのかということです。
 私は、周辺事態法も、橋本政権の時の逐条で、橋本総理が非常にお好きな法案だったものですから、一日中、執務室でやりました。その時も集団的自衛権と個別的自衛権の議論をさんざんしましたが、安倍政権以前は、法制局はもちろんのこと、みんなも個別的自衛権の範囲内でおさめるために苦労してきた。はっきり言えば、私も秘書官仲間が今、防衛省や外務省で事務次官や局長をやっていますから、こう言っていますよ、「我々は役人だ。時の政権から、『個別的自衛権の範囲内でおさめろ』と言われたら、幾らでも知恵を出してそういう法律を作るんだけれども、安倍総理からは『集団的自衛権に踏み込め』という指示があったから作っただけだ」と。役人としてはそうでしょう。
 私はこの点は申し上げますけれども、大阪で橋下さんと別れたから、私は個別的自衛権の範囲内におさめる派です。集団的自衛権はまかりならんという立場ですから。ルビコン川を渡ってはだめだということです。
 安全保障のアの字も知らないような政治家が大部分でしょう、経験もなければ知識もない。私は一番の原点は湾岸戦争、PKO法案の徹夜国会明けの成立まで、私も実は海部・宮澤政権、丸々官邸に出向しておりました。今で言う内閣総務官、当時、内閣副参事官ということで通産省から出向して、官邸の国会対応・演説担当として全部見届けましたが、一番思ったことは、本当に政治家というのは安全保障を知らない。選挙にならない、票にならないから。外交や安全保障をまともに勉強したひとがいない。こんな人に、集団的自衛権だと言って、自衛隊も外国から見れば軍隊ですから、それを海外にどんどん派遣したら、ということは、内閣総理大臣が最高司令官ですからね。私は、子どもに鉄砲を持たせるようなものだと思っていますよ、今でも。子どもに鉄砲を持たせてはいかんのです。でも、子どもが鉄砲を持つことがあるから、しっかり歯止めをかけた。それを、なんだかんだ理屈を付けて集団的自衛権でルビコン川を渡ってしまったら、際限なく行きますよ。
 私が一番問題だと思っているのは、この「重要影響事態」で地球の裏側まで行けると言ったでしょう。地球の裏側の戦争って何ですか。日本とは全く関係ない戦争です。そこで空中給油をやる、そこで武器弾薬を提供する。敵はそこを狙うに決まっているじゃないですか。私は、言いますけれども、共産党や社民党ではないですよ、しかし戦争に巻き込まれるじゃないですか。当たり前のことでしょう。それをやろうとしているのです。絶対に止めなければいけないです、これは。今度の選挙はそういう戦いです。

○世論調査の受け止めについて

【テレビ朝日・河村記者】
 各マスコミの世論調査が一部出ているが、(民進党の)支持率が、民主党と維新の党を足した数にも及ばない場合があったり、「期待する」が1割台に留まっていたりする。そういった支持率についてどう思われるか。

【代表代行】
 まあ強がりですが、こんなものですよ、新党の船出というのは。私も幾つか作りましたが、橋下さんと維新の党を作った時もこんなものでした。全てはこれからですね。
 とにかく国民の皆さんはまだまだ「民進党というのはわけわからん」と思っていると思います。だからこそ昨日採択した綱領だとか基本政策を、今日からもう街頭に出ますが、しっかりと訴えて、民進党は何ぞやということをわかっていただければ必ず活路は開けると思いますし、こういう中でも期待が30%近くあるということは、3分の2の歩留まりでも政党支持率20%ですから。皆さんご承知のように、野党は、どんなに頑張っても支持率20%に届かない、どの時代でも。政権交代前の民主党の支持率だって、覚えていますが、よくて15~16%ではなかったですか。それが、選挙が近づくにつれてやはり与野党平等に皆さん扱ってくれますから、メディア、テレビ、平等に。特に選挙のひと月ほど前になると、テレビの討論番組も平等に扱ってくれますからね。大体、平時は野党のメディア・カバレッジなんて低いですよ。そういうことも影響するでしょう。
 それから私の経験を言わせていただくと、みんなの党、2009年8月8日に結党した3週間後に選挙をやりました。「みんなの党?なんだ、こりゃ?」と言って、テレビにも出してもらえない。当時5人、政党要件があったのに、テレビは「30秒、あんたビデオでしゃべれ」と。あとの政党はみんな1時間2時間討論していた。「こんな政党は消えてなくなるよ」と言われた。ところが、どうでしょう、300万票取った。当日、覚えていますが、皆さん方の政治部長さんから、何人からも「江田さん!」と電話がかかってきて、「いやあ、みんなの党が意外に伸びている。下手すると5行くよ」みたいな話で、結局7まで行った。300万票。
 維新の党はどうだったでしょうか。維新の党、一昨年の年末、皆さんの調査はみんな27議席、30行かないという予想です、直前まで。蓋をあけたらどうでしょう、41議席。現状維持ですね。
 要は消極的支持が、最後、乗るんです、こういう政党は、野党というのは。要は、有権者は最後に選択する。特に無党派の人、決めかねている人は。「自民か民進か」となったら、最後どちらかを選択しなければいかんということで、乗ることもある。
 ですから、希望は失わず、前を向いてしっかり国民の皆さんに訴えかけて、理解を求めることができれば、必ず活路は開けると思っております。

○待機児童問題・緊急対策案について

【NHK・加藤記者】
 待機児童に関する問題だが、今日夕方、政府が、保育士の給与4%引き上げなどを盛り込んだ自民党・公明党の提言をもとに、(小規模保育所の定員)上限の撤廃や処遇の改善などを含んだ緊急施策を発表することになっているが、今後、民進党としてどのように待機児童対策をやっていくのか伺いたい。

【代表代行】
 これは、またちょっとプライベートにわたって申しわけない、私はこれでも保育園の送り迎えをついこの間までしていました。まだ小さい子どもがいるものですから。女房も働いているから。
 保育士は大変な重労働ですよ、皆さん。保育士の皆さんの持病って、わかりますか?やったことある人、わかるでしょう、保育園に送り迎えをして、保育士の人とつき合った人は。腰痛ですよ。重労働なんですよ、抱っこしたり、バギーのでかいので公園に連れていって。大変なんですよ。にもかかわらず、「いやぁ、子どもと遊んでいればいいんだろう、保育士は」と言って、給料が全産業平均の11万円低い。とにかくこれに真正面から向き合わないとだめですよ。
 自民党はどうです、これ。2%上げる。人事院勧告の1.9%、これは当たり前ですよ、だって公務員の平均なのだから。プラス2%?月々6000円ですよ。たった6000円月給を上げる。11万円の格差があるのですよ。だから我々民進党は真正面から向き合って、まあこれでも足りないけれども、月々5万円上げましょうと。11万円の格差があるのですから。
 5万円分は2770億円です、こんな財源は出せますよ、皆さん。私、この前、予算委員会でやったでしょう。公共事業、例年5兆円ですよ。橋本政権の時も5兆円、小泉政権の時も5兆円。安倍政権になってナンボになっていますか?10兆円になっているんですよ。震災(復興)とかありますから、多少増えるのはいいでしょう。しかし、毎年2兆、3兆円を使い残している。私がパネルを用いて質したのは、財務省資料です。毎年2兆、3兆円を残している。2770億円の財源がなんで出てこないのですか?聞きたいですよね。簡単にできるんです。
 介護士だってそうです。介護士だって10万以上格差がある。それを我々はせめて、また「バラマキだ」とあらぬ批判をされるから、1万円上げる法案を出しました。保育士については、真正面から向き合って、5万円給料を上げる法案を出しました。
 それだけではありません、今回、自民党の案で問題なのは、小規模保育所の定員19名(上限)を上げるというのでしょう。保育の質を落とす。それから月々6000円上げるって、財源はどこなのですか?また補正を組むのですか?財源はどこから引っ張ってくるのですか?ですから簡単に言えば、自民党案は財源の手当てもせず、保育の質を落とし、お子さんや、親ごさん、保護者の皆さんにリスクを押しつける。簡単に言えば的外れ、期待外れの案だと思います。
 我々民進党は真正面からそれを受け止めて、保育士の給料5万円アップだけではなくて、一時保育、これは自民党も言っていますが、病児保育も大事ですよ、皆さん。それから私の家庭はNPOの保育ママ、近所の一般家庭に預けています。お互い、共働きで21時以前に帰ってこられないので。幾ら保育園に預かってもらっても21時までです。だけど我々は23時、24時になることもある。そういう時には保育ママ、NPOがやっています。しかし問題もあるんですよ。このNPOはしっかり認証して、やはり子どもを持つ親としては、本当に一般家庭に預けて大丈夫か、本当にこの人、信頼できるのかというのを、ちゃんと第三者でチェックしてほしい。僕ら何しているかというと、預けた親同士でお互い情報交換して、「あ、ここなら大丈夫だ」と預けている。ずっとお世話になっていますよ。そういうところの整備も必要です。きめ細かな、皆さんご夫婦で働き方が多様ですから、そういうところに本当にきめ細かい保育サービスをやっていくのが非常に大事だと思います。

○日米安保条約をめぐるトランプ氏の発言について

【共同通信・比嘉記者】
 アメリカの大統領選で、今ちょっと話題になっているが、共和党の候補者指名争いのトップを走っているトランプさんが、ニューヨークタイムズのインタビューで、日米安保条約は片務的であると。日本に対して金額の増額を求めるか、そうでないのであれば米軍を撤退させるべきだと主張している。このトランプさんの考え方について伺いたい。

【代表代行】
 まず、よく勉強してから物を言ってくださいと。いやしくもアメリカの大統領、アメリカの大統領といえば単にアメリカの大統領に留まらず、世界の大統領的な存在。世界平和にも歴代大統領は責任を持ってきた。もう少し勉強されたらどうですか。
 在日米軍基地をなぜ持っているのか。片務ではありませんよ、これは。確かに日本も守っていただいていますが、しかし米国の世界戦略の一環に組み込まれていることも事実でしょう。
 そんな、大統領になってできもしないことを、票が欲しいのか何が欲しいのか、言うことは極めて問題だと思います。

【共同通信・比嘉記者】
 在日米軍あるいは在韓米軍が撤退した後のことについて、日本と韓国は核兵器を持ちたくなるだろうと、核保有の容認ともとれる発言もしている。これについても伺いたい。

【代表代行】
 コメントに値しないでしょう。

○安全保障に関する民進党の考え方について

【読売新聞・平田記者】
 安保法制に関して、集団的自衛権と個別的自衛権の話が先ほど出たが、昨年、維新の党は集団的自衛権を限定的に認める対案を出した。さきに民主党と出した対案には、集団的自衛権の行使に関する法案は入っていなかった。先ほどの話だと、大阪がいなくなったことによって個別的自衛権だけでいいのだという話をされたかと思うが、そういうところで齟齬はないという理解でよろしいか。

【代表代行】
 詳しくご説明しますと、大阪、具体的には橋下・江田論争というのが延々とありまして、その当時からいらっしゃった記者の皆さんはみんなご存じだと思います。
 私は、先ほど言いましたように、ルビコン川は渡らない。確かに安全保障環境は変化した。武器技術の進展もある。昔は対艦砲しか持っていなかったような国ならば、大砲をぶっ放しても日本に届かない。しかし日本に対して北朝鮮がノドンを200発以上向けて、いつでも着弾するような状況で、直接的に日本の領土・領海に侵入がないからといって、指をくわえて座して死を待っていいのか。
 例えば日本海にアメリカのイージス艦が浮かんでいるとして、北朝鮮がそこに短距離ミサイル砲を撃ったと。だけど、「あれは米艦船だけへの攻撃なのだから」と指をくわえているうちに、同時にノドンがぶっ放される。僕は、その可能性が高いと思いますよ。当たり前じゃないですか、北朝鮮の司令官もバカではないんですから。アメリカのイージス艦や艦船を日本海で攻撃するということは、大変な覚悟ですよ。もう全面戦争の覚悟です。
 だからノドン200発を同時に発射する、あるいは発射しなくても発射する蓋然性が高いという時に、日本の自衛隊が(自衛権を)発動するのは何も問題がないと私は思っていて、それは従来の個別的自衛権の範囲内で認められる。なぜならば、2003年、当時の秋山法制局長官がそう答弁しているじゃないですか。それを、維新の党の対案というのはもう少し条文化したということです。
 橋下徹さんは、僕もさんざん議論しましたが、あの人は憲法改正して集団的自衛権をフルに認める立場だというところから、議論をここから始めたのです。
 私は、さっき言ったように、いろいろな安全保障環境が変化して日本の国民の生命・財産を守るにしても、個別的自衛権の範囲を適正化することで、現代的にマッチするように範囲を適正化した上で対応するというのが妥協の産物で、よくグラフを出したのですが、私は個別的自衛権の範囲で認めて、橋下さんは集団的自衛権の中でも認めている。結局、両者の合意点は個別的自衛権とも言えるし、集団的自衛権とも言える、交わった部分だけを「自衛権」と称して認めたのですね。
 しかし、もう大阪はいませんから、元に戻して個別的自衛権の、この(集団的自衛権と)交わる部分も含めて、多少適正化しますよ、さっき言ったように。それはやりますということですから、民主党とはそんなに齟齬がないと思いますし、両党の統一会派の合意で、対案は確かに3法案にとどめましたが、このいわゆる安倍政権が今度設定した「存立危機事態」に対応する部分について、どういう対応をしていくかについては引き続き検討ということになっていますから。それが具体的な法案になっていくのか、それとも解釈運用になっていくのかわかりませんが、その点については全く、大阪が出ていったことで問題ないと私は認識しております。

○衆議院選挙制度改革について

【朝日新聞・藤原記者】
 自民党が2020年の国勢調査に基づいて「アダムズ方式」を導入して定数を見直すという案を出したが、枝野幹事長は既に「これは先送りだ」と批判している。これに関しての受け止めと、この改革に対して後ろ向きともとれる自民党の態度を、「身を切る改革」を訴えてきた代表代行としてどのように受け止めているか伺いたい。

【代表代行】
 もちろん、抜本改革を先送りする、言語道断だと思いますね。また出ますよ、最高裁の「違憲」判決が。1人別枠を残しているのでしょう、「アダムズ方式」をやらないということは。いくらちょっと減らすと言ったって。懲りない面々だなぁと、本当に思います。大島議長には、元自民党出身とはいえ、ぜひリーダーシップを発揮していただきたい。
 「アダムズ方式」を採用するとおっしゃるのなら、2010年から(の国勢調査に基づいて)やるというのは当たり前ではないですか。なんで公明党も降りるのですかね、いいことをおっしゃっていたじゃないですか、2015年でやるのが一番いい。ただ、調査会の答申が10年ごとの大規模調査と書いてありますから、我々は2010年と。自民党は、2020年。ということは、実際に行われるのは2022年。今から6年後。というか、野田・安倍党首討論で国会定数の抜本的な削減をしますと約束してから、10年たってやっとやるなんて、誰が保証するんだろうなと。安倍政権もないだろうし。本当、無責任だなと思います。