長妻昭代表代行は31日、民進党の代表代行として初めての記者会見を行った。

 冒頭、スーツの胸ポケットの青いチーフに目をやって、「今週は『民進党デー』ということで似合わないチーフをつけていて恐縮です」と記者団の笑いを誘った長妻代行。「新党は順調にスタートしている。私自身が取り組んできた『共生社会創造本部』も合流した方も役員に加えて引き続き立ち上げて、民進党の政策としていきたい」と報告した。

 長妻代行は、テレビ朝日の番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターが今夜の番組で退任することについて、「私もマスコミの端くれにかつていたが、テレビから政府批判をする人がどんどん消えて行っている気がする。批判を忘れた国は必ず大きな過ちを犯すのが70年前の戦争の大きな反省だ」と述べるとともに、「民進党の3つの旗印である自由、共生、未来への責任の『自由』とは、権力からの自由という意味合いも強くある。言論の自由や報道の自由が侵されないように、われわれも戦っていかなければならない」と決意を示した。

 新年度予算の成立を受けた安倍総理の29日の記者会見を聞いた感想として、長妻代行は「相当言いたい放題だった」とコメント。介護の問題を例にあげ、「介護離職ゼロと言いながら介護の報酬を下げている。50万人の介護の受け皿を準備するとか、25万人の介護の人材を新たに確保するとか言いながらも、要支援切りをしたり報酬を上げない。介護休業中の皆さんへの給付も上げると言うが、そもそも介護休業の取得率は低いし、もっと言うと有給休暇の取得率は先進国で最も低い」と問題点を列挙し、「こういう劣悪な働き方を見直さないで、一つの事象をスローガン的に、われわれの言っていることを争点つぶしで言っていくことに違和感がある」と語った。

 特定秘密保護法に基づく政府による秘密指定の状況をチェックする衆参両院の情報監視審査会が30日に初の報告書を衆参議長に提出したが、審査会が政府から十分な説明を受けられず、政府が特定秘密の開示に消極的な状況が浮かび上がっている。これに対する受け止めを問われた長妻代行は「残念ながら、やっぱりそうかという感じがしなくもない。国権の最高機関で設置された審査会に対して、相当軽い対応を政府はしているのではないか。これは与党も野党もない。国会の沽券(こけん)に関わるので与野党が結束してきちんと(情報を)出させなければならない」と見解を述べ、懸念を示した。