民進党「TPP交渉過程解明チーム」は11日午後に会合を開き、8日以降不正常な状況となっている衆院TPP特別委員会の状況について経過報告した。

 衆院TPP特別委員会で8日に行われた総括質疑では、西川委員長の著書のゲラとされる原稿をめぐって、石原大臣の不誠実な答弁と西川委員長の中立性を欠いた委員会運営が続き、民進党は「これ以上審議を進められない」と抗議し退席した。

 問題のゲラにはTPP交渉の詳細が記述されており、野党側はこうした著書の出版が許されるのであれば、同程度の情報を国会に開示することは可能だと主張。そのため、審議を再開する前提は西川委員長が自身の著書のゲラであることを認めることだと求めている。しかし、報告されたところによると11日15時現在、西川委員長は公にはこれを認めておらず、与党側からも国会正常化に向けた呼びかけは一切ないという。 

 同委員会理事の柿沢未途議員は「『自分が書いた』と認めれば正常化するにもかかわらず、それを認めようとしない西川委員長が原因を作っている。与党から何らかのアプローチがあってしかるべきだが、それが行われていない。与党にはTPP協定と関連法案を今国会で通す気があるのか」と与党の姿勢に疑問を呈した。

 さらに西川委員長は、8日の委員会が中断した際、速記・中継用のマイクが集音している中で(※)、自民党の理事の質問に「今の新しいやつは消えている。自分できれいに整理したやつじゃなくていちばん古いのが出てるんですよ、書きなぐったやつが」と答えて、事実上、自身のゲラであること認めている。

 柿沢理事は「結果として、うそをついていることが明らかになっている。こんな不誠実な委員会運営を行っている西川委員長では、今後の審議は続けられないという状況だ」と述べ、与党側の対応をみながら、今後の対処方針を国対と協議していく考えを示した。

 会合では柿沢理事のほか、委員会メンバーの黒岩宇洋、村岡敏英、升田世喜男、篠原孝各議員が一言ずつ怒りのコメント。また、近藤洋介筆頭理事、山井和則国対委員長代理も与党の委員会運営に対し厳しい見方を示した。

(※通常、審議中断の際には、その時点の質問者の残りの審議時間を確保するために、委員長が「速記を止めて」と指示して、中断中の発言は議事録に残らないように配慮するのが通例だが、西川委員長は審議の続行にこだわって速記を止める指示を出さなかったため、本来であればオフレコで行われるような自身の発言が収録されることになった。)