参院予算委員会では17日、2016年度補正予算の審議が行われ、福山哲郎議員が質問に立った。福山議員は、(1)熊本地震への対応(2)安保法制を巡る政府・自民党の対応(3)民泊に関する規制改革の状況(4)東京オリンピック招致に関する不正送金疑惑――についてただした。

熊本地震への対応

「被災地障害者センターくまもと」を紹介。

「被災地障害者センターくまもと」を紹介。

 東日本大震災発災時に内閣官房副長官として対応した経験を踏まえ、倒壊家屋のがれき処理費用の補助、特別立法に向けた検討状況、生活支援チームのあり方、仮設住宅のバリアフリー化、地震地域係数の見直し、雇用調整助成金の弾力運用――などについて政府の対応をただした。

安保法制を巡る政府自民党の対応

 福山議員は昨年9月17日の参院平和安全特別委員会での安全保障関連法案の強行採決を振り返り、「私は断じて認めていない」と述べた上で、この強行採決に関する議事録が、未定稿として関係議員に示されたものと、その後に議事録として公開されたものでは、内容が大きく異なることを問題視した。

 未定稿では採決の混乱した様子について「速記中止」「発言する者多く、議場騒然。聴取不能」としか書かれていないが、公開された議事録では「本日の本委員会における委員長復席後の議事経過は次のとおりである」「速記を開始し」と、議事が進行したかのように記述されている。

 福山議員は「『速記中止』は野球に例えれば『タイム』がかかったということ。その後『プレイボール』の宣言がないにもかかわらず、いつの間にか、誰かが『プレイボール』があったことにして、さも整然と議事が進んだように書いてある」「まさに事実をねじ曲げたもので、歴史に背くことになる。もう一度やり直すべきだ」と主張した。その上で、この件について安倍総理の見解をただしたが、安倍総理は「参院の運営のことは参院で決めるべき」と、自分とは無関係といわんばかりのご都合主義に徹した答弁を繰り返した。

未定稿の議事録

未定稿の議事録

公開された議事録

公開された議事録

民泊に関する規制改革

 福山議員は、京都市が行った民泊の実態調査を紹介。それによると民泊施設2702件のうち無許可のものが1847件(68%)、所在地が特定できない施設が約半数、用途違反が322件など、極めて問題の多い実態が明らかになった。最近では、民泊仲介事業者によってインターネット上に全国各地の民泊施設が紹介されているが、そこには旅館業法の許可を受けない違法営業が数多く含まれると推測される。福山議員は、違法な民泊は感染症やテロといった問題に対応できない状況を生じさせかねないと問題視し、「違法なものを合法化するのが規制緩和ではない。課題を見つけてルール化することが重要だ」と強調した。

東京オリンピック招致に関する不正送金疑惑について

 福山議員は日本オリンピック委員会の竹田会長に対し、ブラック・タイディングス社との契約について「契約書や成果物を見たことがあるのか、それを開示することはできるか」と質問。竹田会長は「契約書、成果物を確認しているが、守秘義務があるため開示できない」とし、疑惑を晴らすような答弁はできなかった。