枝野幸男幹事長は22日、栃木県宇都宮市を訪れ、田野辺隆男(たのべ・たかお)参院選栃木選挙区推薦候補予定者の後援会総連合会結成大会に出席し、安倍政権の暴走を止めるため民進党への支持を訴えた。会場には約500人の参加者が詰めかけ、後援会総連合会の結成を確認するとともに、参院選に向けて思いをひとつに「ガンバロウ」コールを3唱した。

【栃木】「一人ひとりを大切にし平和国家日本として尊敬される未来を」田野辺予定候補

 決意表明の冒頭で田野辺候補予定者は、「国会議員は1人の人間として国民の声を聞き、国政を考える人間でないとならない」と語った。NHKで「すみません人生」と称されるディレクター歴を重ねてくるなかで、カメラマン、音声、セットを作る人、お弁当の手配をする人と、多くに「すみません」と声をかけ、メンバーの協力があったればこそ番組はできあがっていったと振り返り、「社会も同じ。多くの人が支え合いがあるからこそいろいろなことができる」と語り、支え合いの社会の重要性を語った。

 そのうえで「今の日本はみんながピリピリしながら生きている気がする」とし、勝ち組になろうと競い合い、不安を抱えて生きる人が多く、勝ち組になったとしてもつまづきがあれば不十分な社会保障のなかで窮地に陥り、不安が一気に増大するのが日本社会の現状だと分析。自身の経験に基づき、「認知症の親を抱えて介護施設を見つけられなければ、仕事どころか身動きが取れなくなる状況がある。そんな政治をだれがやっているのかと強く思う」と、大企業重視・国民軽視の安倍政治への憤りをあらわにした。

 また、3人の子どもを育てた経験から教育費の高さが教育格差につながり、また多くの学生が奨学金とは名ばかりの学生ローンに苦しんでいること、若者の多くが非正規労働者にならざるを得ない社会になっていること、保育園に入れない子どもたちが増加していること、安倍政権が強行成立させた安保法制の暴挙などを列挙し、「私が作りたいのは安倍さんと違う未来。1億人を競争させ、苦しんでいる人間を放っておいて、勝ち残った人間だけが進んでいく安倍さんが目指す社会ではなく、私が皆さんと作りたいのは一人ひとりが大切にされ、一人ひとりに居場所があり、世界のなかで平和国家日本として尊敬される未来。それは絶対に可能だ」と語気を強めて訴え、その実現を目指していく考えを表明した。

枝野幸男幹事長

枝野幸男幹事長

 党を代表してあいさつした枝野幹事長は、「政治には緊張感が必要。政権がおかしなことをやったら正す。こういう緊張感のある政治を取り戻さなければならないと強く思う。そういう意味で夏の参院選は大きな意義を持っている」と語った。1人区である栃木選挙区で田野辺候補がNHK宇都宮放送局長という安定した立ち場からリスキーな世界へと手を挙げてくれたことについて敬意を表し、「何とか戦い抜きたい、勝ち抜きたいと思っている」と力を込め、安倍政権へのチェック機能を高めるためにも民進党への支持を訴えた。

 また「自己責任」論をふりかざす安倍政権の政治姿勢に対して、「切磋琢磨(せっさたくま)することがなくなるのは好ましくないが、政治が自己責任を強調する社会はおかしい。病気やけが、親の介護など、だれでも自己責任では解決できない予期しない問題が生じることがあり、それを支える助け合いの仕組みを作るのが政治であるはずだ」と疑問を表明。「投票に行かない人が近くにいたら行こうと声をかけてほしい。投票しないこと、声を上げないことは民主主義では『認めている』ことと受け取られてしまう。このままではちょっとまずいという人は社会を変えるための投票に行こう。勇気を持って行動しよう」と呼びかけた。

 集会には県連代表の福田昭夫衆院議員、柏倉祐司衆院栃木1区公認内定候補、藤岡隆雄衆院栃木4区公認内定候補らも参加した。

会場を埋めた約500人の参加者と思いをひとつに「ガンバロウ」を3唱

会場を埋めた約500人の参加者と思いをひとつに「ガンバロウ」を3唱

■ぶらさがり記者会見

 宇都宮市での集会のあいさつの後に枝野幹事長は記者の質問に答えた。

 参院栃木県選挙区の戦いについて問われ、「1人区での戦いが重要というなかでまだ相手の背中にまでは届いているとはいえないが、いい候補者で充分に戦い得ると思っている」と述べた。

 参院選の32の1人区で野党候補が1本化される見通しとなったことについて有権者の期待の高まりをどう見るかについては、「自民党との一騎打ち構造が非常に多くのところで作られているということについては歓迎すべきことだが、それぞれの県ごとに一騎打ち構造が作られるに至った経緯や構造が違うので一概に言うことはできない。ただ多くのところで安倍政治への不信と不安と不満の受け皿が大きくなったということで大きく期待していただける地域が多いのではないか」と語った。