民進党は27日午前、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」(通称・LGBT差別解消法案)を衆院に提出した。

 レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーをはじめとする性的少数者が性自認や性的指向をカミングアウトした場合や意図せずに知られた場合、差別にさらされるという困難に直面する。本法案は、国や地方自治体が性的指向又は性自認を理由とする差別の解消を推進するための方針・計画などを定め、行政機関や事業者が性的指向又は性自認を理由として差別的取扱いを行うことを禁止すると同時に、雇用(募集・採用)の際の均等な機会を提供し、ハラスメントを防止すること、学校などでいじめなどが行われることがないように取り組むことなどを定めたもの。

 本法案には、次のような内容を盛り込んでいる。

  1. 目的 性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等を推進し、もって全ての国民が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する豊かで活力ある社会の実現に資すること。
  2. 基本方針及び都道府県基本計画 政府は、性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する基本方針を作成。都道府県は都道府県基本計画を、市町村は市町村基本計画を策定。
  3. 差別の禁止 行政機関等(国の行政機関、地方公共団体等)及び事業者における性的指向又は性自認を理由とする差別的取扱いの禁止。行政機関等及び事業者に対する性的指向又は性自認に係る社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の義務(事業者については努力義務)。
  4. 雇用の分野における差別の解消等 募集及び採用についての均等な機会の提供、雇用後の各場面における差別的取扱いの禁止、必要かつ合理的な配慮の努力義務。ハラスメントの防止に関する雇用管理上必要な措置。
  5. 学校等における差別の解消等 差別の解消・ハラスメントの防止に関する学校長等の必要な措置。
  6. 差別の解消等のための支援措置 相談及び支援並びに紛争の防止又は解決のための体制の整備。啓発活動 等

提出後の記者会見

 提出後の記者会見で筆頭提出者の西村智奈美衆院議員は、旧民主党が作成したLGBT差別解消法案(骨子案)を議論のたたき台として超党派議連に提示したが議論が進まず、自民党が独自に理解促進法案を示したことで膠着(こうちゃく)状態に陥った経緯を紹介し、議論を前進させるとともに、民進党の考え方を世に問うために法案提出となったことを説明した。

 提出者の細野豪志衆院議員は、身近な人にLGBT当事者がいれば、学校や職場で直面する困難の現実、差別解消の必要性が理解できるとし、法案の有用性を訴えた。同じく提出者の山尾志桜里政務調査会長は、法案作成段階から当事者とも連携してきた経過を紹介し、法律の成立に期待を示した。

 記者会見には、人権問題を所管する井出庸生ネクスト法務大臣も同席した。

PDF「LGBT差別解消法案の概要」LGBT差別解消法案の概要

PDF「LGBT差別解消法案要綱」LGBT差別解消法案要綱

PDF「LGBT差別解消法案」LGBT差別解消法案