参院にパワハラ規制法案を提出

 民進党と希望の党は27日午後、通称「パワハラ規制法案」(正式名称「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」)を共同で参院に提出した。法案は、民進党が希望の党と設置した「働き方改革検討のための合同会議」で取りまとめられたものであり、政府の「働き方改革」法案の対案パッケージである「安心労働社会実現法案」(4法案)の1つ。

 「安心労働社会実現法案」は、誰もが安心して働き、安心して暮らしていける社会をつくるための改革を盛り込んだ法案。「パワハラ規制法案」以外に、衆院に提出予定の(1)「雇用対策法の一部を改正する法律案」(2)「労働基準法の一部を改正する法律案」(通称「長時間労働規制法案」)(3)「労働契約法の一部を改正する法律案」がある。

 民進党はこれまで、労働時間の延長の上限規制等を盛り込んだ法案を 2016年4月に提出するなど、わが国の異常な働き方を根本的に改善する取り組みをリードしてきた。同年11月には、大手広告代理店の新入社員の過労自殺を重く受け止め、提出済みの議員立法に違法な時間外労働への罰則強化を追加した法案を再提出した。さらに、民進党では、この新入社員の過労自殺の要因の一つといわれるパワハラへの対処を含め、9つのテーマで法案の立案等に取り組んできた。こうした経緯で立案された「パワハラ規制法案」は、職場内のパワハラのみならず、会社間のパワハラや過剰クレーマーへの対応策も盛り込んでいるのが特長。法案(PDFダウンロード参照)のポイントは、次の通り。

◆会社内、会社間のさまざまなパワハラへの対応

 (1)職場内でのパワハラ(2)親会社や取引先の関係者などからのパワハラ(3)下請け会社などの労働者に対するパワハラ――に対して、労働者の安全・健康を守る観点から必要な予防・保護のための措置(例、労使によるガイドラインの策定、周知徹底、相談窓口の整備など)を講ずることを事業者に義務付ける。

◆過剰クレーマーへの対応

 顧客やユーザーなどからの過剰クレームによる健康被害等についても、労働者の保護のための措置(例、労使によるガイドラインの策定など)を講ずることを事業者に義務付ける。


 法案提出後の記者会見で、民進党政務調査会長の足立信也参院議員は、「約2年前に民進党の厚労担当になった時から、現状の働き方の問題点や、生きがいのある安全な働き方にするためにはどうすればいいかと、課題ごとに検討を繰り返してきた」と経緯を述べた上で、「今回政府が提出した法案の中にないものがこのパワハラ・セクハラ問題だ。現在国会はこういう状況だが、今のこの時期こそ法案を提出する意義がある」と強調した。

 筆頭発議者で合同会議の共同座長でもある民進党の石橋通宏参院議員は、「今この瞬間にも現場ではパワハラ被害にあって仕事が続けられなくなり、時には命にも関わる問題も発生している。この対策なくして何が働き方改革なのかという思いで、この間1年半近くかけて議論してきた。成立を目指して力を合わせて取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

 法案提出には、民進党から小林正夫、田名部匡代、川合孝典、浜口誠各参院議員が参加した。

 法案提出後の記者会見

20180427「安心労働社会実現法案」全体像


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