枝野幸男幹事長は14日、今夏の参院選挙に無所属で挑戦するたのべたかお(田野辺隆男)候補予定者とともに栃木県宇都宮市内で街頭演説を行った。

聴衆にアベノミクスの是非を問いかける枝野幹事長

聴衆にアベノミクスの是非を問いかける枝野幹事長

 枝野幹事長は、参院選挙での争点の1つとして、「これ以上アベノミクスのエンジンをふかしていいのか、それとも普通の人が豊かになる経済政策へと転換していくのか。そのことを多くの有権者の方に考えていただきたい」と提起。国民の約7割が「アベノミクスを実感していない」と回答していることにも触れ、「アベノミクスによる財政出動や金融緩和は、株価を上げるには役に立つかも知れないが、本当に暮らしを、経済を元気にするものではない」と断じた。「私たちには対案がある。普通の人を豊かにする子育てや老後、雇用の安心のためにしっかりと限られた予算をつけていく。例えば子育て支援のためには保育士不足を解消する保育士の処遇の改善を、老後の安心のためには介護職員の不足を解消する介護職員の処遇の改善を、雇用の安心のためには正社員の就職口が減少し不安定な非正規雇用が増加している状況を変えていくことが何よりの景気対策、経済対策だ。暮らしを下支え、底上げすることこそが少子高齢、人口減少社会で経済を元気にしていく王道だ」と力を込めた。

 安倍総理が野党に対し「対案がない」と発言していることには、「今年の通常国会で、政府が国会に提出し成立した法案は70本程度だが、私たち民進党は議員立法として64本を提出した」と反論。保育士の処遇改善や介護士の処遇改善、長時間労働の弊害を改める、安定的な雇用へと段階的につなげるものなどを一例に挙げ、「数の力でそれを審議にすら応じずに、選挙になったら『対案がない』と言うなんて冗談じゃない」「3年半、結局皆さんのところに行き渡らなかったアベノミクスを、さらにエンジンにふかせるのか、軌道修正して普通の人が豊かになる経済政策へと変えていくのか、ぜひご判断いただきたい」とあらためて訴えた。

「一緒に政治を変えよう」とたのべ候補予定者

「一緒に政治を変えよう」とたのべ候補予定者

 たのべ候補予定者は、栃木県芳賀町出身の元NHK宇都宮支局長。2年前に支局長として地元に戻ってきたが、2015年、孫が生まれたことで一層日本の未来への不安を強め、「安倍総理は国民の声を聞いていない。このままでは私たちの子どもや孫たち、次の世代にツケを残すことになる」と同年12月にNHKを退職、政治活動を始めたと自己紹介。いま日本が直面している一番の危機は人口減少だとして、その要因となっている子育てや働くこと、老後の暮らしへの不安を募らせる安倍政治からの転換が必要だと説いた。

 安全保障関連法については特に、「戦争に巻き込む法律だ。自分の子どもを戦争に行かせたい親がどこにいるのか」と懸念を表明。「戦後70年続いてきた平和をみんなで守ろう。一緒に栃木から政治を変えよう。この夏みんなで安倍総理が進める未来とは違う未来を選ぼう」「未来を選ぶのは主権者である私たちだ。私たちが選ぶ未来は、一人ひとりに居場所があって、弱い人、競争に負けた人ももう一度チャンスがあって助けてもらえる社会。子育てがしやすく老後が安心な社会。世界から平和国家として尊敬される日本だ」と呼び掛けた。