枝野幸男幹事長は14日夜、山形県山形市内で開かれた参院選山形選挙区の舟山やすえ(康江)候補予定者の「総決起集会」に出席し激励のあいさつをした。

 この中で枝野幹事長は「舟山やすえさんを先頭に安倍政権の暴走に歯止めをかける大きなうねりを山形からつくっていこう」と訴えた。舟山候補予定者の国政復帰を望む約2400人が参加し、立ち見も出るなか勝利を誓う熱気に包まれた。

枝野幹事長

 安倍総理が的外れな野党批判を連日繰り返していることを問題視した枝野幹事長は、なかでも「野合」との批判を取り上げ、「今回の参院選挙は、政権選択の選挙ではなく衆院のチェック機関としての役割からも3年半の安倍政治がいいのか悪いのか、これを問う選挙だ。軌道修正をする、ブレーキをかける、方向転換をするべきだと考える幅広い皆さんが集まっているのは筋が通っている」と主張。「この選挙で問われるのは、アベノミクスのエンジンをさらにふかせるのを許すのか、それとも軌道修正するのかということ。普通の人が豊かになる経済政策へと変えていくための一歩を踏み出そう」と呼びかけた。

 憲法改正をめぐっては、2013年の参院選挙では「アベノミクス」と経済だけを訴え選挙を戦いながら、選挙に勝利すると政府が情報隠しを堂々とできるようにする特定秘密保護法を強行、2014年の衆院総選挙でも「アベノミクスを問う」と経済を訴え選挙を戦いながら、選挙後には集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法を強行したことに言及。安倍総理が、どちらも選挙公約の最後に小さく書いてあったことを理由に「選挙に勝ったんだから信任を得ている」と強行させたことから、「2度あることは3度ある。今回も安倍総理は経済、経済と言いながら選挙に勝てば選挙公約の最後にある憲法改正を強行してくるに違いない」と指摘した。

 枝野幹事長は、「私は、憲法を絶対変えてはいけないという立場ではない。国民の理解を得て、よりよく変えるのならば変えるべきところはあると思っている。しかし、今の安倍総理が進めるこのやり方を許してはいけない。国民をだまして、ごまかして、ひきょうなやり方で憲法を変えようとしている。こんなやり方は民主主義ではない。アベノミクスにはもれなく憲法改正がついてくる」と指弾した。

 「参院選挙の象徴である32の1人区、この山形で舟山やすえさんが勝てないようではどうにもならない。必ず勝利をしてアベノミクスの暴走に歯止めをかける大きなうねりをこの山形から舟山さんを先頭につくっていかなければ暴走は止められない。みんなの力を合わせこの山形から暴走を止める大きな一歩、舟山さんとともに作り出していこう。ともに頑張ろう」と訴えると、聴衆からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。

舟山候補予定者

 舟山候補予定者は、超満員の会場を見渡し「感無量」と述べると、「この感慨に浸ってばかりいるわけにはいかない。あらためて今回の選挙の重要性をひしひしと感じている。何としても負けることのできない選挙だ。今回の選挙の構図は、自公という巨大政党に対して野党、市民、県民連合の戦いだ。オール山形の皆さんの力でこの選挙戦を戦い抜きたい」と力を込めた。

 「まずは安保法制廃止。安倍政権下での憲法改悪を絶対止めること」「消費増税ができないくらい今の経済状況は悪化しており、アベノミクスは明確に失敗だ。私たちが目指すのは、通りいっぺんの経済効率だけを重視する今の形ではなく、かつてライシャワー博士が言った『山の向こうのもうひとつの日本※』だ」と表明。農業政策をめぐっては特に、「強い農業だけを目指すという方向性自体が間違っている。農業の役割は、食料を供給することに加え、そこに農業があることでいろいろな人たちが生活をし、作業をして、共同作業が生まれて水や緑を守って、お祭りを守る。こうしたGDPでは測れない、お金には替えられないさまざまな価値を生んでいる。ここを守ることが地方創生の原点にあり、地域を守る原点だと思う。GDPを増やすことだけにきゅうきゅうとしている今の政治に対して、もっと心の豊かさや地域のありがたさなどをしっかりと守り育てる、そういう政治を今こそ目指し、つくっていきたい。今こそ、『山の向こうのもうひとつの日本』がまだまだ残っている山形から、今の政治を変える大きな一歩を皆さんと一緒に踏み出していきたい」と訴えた。

 ※「山の向こうのもうひとつの日本 やまがた」という、元駐日米国大使のエドウィン・O・ライシャワー氏の言葉。松尾芭蕉や、円仁と山寺、山形の個性あふれる文化や自然、人の魅力を紹介しながら、山形は、大都市である東京や大阪、日本の歴史を残す京都や奈良とも異なる「もうひとつの日本」であり、自然の中に点在する小都市に快適な生活空間がある、日本の本来の姿を思い出させる美しいところであると記している。

会場には定員の2千人を上回る約2400人が参集

会場には定員の2千人を上回る約2400人が参加