あいさつする初鹿座長


 民進党は1日、「年金損失『5兆円』追及チーム」の会合を国会内で開き、厚生労働省と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から説明を聞いた。

 GPIFが7月29日に公表した2015年度の厚生年金・国民年金積立金の運用実績が5兆3098億円の赤字になったことを受けて、年金運用のポートフォリオについて「株の運用比率を変えなかった場合はどれくらいの運用損になっていたか」と山井和則議員が質問すると、GPIFの運用担当者は「基本ポートフォリオそのものは長期的な観点から作成されている。25年間の運用を想定して作成したものであり、長期的な観点から評価すべきで短期間で評価すべきでない」と答えた。

 民進党の井坂信彦衆院議員の試算結果に基づき、ポートフォリオを変更しなかった場合は損失は5千億円程度で済んだのではないかと山井議員がさらに質問。GPIFの担当者は、「一般論としては、15年度について国内債券のリターンだけがプラスで、他の資産のリターンはマイナスなので、そこから至る結論は国内債券の比率が高いポートフォリオによるリターンがそうでないポートフォリオによるリターンより高くなるのが一般論だ」などと説明した。この返答を受けて山井議員は「これだけの改革をしておきながら結果がどうだったかを検証しないのは不誠実だ」と断じた。

 大西健介衆院議員も「長期で運用すれば大丈夫だという自信があるのであれば堂々と情報を出せばいい。国民が知りたがっている情報は出すべきだ」と指摘した。

 山井議員は、今年の4-6月の運用結果についても言及し、「新聞記事にも出ているがイギリスのEU離脱があり約5兆円の損失が出るのではと予測されている。となると昨年1年で5兆円、4月から6月で5兆円。1年3カ月で10兆円の損失が出ている可能性がある」と指摘。GPIFが4-6月の運用結果を発表する8月26日に再びチームの会合を開くと表明した。GPIFが6月30日に開いた運用委員会の議事録の提出も求めた。