枝野幸男幹事長記者会見

2016年8月30日(火)15時00分~15時17分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=mzQYf9oBq3c


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○台風10号について

【幹事長】
 私からは冒頭3点申し上げます。
 1点は台風10号です。過去にないルートで、東北に上陸する見通しです。大潮の時期の満潮とも重なるようです。高潮をはじめとして、前例のないルートであるということは、雨、風、その他前例のないことが予測されますので、政府あるいは自治体においても万全の対応をとっていただきたいと思っております。
 特に東京電力福島第一原発、風や水に大変弱い状況です。万全を期しているものと期待をしておりますが、政府においてしっかりと徹底していただきたいと思います。

○「4-6月期マイナス5兆円」年金積立金の運用損について

【幹事長】
 2点目、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。本年の4月から6月の3ヵ月間の運用損益、5兆円の赤字になったことが正式に明らかになりました。参議院選挙の期間中から私どもが指摘してきたことが正しかったということです。
 今回の発表で、安倍政権が(株式投資の)運用比率を引き上げてからの通算でも運用損益が赤字になりました。引き上げについて国民に十分な説明がなかったことを含めて、この問題については今後しっかりと国会で取り上げていかなければならないと思っております。

○幹事長就任から2年を振り返って

【幹事長】
 最後に、幹事長として最後の定例会見になります。岡田克也代表のもとで1年8ヵ月。その前、海江田万里代表のもとで幹事長をお引き受けしてからちょうど丸2年になります。
 この2年、どういう評価をされるかは、もちろん客観的に外からされるものだと思っておりますが、2年前、海江田さんから「幹事長を」という要請を受けまして、お受けをした時の私の意識は、「このままではこの党は消えてなくなってしまう」という強い危機感でした。とにかく、この党を消えてなくならせないことのために役に立つのであれば、ということで幹事長をお引き受けしたのが2年前です。
 いろいろな評価があろうかと思いますが、民進党という形で発展的に前に進んで、間もなく始まる代表選挙でも、どうしたらもう一度政権に戻れるのかという議論が交わせる、そういう状況にすることはできたと思っています。少なくとも2年前に抱いていたような、この党が消えてなくなるのではないかという強い危機感に迫られる状況ではなくなった。2年かけてそこまでか、という評価もあるだろうとは思いますが、私は、ああいう最悪の状況から抜け出すことができたことについては、一定の、自分なりには納得しているつもりでおります。
 ただ、次の執行部、今後の党内においては、今回の参議院選挙でも、やはり日ごろの地域活動、足腰をしっかりとしている地域では、やはり1人区でも競り勝つことができました。もちろん選挙はいろいろな事情がありますから、しっかりと活動していても勝てなかったところはありますが、やはり我が党が政権を獲得するために必要なことは、風頼みの政党から脱却することだということを、2年間幹事長をやらせていただいて強く感じているところです。私は、この間の参議院選挙はどこにも風が吹かない状況でも1人区で勝てるという地域が一方であるということですので、ここから次の総選挙等に向けて一番やらなければいけないのは、地域における地道な活動だ、風頼みの政党から脱却することだというふうに、2年間幹事長をやらせていただいて痛感するとともに、その足腰の強化が十分に果たせていなかったことについては大変残念だと思っています。
 2年前は、「この党がどうなるのか」という危機感で幹事長をお引き受けしたのですが、2年、幹事長という仕事をやらせていただき、今感じることは、民主党・民進党の危機が2年前でありましたが、この2年間で我々は最悪の危機的な状況からは、次のステップに向けて一歩踏み出すことができたと思っていますが、日本社会全体が危機的な状況にあると。野党がどうこうとか、政党がどうこうとか、政治がどうこうという、そういう次元の危機ではなくて、社会全体が危機的な状況にあると思っております。
 ザ・ブルーハーツの、(曲の歌詞)「弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく」社会に急激に加速しているという強い危機感を持っております。強い者にこびへつらい、弱い者に対して強く出るという、人間どうしてもそういう心理があることは間違いないですが、それはみっともないことだというのが私達の社会の前提だったはずでありますが、強い者にこびへつらい、弱い者をたたくということが堂々と行われる社会になってしまっていることに強い危機感を持っております。
 2年間、幹事長として党のために自分なりに頑張ってきましたが、新しい体制になったら、今の社会そのもののこの風潮と戦っていかないと、政治とか政党とかいう次元ではないフェーズにこの国は来ているという強い危機感を持っておりまして、そうした意味で、違う立場で頑張っていきたいと思っております。


■質疑

○幹事長就任から2年を振り返って

【朝日新聞・高橋記者】
 旧民主党の強い危機感という話があったが、昔ほどの強い危機感がなくなったと見られる要因はどこにあるか。時間が過ぎたのか、安倍政権の批判の受け皿として少しずつなってきているのか、どのあたりだとお考えか。

【幹事長】
 私は、とにかく耐えてきたことだと思っています。それは、岡田現代表はもとより、海江田前代表も含めて、一番厳しい状況の時にいかに耐える、我慢するかということを、海江田前代表も岡田代表もしっかりとされてこられた。それに党内、大方の皆さんが一緒にそろえて、耐えてくることができたということだと思っています。

【フリーランス・上出記者】
 冒頭で、具体的に参議院選挙で1人区で勝利した、これは風が吹いたわけではないのに勝利できたということをおっしゃった。これはある意味では非常に丸めた言い方になるが、やはり一般の人が、「安倍政権、何かおかしいぞ。野党、頑張ってくれ」という声が、野党共闘、名前はともかく、一緒にやることが今回できたことが、形としては非常に大きかったのではないか。今後の代表選等でどうなるかわからないが、その辺への評価をもう一度していただきたい。これは市民団体とか、解散したSEALDsとか、そういうことも含めた一般の人の声とどう向き合っていくのか、それとどう一緒にやっていくのかという今後の問題にもなると思うので、お願いしたい。

【幹事長】
 今のお尋ねへの直接のお答えは、党として参議院選挙の総括をまとめておりますので、それをお読みいただければと思いますが、いろいろな側面・切り口があって、1人区で勝てたところについて、今ご指摘のあった要素については、評価の程度は別としてもいろいろな見方はあるだろうと思いますが、一方で、今のような点だけであるならば、西日本であんなに負けるのはまた説明がつきません。なぜ東日本で勝ち、西日本で負けたのか。
 もちろん、繰り返し申し上げますが、負けたところが全部頑張っていなかったわけではないのですが、勝ったところと比較して、全体として見ればやはり日ごろの日常活動。特に、私は「保守層」という言葉は好きではないので、「一歩間違えれば自民党に入れていてもおかしくない層」というのが正確だと思いますが、そうした層に対してきちっと食い込んでいたのかどうか、それが大きくは、例外はあるけれども、勝ったところと届かなかったところを分けた。やはりそこは、風とか空中戦ではない、選挙の時だけではない、日ごろからしっかりと、一歩間違えたら自民党に入れかねない人達としっかりコミュニケーションしていく。これは1年、2年、3年、時間をかけて相当地道にやっていかないとできないことであると。僕は、ここがこれからの我が党にとって最も重要な点だと思っています。

○衆議院東京10区・福岡6区補欠選挙について

【毎日新聞・野口記者】
 東京と福岡の衆院補選の件についてだが、枝野さんは今日で幹事長としての会見は終わりになるが、新しい代表が決まるまでの数週間、他党との野党共闘のあり方や地元の選挙の応援態勢、そういったことについては今の体制でどういった方針でやっていくつもりか伺いたい。

【幹事長】
 「国会における対応や国政選挙等あらゆる場面でできる限りの協力を行う」というのが政党間の合意ですから、これは体制が変わっても継続されるものと思っていますが、「できる限り」の範囲については、まさにその時々の執行部の判断だと思っています。
 選挙の時期が迫ってきていますから、できるだけ早く判断する必要があるというのも一面でありますが、大変重要な問題でありますので、基本的には新しい体制のもとで判断していただくことだと思っています。

○築地市場移転問題について

【東京新聞・金杉記者】
 小池都知事が、築地市場の移転について延期する方針を固めたと言われている。そのことについてどのようにお考えか伺いたい。

【幹事長】
 そういう報道は見ましたが、正式な内容、あるいはその理由とか説明も聞いておりませんし、そもそもが、何といってもこれは都政の課題でありますので、埼玉県民たる私が申し上げる話ではなくて、都連や都議団でご相談いただく話だと思っています。

○築地市場移転問題について

【フリーランス・上出記者】
 あくまで参考ということで都知事選のことを伺いたい。自分は埼玉県民なので主要には都連で、とおっしゃった。いろいろな流れがあるが、我々が耳にする範囲で、もう小池さんが幾ら頑張っても、10月には結論を出してやらないと、次の道路の建設その他に、あるいはいろいろな利権が絡んでいてどうしようもない問題なので、東京都の“ボス”との戦いのパフォーマンスだけでは解決できないという声も強い。政府筋から聞くと、あれはもうそのまま行ってしまって、適当に小池さんが形をつくるだけなのではないかという声が聞かれる。これは結構重要な問題なので、その辺について何かあったらご所見を伺いたい。

【幹事長】
 都知事選挙そのものについては、これは東京に限らず知事選挙の公認・推薦は本部マターですので、本部の幹事長である以上は埼玉県民であっても関心を持ちましたし関与しましたが、まさに都政そのものの問題ですので、私は今のお尋ねにお答えできるほどの知見がありません。

○映画『シン・ゴジラ』について

【フリーランス・安積記者】
 昨日『シン・ゴジラ』をご覧になったということだが、先ほど、(党内で)政権復帰の議論もするようになったということだが、もし民進党政権ならば、ああいう生物が出た時にはどういう対応をとるべきだと思われるか。

【幹事長】
 どういうレベルでどういう話をしたらいいのか難しいのですが。
 あの映画を見て、1点だけ「違うな」と思ったのは、“鳥獣駆除”ですから、自衛権行使ではない、防衛出動ではないので、現行憲法の集団的自衛権を認めない従来解釈でも直ちに自衛隊に対応してもらえるものであります。そこでどういう武器を使うかというのは、それは猟友会の民間の皆さんもクマなどについては猟銃を使えるわけですから、まさに必要に応じて。現に国民の命が危機にさらされている状況ですから、ということについては、「あれ?なんであんなに手間取っているんだろうな」と、映画を見ながら思いました。