山尾志桜里政務調査会長は5日、連続上陸した台風や大雨の影響で河川の堤防が決壊し、食品加工場の操業停止や農業被害など道民生活に大きな影響が出ている北海道中央部の南富良野町を訪れ、災害状況について池部彰町長、JAふらの植﨑博行組合長らから説明を聞き、被害地域を視察するとともに、土砂出しなどに取り組むボランティアを激励した。視察には、党北海道連の2016年台風等災害対策本部長である佐々木隆博衆院議員、副本部長の鉢呂吉雄参院議員らも参加した。

町長から説明を受ける民進党視察団

町長から説明を受ける民進党視察団

 池部町長は、農協とともに町が誘致した湖池屋のポテトチップス工場のシレラ富良野が甚大な被害を受けたことを受け、まずその復旧への支援を強く求めた。「シレラは農業の6次産業化の最たるもの。富良野でとれたイモを使って製品を作り、それによって農家所得が上がってくれればいいとの農協組合長の考えから始まり、町の存亡をかけ過疎債を使って工場建設に協力した。実際、南富良野町でもかなりの雇用が生まれた。このような大変な状況にあっても農家は、食用・加工用のイモを作らなければならない。復旧するために皆さんの力を借りて何とかしたい」と力を込めた。

 湖池屋から委託を受けて工場を操業してきたJAの植﨑会長は「工場では130人を雇用しており、それを切るわけにはいかない。再開まで人件費がかかるが、浸水で1階の機械が全滅で全く手をつけられず、再開の見通しが立てられない。機械は食品を扱っているので、水で洗っただけでは使えない。工場内の2000万円ほどの製品がグチャグチャになっている。この地域は全道に種イモを供給する産地だが、多くの畑が河川に流され原型をとどめておらず、被害状況を把握できていない。来年に向けてどれくらい出荷できるかも不明だ」などと深刻な被害状況に懸念を示した。

被害状況を説明するJA組合長

被害状況を説明するJA組合長

 これ以外にもニンジン畑や林業でも大きな被害が出ているうえ、牧場の牛約900頭が孤立していると報告した町長は、「こんなことは今までなかった。それだけ温暖化が進んでいるということであり、北海道でも気候が熱帯的な状況に変わってきていると言える。今まで想定していたこととは違うことが起こりうると考えて対応していかなければいけない。このような状況を踏まえ、何とか激甚災害の指定をしていただけるよう山尾政調会長をはじめとする民進党の皆さんにもお力添えをお願いしたい」と要請した。

 山尾政調会長は、「現状の回復・復旧ではなく、もう一度町を再生するための復興が皆さん共通の思いだということが心に残った。民進党としてもその要望を実現できるよう努力していきたい。今まで予想したことのない事態に見舞われた北海道の皆さんの思いに応えるため、前提が変わってきていることを踏まえ、地元の皆さんの思いをくんで再生に向けた後押しをしていきたい」と語った。党道連の佐々木台風等災害対策本部長は、「明日の党本部の台風等災害対策本部で皆さんの要望をしっかり報告する」と応えた。

氾濫した空知川

氾濫した空知川

土砂で埋まったポテトチップス工場内

土砂で埋まったポテトチップス工場

川の氾濫で流された畑跡地

川の氾濫で流された畑跡地

土砂出しに取り組むボランティアを激励

土砂出しに取り組むボランティアを激励