民進党は7日午後、党代表選挙管理委員会主催の北陸信越ブロック候補者集会を長野市内で開催した。前原誠司、玉木雄一郎、蓮舫の3候補は約300人の党員・サポーターらを前にそれぞれの決意、民進党のあり方、目指すべき社会像について所信を表明。候補者相互の質問、ゲストスピーカーの発言や会場からの質問に対し、それぞれ見解を力強く述べた。

 候補者間の質問では、「低迷する個人消費をどう活性化するか」「昨年成立した安保法制の白紙・廃止を求めるか」「憲法9条のあり方」が取り上げられた。会場の参加者からは「TPP協定の問題点と今後の対応策」「若い有権者の支持の高め方」「アベノミクスに対抗する産業政策のあり方」「政権を取るための軸となる重点政策」といった質問があった。

 ゲストスピーカーである「フードバンク信州」の美谷島越子氏は、子どもの貧困問題をテーマに発言した。「今、貧困問題が見えない。貧困の方や弱い立場の人はSOSを出しにくい状態にあり、声なき市民になっている。声がないからそれでいいのか。そうではなく、そういう方を見逃さない仕組みが必要だ。最近はやっている子ども食堂のように固定した人が活動を継続するとともに、子どもたちと直接関われる場をしっかり作っていくことが大切だ。それを公的機関とも協力して進めたい」と問題提起した。

蓮舫候補

 これに対して蓮舫候補は、「全く同じ問題意識を持っている。現場で聞くのは、『貧困が見えなくなった』ということ。それはなぜか。洋服、携帯電話が安くなり、昔と違って今は見た目では分からない。恥ずかしいから(家庭事情を)言わない。夏休みに食べられず、休み明けに痩せてくる。給食に重きを置くべきだ」と強調した。それに加えて3割を超える消費期限前に手つかずで捨てられる食品などをフードバンクで活用できる手立てを考えるべきだと訴えた。

前原候補

 前原候補は、「朝夕のご飯を食べられない子どもが現実にいる中でサポートしていただいていることに心から感謝申し上げる。美谷島さんらのフードバンク事業が公的機関ではなくNPOで行われていることは良いことだと思う。なぜなら公的機関はだれに渡すかということの基準を決めなければならないが、外見では分からず、判断基準も難しいからだ。NPOで自由にやっていただいて、それに補助を出したり、寄付金税制を拡充したりして支援することだ大事だ」と述べた。

玉木候補

 玉木候補は、子どもの朝食が乱れ、それが生活習慣病や糖尿病の前段階にある子どもを増やしている現状がある中で、美谷島さんらのフードバンク事業について「非常に大切だ。こうした活動は民間だからこそ生きる。公的機関がやろうとすると、一定の所得水準以下の証明、すなわち貧困の告白を対象者に求めることになる。こうした民間事業を寄付税制などで支援するとともに、その活動の人件費を公的支援の対象にしていきたい」などと語った。

 集会前には、JR長野駅前で街頭演説会を行い、それぞれの候補者が目指す政治と社会について広く訴えた。集会や演説会の司会進行は代表選挙管理委員会の神本美恵子委員長をはじめ、吉川沙織、石上俊雄、升田世喜男の各選管委員が務めた。

候補者集会