民進党・蓮舫新代表記者会見要旨

2016年9月15日(木)16時13分~16時40分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=iVD_IK-7ftw


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○民進党新代表に就任

【代表】
 先ほどの党大会で代表に選出されました蓮舫です。
 これから先、この民進党をしっかりと選択していただける政党につくっていく。私たちの政策も、対案もあります。人材も、その人達の能力も保証されたものだと思っていますので、信頼を一つずつ積み重ねていくことのできる政党にしていきたいと、あらためて思っております。


■質疑

○党勢回復に向けて

【共同通信・関記者】
 代表選出が今日決まった。与党・自民党と比べて支持率が伸び悩む民進党を、具体的にこれからどう変えていくのか。代表として、まず最重点として取り組むことは何なのか。安倍政権との対立軸をどう示すのか、伺いたい。

【代表】
 信頼がなければ、支持率にはつながらないと思っております。一つずつ時間をかけて丁寧に。そして信頼される政党にしていきたいと思っています。
 当面、臨時国会が始まろうとしておりますので、政府が提出している補正予算に対して、しっかりと精査をして、同じ財源であれば、このお金の使い方で本当にいいのか、選択肢を示すような、そういう国会論戦ができる準備にすぐ入りたいと思っています。
 また10月23日に補欠選挙が、東京10区・福岡6区、我々は鈴木庸介候補予定者・新井富美子候補予定者、すばらしい候補予定者を立てていますので、しっかりと勝っていけるように、議員全員で応援していく態勢を早々に整えていきたいと思っております。

【NHK・花岡記者】
 代表選挙中、NHKの世論調査では、民進党の支持率は8.3%と代表選が始まる前より低下した。一方、自民党は40%を超えている。彼我の差は5倍あり、二大政党制まではまだまだ道のりは遠いと思われる。先ほど、「信頼がなければ、支持率にはつながらない」とおっしゃったが、具体的にはどういったことが信頼回復には必要だとお考えか。

【代表】
 過去、私たちの先輩も、本当に支持率の低いところから一個ずつ頑張って、チャレンジをして、提案をして、そして政府の問題をしっかり指摘をして、2009年につなげたということがあります。
 もう一回初心に返って一つずつ積み上げていくことに尽きる。それが信頼につながるための行動だと思っていますが、やはり国民の皆様方にご注目をいただける場面というのは、国会での質疑であったり、あるいは党首討論であったり、あるいは10月23日の補欠選挙に向けて街頭でどのような活動・行動を展開していけるのか。その一つ一つが、随分限られていますので、大切にする形でしっかりと発信をする。
 我々が、批判だけではなくて提案をして、「政権とは違う、こういう考え方がある」ということを声高に訴えていく。このことをまず徹底していきたいと思います。

【ビデオニュース・神保記者】
 蓮舫新代表のもとでの民進党を一言で表現すると、どんな民進党になるか。そして、それはこれまでの民進党とどう違うのか、お聞きしたい。

【代表】
 「新世代の民進党」です。
 何も年齢ということではなくて、みんなが新しい世代をしっかりつくっていく。民進党の最初の代表選ですから、これを旗にしっかり掲げて、全員野球で前に進めていきたいと思います。

【フリーランス・畠山記者】
 今回の代表選だが、郵便投票の投票率が全国で40.89%しかなかった。投票率が一番高かったのが玉木さんの地元の香川で70.64%、次いで前原さんの地元の京都で62%。投票率が50%を超えたところが五つしかない。東京の場合は39.31%しかないということで、政党支持率以前に党員・サポーターの関心も低いと言わざるを得ない。これだと政権交代がかなり遠いのではないかと思うが、党員・サポーターの低投票率をどのように受け止め、今後どのような行動をとられるのか伺いたい。

【代表】
 厳しいご指摘、本当にそのとおりだと、甘んじて受け止めさせていただきたいと思いますが、各都道府県連において、それぞれの地域で投票率が低かった原因等は分析をしていただいて、それを寄せていただいて、次の代表選に向けて改善し得る点があるのかどうなのか、これは分析をさせてください。ありがとうございます。

【北海道新聞・津田記者】
 民進党は、自民党に比べて地方組織が弱いという現実があると思う。また、選挙では無党派層を頼りにする選挙をしてきたとも言われている。これから、どうやって支持基盤を広げて地方組織を強化していくのか伺いたい。

【代表】
 やはり都道府県連の改革、これは岡田前代表も、見えない部分でも相当力を注いできました。これをより一層、強力に進めていきます。
 あわせて、自治体議員の数が現政権と比べて絶対的に少ないわけですから、一人でも多くの方に手を挙げていただける、そして手を挙げた方に一人でも多くの方に当選をしていただける。これは地方組織改革と一緒にやるべき課題だと思っています。

【産経新聞・徳納記者】
 最近、僕ら若者の政治に対しての関心が大変薄くなっているが、そのような若者をどのように自分達の支持基盤に入れていくか、お考えをお聞きしたい。

【代表】
 わかりやすい言葉で伝えようと思います。難しい専門用語ではなくて、伝わる言葉で話しかけたいとこれまでも努力をしてきました。これからも代表として、ここの言葉には皆さんに伝わるような思いで話していきたいと思っています。ありがとうございます。

○「対案路線」について

【朝日新聞・高橋記者】
 新代表は「対案路線」を掲げているが、二つ伺いたい。
 一つ目は憲法だが、憲法審査会の議論を進めていくことで、与党は改憲項目を絞っていく意図があるかと思うが、そうした意図に乗せられてしまう懸念はないかというのが一点。
 もう一つ、各論だが、与党側はいわゆる共謀罪の提出を検討している。これについても対案を出すことをお考えか。過去に、民主党の時代には修正の話もあったかと思うが、その点を踏まえていかがか。

【代表】
 憲法審査会を去年から止めているのは与党ですから。我々は参議院で開かれた憲法審査会にも出ていますので、その部分は私たちはこれまでと同じように、立法府の一員として、開かれればしっかりと参加していきます。
 ただ、その先の、性急過ぎる論点整理であるとか、あるいは国民が一緒になって参加をする、あるいは関心を持つ、そういう(関心を)持たない中での与党の運営というのが想定されるのであれば、そこはやはり慎重に対応していくべきだと思います。これは国会対策運営上の戦術、テクニカルな問題です。
 2点目の共謀罪ですが、実際にどういう内容のものを提出してこられるのか、その中身の確認をしなければいけないと思います。その部分では、党内の法務部門を中心として党内で審議をして、どういう形で望んでいくのか、そこは議論したいと思っています。

【読売新聞・藤本記者】
 審査会が動けば参加するということだが、その前提条件みたいなものはつけるお考えか。
 また共産党は、(審査会は)改憲及び改憲の発議を審査する機関だ、合意に基づいて安倍政権での改憲反対という立場を貫いていただきたい、というような小池書記局長等からの要請があるが、それにはどうお答えになるつもりか。
 また、具体的な項目について伺いたいが、8月5日の出馬会見で、「憲法に対案はない。9条は絶対に守る」と示されている。9月7日には、第8章・地方自治をテーマに挙げられているが、具体的に党として見解をまとめる考えはあるか。その辺を伺いたい。

【代表】
 党として見解といいますか、3候補とも公開討論会の中で、回を重ねることによってだんだん意見が一致してきたのは、党内にもう一度調査会を設けて議論すべきではないかという声がありましたので、これは検討させてください。
 それと他党の皆様方から、憲法改正(反対の立場)を守ってくれという声は、私は今日代表に就任しましたので、どういうご要請をいただけるのか、これから考えさせてください。
 実際に私自身は、自分として8章への思い、あるいは自民党の提言に対して家族の項目に関して違和感を持つところは個人的にはありますが、党内としてはどういう意見があるのか。これは調査会を開く、開かないも含めて検討していきたいと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 蓮舫さんは「対案路線」を掲げているが、前原代表時代にやはり「対案を出そう」という路線を掲げられ、ご努力されたと思うが、その際に党内で、小沢さんを初めとして、批判をもっと強めるべきだという意見もあって、党内まとめるのに苦慮されていたと思う。「対案路線」を掲げる上で、その反省をどのように生かして党内をまとめていかれるか。
 また、「対案路線」を掲げると、共産党を初めとする野党共闘について、国会内での協力が少し難しいところがあるのかなと考えるが、その点はいかがか。

【代表】
 それはもう、「テーマによる」という一言だと思います。例えば閣内の不祥事であるとか、国民の皆様方に納得のされないような問題が起きた時には、それは対案前に問題の指摘、そしてなぜそういう問題があったのかの説明責任を求める。これはもう当然だと思っています。
 他方で、対案の内容にもよります。例えば安保法制に関しましては、やはり集団的自衛権行使の部分で憲法に抵触するということがありますので、これはやはり対案は出しますが、そことは一線を画するという部分で他の野党と協力をしてきた経緯がありますので、そこを大きく振り切っていこうという話ではないと考えています。

○台湾籍の除籍について

【フリーランス・安積記者】
 二重国籍について伺いたい。13日にこれについて説明されたが、その後で、一連の説明の仕方について党内で批判が出ている。「信頼を積み重ねる政党にしたい」「信頼がなければ支持率にはつながらない」と先ほどおっしゃったが、党内の信頼についてはどうお考えか。また、それを国民の信頼にどう結びつけていくのか伺いたいのと、代表選で選任されたことで“みそぎ”は済んだとお考えなのかどうなのか。

【代表】
 党内外に向けてやはり信頼していただくためにも、その都度しっかりと説明をしていきたいと思います。

【日本テレビ・原記者】
 国籍問題について、法務省が、一般論としながらも、日本国籍取得後も台湾籍を残していた場合は、二重国籍状態が生じて国籍法違反に当たる可能性があるという見解を示した。これについてどうお考えになるかということが一点と、これまでにこの問題について十分にご説明をされたとお考えかどうか、伺いたい。

【代表】
 私自身は、籍を放棄したとずっと認識をしていました。あわせて、今、放棄をする手続に入っていますので、その努力はしてきた部分も含めて、違法ではないと考えています。

○代表選挙での演説について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 蓮舫さんの演説もぐっときたが、やはり前原さんの演説はさすがだと思った。代表に決まった後の(蓮舫新代表の)決意表明で、前原さんから非常にたくさんのことを学んで、「All for All」の考え方は踏襲すると、あえておっしゃった。これは新体制でこの旗を、どういう形か知らないが、一つ掲げるという決意表明なのかどうか。その辺はどうだったのか伺いたい。

【代表】
 前原さんの考え方、国家観のあり方、民進党が目指す国家像、それは応分の負担と、それに見合う行政サービスをしっかり提案していくという考え方は、慶応大学の井出(英策)先生と一緒にした党内の勉強会で私も一緒に聞いていましたので、全く違和感はありません。
 あるいは、玉木さんがおっしゃるような「こども国債」という、ある種斬新な考え方も含めて、財源は行革だけではないんだ、いわゆる予算の振替だけではないんだという部分が、今回の代表選では新しい結実として一つ出たと思っているんです。
 この考え方をもって、今度指名をさせていただく政調会長には、その方向性でまとめていきたいのが私の意思だということを示そうと思っています。

【ウォール・ストリート・ジャーナル・大辺記者】
 本日の決意表明の中でもご自身の祖母やご両親のことを話されたが、台湾人とのハーフというために日本社会で生きていく上でこれまで苦労された経験や思い出がおありかどうかが一点。
 もう一つは、日本に来たい、住みたい、働きたいという外国人は多いと思うが、政策面で、外国人の労働者であるとか、参政権であるとか、何か具体的なお考えをお持ちかどうか伺いたい。

【代表】
 私は日本で生まれ育って、父に日本語と日本の文化・伝統を大変厳しく教えてもらいました。その部分では、私が生まれ育ってくる今日までの間で、何か特段の思いをしたということはございません。
 観光政策面では、今の政府が進めているインバウンド、これは前原国交大臣の時に我が政権で進めてきた政策ですが、これをもっと力強く打ち出していく部分は賛成をしています。ただ、研修生の制度、政府が法案を出そうとしている内容も、いま一度検討させていただきながら、どうすればこの国が「共生社会」「多様性」を訴えていくことができるのかは、私が今日代表にさせていただきましたので、党内で議論していきたいと思います。

【東京新聞・清水記者】
 今日の党大会の演説で前原さんが、自身の支持を訴えるべき演説で、異例とも言える自身の失敗について蓮舫新代表に語りかけた。リスクマネージメントに関してだったと思うが、率直にどのように聞かれたかということと、あらためて新代表になって気をつけていきたい点というか、前原さんから引き継いだ教訓をどのように自分の中で受け止めていきたいか伺いたい。

【代表】
 厳しい提言をくれる、いい先輩がいるなと、率直に感謝しました。リスクマネージメントも含めて、これから気をつけていかなければいけないという提言もしっかり受け止めました。これからいろいろな質疑をやらせていただく時にも、慎重に発言はしていきたいと思います。

【フジテレビ・森本記者】
 投票前の最後のスピーチでご自身の半生を語られた。おじい様の時代、おばあ様の時代、なぜ半生を話そうと思ったのか。意味合いはどんなところにあったのか。

【代表】
 今回の代表選挙もそうなのですが、私は気づいたことが一つありまして。今、13年目の政治家活動に入りましたが、自分のことをアピールする場所がこれまで実はほとんどありませんでした。自分の選挙でも(自分のアピールでは)3回くらいしかマイクを持たない。常に仲間のための、他の総支部長のための応援で日本を回っていて、人をほめることはよく、人のいいところを皆さんにお訴えすることはできたのですが。
 今回、私は自分で何をアピールすればいいのかというのが、実は一番恥ずかしくて、どういうふうにしていいのか悩んだところです。選対の仲間の議員達と議論をして、「蓮舫さんって、どんな人生を歩んでいたのか、どんな思いを持って政治家になったのかをみんな今まで聞いたことがないから、そこに重きを置いて話してもらえないか」という声をいただきましたので、その上で自分で考えて書き上げた原稿です。

○党人事について

【読売新聞・藤原記者】
 この代表選で争ったお二人を、政調会長含めて新執行部の要職で起用する考えはあるか。

【代表】
 人事はまだ白紙です。今回一緒に戦った方も、あるいは私の選対で中心として働いてくださった方も、それ以外の方も、今いる衆議院と参議院の現職の国会議員は、全員が大変専門性が高い、それぞれ能力がある。私は、やはりまだまだ勉強しなければいけないところ、足りないところがあると思っておりますので、その皆さんに支えてもらう代表でありたい。託す、委ねることができる代表でありたいと、途中でも話をしてきました。その部分では白紙の上で、誰が適任なのか、これはしっかり考えたいと思います。

○次期総選挙について

【ニコニコ動画・七尾記者】
 これは新聞報道だが、選挙期間中に民進党の有力議員から、蓮舫さんが代表になればすぐに衆議院を解散されるといった発言があった。これは置いておいたとしても、解散・総選挙はいつ起きてもおかしくないわけだが、新代表の心の準備はいかがか。

【代表】
 衆議院の解散は、まさに「常在戦場」ですから。しかも解散権は総理がお持ちですので、我々がどうこう言うものではありません。いつあっても、しっかり戦っていく態勢はすぐ整います。

○新潟県知事選挙について

【フリーランス・横田記者】
 原発再稼動に慎重な泉田知事が出馬撤回した新潟県知事選についてだが、昨日の朝日新聞に、民進党県連と本部が候補者擁立断念という記事が出ていた。このままだと自民推薦の再稼働推進容認候補が当選してしまう。こういう中でニュー民進党の蓮舫執行部として、泉田知事を引き継ぐ再稼働に慎重な候補を擁立する考えがあるのか伺いたい。前回は県連任せという考えだったが、その辺の意気込みを伺いたい。

【代表】
 まず、岡田前代表から、どういう経緯があったのか話をしっかり引き継ぎます。あわせて、新潟県連がどのような考えでいるのかまだ聞いていませんので、それを聞いてから考えを決めさせていただきたいと思います。

○参議院選挙制度改革・合区について

【山陰中央新報・大野記者】
 8月3日に、さきの参議院選挙で合区になった鳥取、島根、徳島、高知の4県連が党本部に対して、合区を解消してほしいと申し入れがあった。具体的には憲法改正か立法措置、そして3年後の参議院選挙までには必ず解消してほしいという文言が入っていた。自民党の中でも合区解消に向けて検証チームができたり動きがある中で、今後この合区問題についてどう取り組むか、考えを伺いたい。

【代表】
 自分達の県からずっと代表を出していたものが、2県一緒で1人となると、すごく複雑だという気持ちはよくわかります。
 ただ、一方で、地方の人口減少が相当なスピードで進んでいて、最高裁の「一票の格差」の判断もある中で、今の合区、鳥取・島根、高知・徳島、2年近くかけて参議院の中で、議長のもとで各党・各会派の会議体をつくって議論をしてきたものですから、そう簡単にこれを変えられるものだとも思っていません。
 政策として、今の政権が進めている「地方創生」、私たちは「地域活性」と言っていますが、人口が首都に集中しないように努力する、地方に人口が増えるような努力をしながらも、選挙制度は常に皆様方にご関心を持っていただける制度があるのであれば、これは各党・各会派に提案して議論を呼びかけていくべきだと思います。