大串博志政務調査会長記者会見

2016年9月27日(火)11時58分~12時10分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=44DsWt4TA34


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○蓮舫「次の内閣」の発足について

【政調会長】
 今回、政務調査会長を拝命しました大串でございます。どうぞよろしくお願いします。
 これから政調活動をしっかり始めていこうと思いますが、その第1弾として、昨日、常任幹事会で「次の内閣」の構成をご報告させていただきました。
 「次の内閣」のメンバーは見ていただいたとおりでございますが、考え方としては、ベテラン、中堅、そして次世代を担う若手にも一部入ってもらって、党としての長いスパンで見た人材育成も含めてやっていこうと、そういう考え方です。
 もう一つの考え方が、衆参の連携という意味で、衆参のバランスを考えました。さらには、女性の代表でもありますので、女性の皆さんにもできるだけ入っていただく。こういったことを考えて人選したところでございます。
 今日は政調の役員会も行い、役員の皆さんとも引き合わせをしました。
 第1回のNC(ネクストキャビネット)を今日の夕刻開きますが、今日はいろいろな当初の整理ごとだけをやっていくわけでありますが、政調の考え方としては、この間申し上げましたように、民進党としての政策を深める、深化する、そしてアップグレードする、これを部門を中心にしっかりやっていってもらうことが一つ。
 もう一つは、日々の法案対応・部門活動に関して熟議を尽くして決着をつけ、熟議を尽くして決着をつけているからこそ、国会において一致団結した行動に結びつく。こういう組織的に動く政調。この2点を重視しながら頑張っていただきたいと思っております。
 そういう意味で頑張っていきたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いします。


■質疑

○労働政策について

【テレビ東京・山本記者】
 今国会で政府は「働き方改革」を目玉にして、今日から官邸では「働き方改革実現会議」がスタートするようだ。これまで民進党が掲げてきた長時間労働の是正等、目指す方向性については一致するところもあるかと思うが、どう評価されるか。
 一方で、大きな方向性には賛成であったとしても、課題はどのようなところに感じるか伺いたい。

【政調会長】
 今言われた、「大きな方向性として賛成する」ところまで行っているかどうかも、正直申し上げて疑問です。
 まず第1に、安倍総理は「『世界で一番企業が活躍しやすい国』を目指す」ということを標榜されて、今でもそれを取り下げていらっしゃらないと思うのです。こういった観点からすると、企業がいかに使いやすい人材をつくっていくかということの法改正なり制度改正が先に来てしまうのではないかという危惧があります。
 今日の代表質問も聞いていただけたらと思いますが、本当に働き方を改革して皆さんが安心して働ける世の中をつくっていきたいということであれば、派遣法改悪などは即刻見直すべきだし、あるいは「残業代ゼロ法案」、労基法(改正案)のうちの高度プロフェッショナル制度、あるいは裁量労働制の拡大、あの辺のことは取り下げますというのが筋ですね。
 百歩譲ったとしても、それ以外の、例えば長時間労働規制、あるいは同一労働同一賃金をやっていくのであれば、それらとも合わせてやっていくというふうにしてもらわなければいけないですね。企業が使いやすい人材をつくるところだけ先にやって、例えば長時間労働規制に関しては、今後どういう物言いになってくるかよく見ていきたいと思いますが、本気でいつまでに何を、法改正まで含めてやっていこうとしているのか、極めて疑問です。同一労働同一賃金に関しても、ガイドラインをつくるということは言われているようですが、ガイドラインで終わってしまうのではないかという危惧すらあります。
 こういった意味で、本当に今働いている方々が、非正規の方々も含めて、「雇用が不安だな」と思っていらっしゃることに対応していこうとする「働き方改革」かというと、やはりそうではなくて、まやかしに近いと私は思っています。

【テレビ東京・山本記者】
 三六協定の見直しについては、どういった議論に、今回どういった評価をしているかということと、上限の設定や罰則についてはどのようにお考えか伺いたい。

【政調会長】
 三六協定の見直しについては、いろいろ政府は言ってはいるけれども、本当にやる気があるのか?と問いたいと私は思います。
 私達は長時間労働規制法案(「労働基準法の一部を改正する法律案」)を出しています。そこには、法律における上限規制も入れていこうということで、はっきり書いているのですね。総理が本当に長時間労働を規制し、なくしていこう、モーレツ社員をなくしていこうと言うのであれば、本当にそう思うのであれば、私達が提出している長時間労働規制法案をのんで国会で成立させていただければいいだけの話であって。
 私に言わせると極めてゆっくりしたペースで議論を重ねている今の「1億総活躍プラン」においては、2018年までかけて再検討という言葉だけですよ。2018年ってかなり先じゃないですか。それまでに再検討、ということしか今言っていないのですね。これは本気でやろうとしているとは、私は全く思えません。
 だから先ほど申しました、安倍内閣がやろうとしている「働き方改革」はまやかしだと私は思っています。

○「対案路線」について

【日本経済新聞・宮坂記者】
 臨時国会について伺いたいが、昨日開会し、今日も代表質問に政調会長自ら臨まれるが、その中でも民進党の掲げている「対案」等を強調されると思う。政調として、これからの臨時国会、どういうふうにそれを下支えしていくのか。そういう目指す目標を伺いたい。

【政調会長】
 機会をとらまえて、蓮舫代表のもとで私達が目指そうとしている社会像は主張していきたい。これは蓮舫代表の発信力も生かしながら発信していきたいと思います。
 「アベノミクス」を標榜している安倍政権に対して、私達は、安心することで消費が伸び、需要が伸び、経済も伸びていく。その安心をつくり出すために「人への投資」を一生懸命やっていくのがまず大事だと。こういった、かなり対極に近い考え方の「安心の好循環社会」というのを言っています。
 こういったことをしっかり発信していきたいと思いますし、これに実態を添えていくだけの対案。例えば私達で言うと、介護人材の給与引き上げ法案(「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」)や、あるいは保育における給与・待遇の改善法案(「保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法案」)等も出してきましたが、棚ざらしにされ、否決されと、こういう状況にあります。長時間労働に関しても全然、与党はまだ受け合おうとしない。こういった状況なので、どんどんそれらのことを一つ一つ対案として示して、社会像の違うところを具体的に示していきたいなと思っています。

○TPP和訳不備・SBS米高値取引について

【共同通信・野見山記者】
 TPPに関して、文書の和訳に不備が見つかり、外務省は正誤表で対応しようとしているが、この件の受け止めと、今後、政府にどういう対応を求めるか伺いたい。

【政調会長】
 これまでこの和訳に関する外務省の対応は全くひどいもので、2015年10月に大筋合意がなされたにもかかわらず、国会が始まろうとしているにもかかわらず、和訳の原型が私達野党側も含めて届けられたのは、思い出していただくと、2016年1月の当初の衆議院予算委員会が始まる前の晩。夜8時くらいでしたかね、その時にポンと外務省のホームページに、和訳ができましたと載ったんですね。去年の10月からずっと、「合意が成ったのならば早く和訳を出してくれ」と言い続けてきたにもかかわらず、予算委員会の、私、冒頭質疑に立ちましたが、準備をしているその前の晩のギリギリに和訳を出してくるという、私達からすると極めて姑息な和訳の提出をやってきました。
 そういう意味では時間は十分にあったにもかかわらず、今回、18ヵ所ミスがあるということです。しかもその中には、例えば原産地規制のあり方を含めて、食の安全等々、今回TPPが幅広い影響を国民生活に及ぼすのではないかと危惧されている点に該当する分野もあります。普通に考えるのであれば、これだけ国民生活に大きく影響を与える協定案の内容に18ヵ所も誤りがあるというのであれば、出し直しです。
 こういったことも含めて、国会でしっかり審議できる環境をつくるべしというのは強く訴えていきたいと思います。
 もう一つ、TPPに関して加えて言っておきますと、その問題だけではなくて、コメのSBS取引(国の管理下で行われる輸入米の「売買同時入札」)における輸入実態。輸入価格の、農水省の不正確な報告、あるいは国民に対する不正確な説明というのが明らかになってきています。
 「調整金」の還流というものが、報道されているように民-民の取り扱いなのかもしれません、そこはもう少し実態解明を待ちたいと思いますが、百歩譲ってそれが民間実態であったとしても、TPPとの関係で言えば大切なのは、SBS米が本当に安く国内に流通していなかったのか、という点です。
 政府はこれまで、SBS米は国産米と価格において大差ありませんということを繰り返し述べ、だから今回TPPでSBS米の最大輸入枠が広がっても影響はありませんと言ってきました。この輸入米の価格が高値に偽装されていたということであれば――「偽装」という言葉はよくないのかもしれませんが、人為的に高値に操作なり表されるなりされていたのであれば、農水省自身が説明を偽装していたということになりますね。
 これはTPPの中の、農業の重要5項目の中の極めて大きな部分を占めるコメに関する根幹ですから、国会で審議していく前にこの点はきっぱり明らかにしてもらわないと、審議をしていくにもなかなか進まないのではないかなと思います。