衆院予算委員会で4日午前に開かれた安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議で、民進党の3番手として質問に立った初鹿明博議員は介護の問題を取り上げ、軽度の要介護者に対する生活援助サービスの削減に踏み切ろうとする安倍内閣の基本姿勢等について追及した。

 初鹿議員は「アベノミクスの肝いり政策のアベノミクス新3本の矢の三つ目にあたる介護離職ゼロと女性の活躍」について、掲げている目標と実際に進める政策とが真逆だと冒頭で指摘し、安倍内閣が要介護1・2に対する生活援助サービスや福祉用具貸与等について給付の見直しを行おうとしている点について、「介護サービスを縮小され、ヘルパーさんに依頼していた介護が受けられなくなるのであるから、それがどうして介護離職ゼロに向かっていくのか」と強い疑念を表明。介護支援を縮小しながら介護離職ゼロにつながる理由の明示を求めた。

軽度の要介護者に対する生活援助サービスの削減の問題点

 安倍総理は「介護保険は高齢者の自立を支援し介護の従属化を防ぐことを理念に掲げている」「これまでも累次の改正を行ってきた」「今回の見直しの検討は介護離職ゼロを実現するため制度の持続可能性を確保する」「大切なのは持続可能性」などと繰り返し答弁。「軽度の要介護者等の生活援助サービス等の支援の在り方は介護保険の理念を踏まえつつ、厚生労働省の審議会で検討している」などと語ったが、初鹿議員の問いには正面から答えなかった。

初鹿議員

 初鹿議員は、2015年4月の介護保険法改定後に認知症の要介護者を抱える当事者家族から寄せられた、要支援が介護保険給付から外れたことで生じた窮状を訴える声を紹介。「自分が倒れたらどうなるか不安」「制度改悪は納得できない」「市町村で制度に格差があるのは納得できない」「介護者が病気や高齢になったとき心配」「月7万円の負担増。年金だけでは生活できない」といった深刻な声があると語り、「実際に介護をしているご家族はこの改定で非常に困惑しているし、生活が困窮している」とその実態を問題視した。

 初鹿議員は、要介護1・2で認知症の場合は特に徘徊の心配が高いので、生活援助サービスを打ち切られれば見守り続けることを強いられ、家族の負担は増し、確実に介護離職を増加させるとの認識を示し、サービスが打ち切られたとき、だれが生活援助を行うのか問うた。安倍総理は「検討中であるのでサービスを切ったことを前提にした答えはできない」などと開き直るだけで真剣な答弁はなく、要介護者やその家族に寄り添う姿勢は何ら見られなかった。

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