民進党の小山展弘衆院議員は4日夜、衆院本会議での2016年度第2次補正予算の採決に先立ち、会派を代表して反対討論を行った。

 小山議員は冒頭、政府・与党が今国会で成立させようとしている法案について立て続けに懸念を表明した。年金改革法案については「10年間で5%程度もの大幅な減額になる可能性があるとんでもない年金カット法案」と断じ、また、安倍政権が検討している要介護1・2の生活援助サービスの全額自己負担化については「介護離職を増やし、女性活躍推進に逆行することは明白」、残業代ゼロ法案と言われる労働基準法改正案については「長時間労働を助長する労働基準法の改悪そのもの」とした。

 続けて閣僚の資質の問題点にも触れ「かつて『日本の核保有を国家戦略として検討すべきだ』などと述べた稲田朋美大臣は、発言を撤回することもなく、曖昧な答弁に終始するばかり。その上、防衛政策に関する基本的な質問に正面から答弁することができず、防衛大臣としての基本的な資質に欠けている」と批判。「先の通常国会でUR都市機構にからむ口利き疑惑が浮上しながら説明責任を果たさないまま逃げ続けた甘利大臣に加え、今国会では山本幸三地方創生担当大臣の口利き疑惑まで明らかになった」と閣僚の「政治とカネ」の問題についても触れた。

小山議員

 SBSコメ価格偽装問題についても、まともな資料が出てこないことを指摘。TPP特別委員会の理事であった福井照議員がTPPを強行採決で実現すると述べたことについては「与党のおごりと言わざるを得ない」と厳しく批判した。また、安倍総理が2012年の総選挙でTPP反対を掲げたことにも触れ「反対であったのが強行採決とは国民を愚弄するにもほどがある。米国大統領選挙の動向を見極めもせずに拙速にTPP承認を求めることは明白に公約違反」と指摘した。

 経済については「日本銀行が、2年で前年比2%の物価上昇目標を放棄し、アベノミクスの第1の矢で起きているのは悪い物価上昇、実質賃金の低下による消費低迷」としたうえで、「安倍政権が倒産件数が減ったと胸を張っているが、自主廃業件数は過去最高の水準にある」と小山議員は実体経済は良くなっていないことを指摘した。さらに「安倍総理は『こびりついたデフレマインドの払拭は簡単なことではない』として、『道半ばだ』と繰り返すが、『もはやデフレではない』のなら、とっくに、消費、投資、企業収益、賃金の全てが上向き、経済は軌道に乗っているはず」と政府の経済政策の矛盾を指摘したうえで「アベノミクスなるものが道半ばなのではなく、根本的に間違っているからではないか」と疑問を呈した。

 今回の補正予算に盛り込まれた経済対策については「目立つのは旧来型の大規模な公共事業ばかり。総理は以前、地方の活性化には時間がかかるから、一時的に大規模財政出動が必要と説明していたが、安倍政権の誕生からすでに4年たった。一時的であるはずの大規模財政出動がまだ必要というのは、アベノミクスなるものの破綻の何よりの証左」と断じた。

 最後に小山議員は、「われわれ民進党は、野党第1党の使命として、安倍政権をしっかりとチェックする。そして、日本経済を真に再生するには、個人消費の回復とともに、個人の能力発揮を促す環境をつくりだす必要があるとの考えから、給付型奨学金の創設、保育士・介護士等の給与引上げなど、『人への投資』にかかる数々の具体策を提案してきた。今後ともこうした提案を重ね、自民党に代わり、政権を担い得る政党を目指し、国民一人ひとりの生活が安定し、安心して暮らせる、安心して働くことができる環境を守ることを国民の皆様にお約束する」と述べ討論を締めくくった。

PDF「2016年度第2次補正予算に対する衆院本会議反対討論」2016年度第2次補正予算に対する衆院本会議反対討論