細野豪志代表代行記者会見

2016年9月30日(金)17時15分~17時41分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=a4WKXLpwPJo


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院予算委員会・初日の議論を終えて

【代表代行】
 今日は予算委員会の初日ということで、まずその感想から申し上げたいと思います。
 一言で言うならば、丁々発止のやりとりができるという意味では今日が初日なわけですから、その中で野党としての存在感を出せるかどうかということが、今日最初に問われたと思います。
 私からはそれぞれ、憲法、さらには生前退位、政府のおごり、そのあたりについて質問し、江田憲司代表代行のほうは経済を中心にやると。そして、その後は南スーダンの問題、さらにはオリンピックのさまざまな問題、TPPの、前提を欠くのではないかという趣旨の質問。それぞれ非常に鋭い質問をしていたのではないかと思います。
 民進党として提案すべき部分と、しっかりブレーキをかける部分のバランスをとりながら、まず1日目、全体としていい戦いができたのではないかと思っています。一言で言うならば、野党第1党としての「民進党、ここにあり」ということを示せた一日だったのではないかと思っております。

○衆議院予算委員会・憲法をめぐる議論について

【代表代行】
 私の質問についてコメントすると、憲法の部分ですね。どうしても承認するわけにはいかなかったのは、憲法の条文について総理が答えないということを認めてしまうと、これから予算委員会、さらには党首討論、あらゆるところでの憲法の議論が全て封じられる形になるわけです。
 もちろん、私も憲法審査会の委員ですので、そこでの議論については積極的にやりたいと思います。ただ、自民党総裁である安倍総理が一切答えないということをあそこでのんでしまったら、その後はその議論の機会が奪われます。したがって、決して(安倍総理の)あの答弁を認めるわけにはいかなかったということです。

○衆議院予算委員会・生前退位をめぐる議論について

【代表代行】
 生前退位につきましては、内閣法制局長官から非常に有意義な答弁が得られたと思います。すなわち、生前退位を制度的に認める場合についても憲法改正は必要ない、皇室典範の改正でできるということです。一方で、1代限りでやる場合につきましては特別立法も可能だということがわかりました。大まかに言ってその二つの選択肢があるということになろうかと思います。
 時間が足りなかったので私のほうからは発言できなかったのですが、有識者会議で議論していただくのは結構だと思いますが、一言申し上げておかなければならないのは、有識者会議の有識者というのは、全国民を代表してはいません。天皇制というのは「国民の総意に基づく」という形になっていて、憲法43条で「全国民を代表する」とされている我々国会議員の責任は極めて重いと考えます。国民を代表していない有識者会議の出すさまざまな結論なり方向性なりを鵜のみにするだけであれば、まさに憲法の趣旨にのっとる形で我々が天皇制というものを考えることになりませんので、そこは国会の議論が極めて重要だと思います。
 今日、最初のおおよその枠ができましたので、あとはその枠に基づいて、法的な枠組みの中でどういう選択をするべきなのか。陛下の「お言葉」というのはありますが、我々は立法府として判断していかなければなりませんので、その責任を全うしていきたいと思っております。
 また、民進党としてどういう議論の場所を設けるか。幹事長を中心にということになると思いますが、そこもしっかりと方向性を出していきたいと思います。


■質疑

○憲法をめぐる議論について

【読売新聞・上村記者】
 さっきの予算委員会でも幾つか出ていたが、憲法審査会で自民党の改憲草案をベースとするかどうかというやりとりが何回かあった。野田佳彦幹事長も、(草案を)撤回すべきだということをおっしゃっていたが、憲法審査会での議論に入っていくための前提条件はどのようにお考えか。

【代表代行】
 97条(の削除)も含めて、自民党案というのはベースとするには非常に問題が多い案だと思います。野田幹事長は「撤回」という言葉を使われて、私は「ベースとすることはできない」という言葉で申し上げました。趣旨は同じです。
 率直に言って、相当ぐらついてはきている。つまりベースとするのには足らないという自覚が自民党の中には少しずつ出てきているかなという印象はあります。ただ、党としては、メンツもあるだろうし、なかなかそれはできない中で、できるだけ柔軟にやっていきますということを発言していたというのが率直な印象ですね。
 おそらく予算委員会ではさらに議論を深めるということになるでしょうから、その中で憲法審査会での議論の環境をどう整えていくかということになろうかと思います。蓮舫代表も言っていますが、我々は憲法審査会での議論自体は積極的に応じるという立場ですので、どのような形になるのか、少しまず予算委員会(での議論)を見る必要があるのではないかと思います。

【毎日新聞・葛西記者】
 党の憲法調査会長に枝野幸男さんが内定したということだが、どのようなことを期待するかということと、調査会と審査会、どのように連携して党の考え方をまとめていくお考えか。

【代表代行】
 人事については、党としてしっかり決まるということが重要ですので、今の時点で私から「どなたがいい」とかいうことについてはコメントは控えたいと思います。
 代表選挙の時から蓮舫代表とはいろいろな議論をしていますが、我が党として憲法の議論をさらに深めていくというのは、当然やっていかなければならないと思います。既に(民主党時代にまとめた)「憲法提言」がありますが、党内でさらにどういったことをこれからやっていくのかということについても、議論を深める必要があると思います。
 当然、並行して憲法審査会がありますから、そこでの議論も行っていくということですので、(憲法調査会長に)どなたがなったとしても、その方針には変わりはないと私は理解しています。

【共同通信・田窪記者】
 憲法審査会の関連で伺いたい。自民党や日本維新は民進党に対して「対案を出せ」と言っているが、この対案について、はたして出していくのか。どういった考えか。

【代表代行】
 いろいろな議論を深めていく必要はあるでしょうね。そこはさらに、我々としてもそれが必要だと思います。
 ただ、公明党もそうだが、基本な考え方は我々ももうまとめているわけです、「憲法提言」という形で。ですから、その考え方をもとにいろいろな議論を十分できると思います。改憲草案をトータルにまとめていないから憲法の議論ができない、というのは全く、そもそも与党の中でまとめていない政党があるわけですから、我々に言う話ではないと思います。

【共同通信・田窪記者】
 審査会では対案を出しながら、積極的に議論をしていくお考えか。

【代表代行】
 いろいろな形があるのではないですか、そこは。

【東京新聞・我那覇記者】
 憲法調査会長の関係で、人事についてのコメントは控えたいということだったが、仮定の話として枝野さんになったとして、(幹事長当時の)7月の会見等で、安倍政権下での改憲については、立憲主義に対する共通認識がないままに議論はできないと。そもそも議論もできないし、改憲も認められないということだと思うが、党の考え方が調査会の中でまとまったとして、その後、安倍政権のもとでの改憲についてどういう姿勢で臨んでいくか、代行の考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 先ほどお答えしたとおりです。基本的な、党としての進むべき方向性というのは、誰が代表になっても変わらないと思います。「憲法提言」が既にありますので、それをさらに掘り下げていくということです。さらには、憲法審査会でしっかり議論に応じていく。これは蓮舫代表自身も明確に言っていることです。
 あとは人事について、今の時点で「この人ならどう」ということについては、やはり控えたほうがいいと思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 安倍首相の立憲主義に対する認識は相入れない、共通認識ができていないと、枝野さんや岡田前代表もそういう認識を示したことがあったかと思うが、代行としてはどうお考えか。

【代表代行】
 先ほど申し上げたとおりです。今日は97条の議論もしましたが、安倍総理ご自身の中で憲法について深い考察ができているな、という感じはしませんね。それは私も率直に感想としては持っています。
 ただ、議会という場所はしっかり議論していくことが重要ですから、(議論)そのものについてはしっかりやっていくことではないでしょうか。

○衆議院予算委員会・経済問題について

【時事通信・島矢記者】
 細野代表代行が、予算委員会の質問通告の中で、経済問題にも触れるということだったが、今日実際に質問がなかったのは何か理由があるか。

【代表代行】
 単なる時間切れです。経済、やりたかったのですが、(総理が)憲法についてほとんどお答えにならなかったので、そこで相当時間を浪費しました。
 少しだけ説明しますと、景気の現状認識、「好循環が生まれている」と(総理は)繰り返し発言しているのですが、生じているとはとても思えないですね。経済の好循環というのは、雇用が増えて、所得が増えて、そのことによって消費が盛り上がって、消費が盛り上がることによって、例えば製造業で言えば生産、サービス業で言えばサービスがまた盛り上がる、こういう循環が成り立って初めて「経済の好循環」ということになるわけです。そういう前提が全く整っていないにもかかわらず、強弁していると思います。
 さらに言うならば、仮に経済の好循環ができているのであれば、なぜ消費増税できないのですかと、こういう話になる。ですから、経済のそういう根本的な議論をぜひやりたかったし、我々の考える処方箋についても提示をしたかった思いがございますが、残念ながら時間がなかったということです。

○生前退位をめぐる議論について

【日本テレビ・古谷記者】
 冒頭で生前退位の議論についてお話があったが、有識者というのは全国民を代表しているわけではないので国会議員の責任は重い、ということだった。これは代行の考えの中で、有識者の考えをもとに政府が案を出してくるというよりも、国会議員の協議会のような場所で主体的に国会議員が議論をして、この特措法なり改正案なりをつくったほうがいいというイメージをお持ちなのか。

【代表代行】
 やり方についてあまり断定的なことを今の時点で私が言わないほうがいいと思うのですが、少なくとも私の今の時点での思いで言うならば、有識者会議に丸投げをして、そこで出た結論を国会で審議をするというのはおかしいと思いますね。もっと早い段階で、国会でも何らかの形でしっかりとした議論をすべきだし、こちらで出す結論が極めて重要だと思います。

【読売新聞・上村記者】
 生前退位について、特別立法での対応が可能との今日の法制局長官の答弁だが、代行自身は特別立法で対応することの是非についてはどうお考えか。

【代表代行】
 今日はどこまで自分の考えを述べるか、少し考えながらしゃべっていたのですが、あえて「個人的に」ということで申し上げると、陛下の思いというものを私なりにしっかり受け止めた上で、後は国会議員としての私の判断ということになるわけですが、やはり皇室の安定であるとか天皇制というものを考えた時には、この問題は1代限りで済む問題ではないと思います。健康を害した場合の社会の停滞、さらには陛下が崩御されることになった場合の、その後のさまざまな行事の問題、いずれも極めて重要です。そういったことを考えた時に、私は基本的には、生前退位の問題というのは1代限りではなくて、制度としてどう考えるのかという議論をやるのが本筋だと思っています。
 あとは党内でしっかりその辺を議論する必要があると思います。

○所信表明演説中の「自民党議員総立ち拍手」問題について

【NHK・相澤記者】
 今日(予算委員会で)細野さんも取り上げたスタンディングオベーションの問題で、議運理事会で民進党等が抗議した際に、自民党も「適切でなかった」として総理に伝えたということになっているが、今日の安倍総理の細野さんへの答弁や、今朝の高村副総裁の発言を聞いていると、議論がかみ合っていないと思うが、いかがか。

【代表代行】
 私もそう思いました。議運でのさまざまな結論なり、政府に対しての注意、それが伝わっていないと思いますので、そこは民進党の議運の理事にももう一回しっかり伝えたいと思います。
 午前中で切れましたので、午後は引き続いては質疑しなかったのですが、やはり総理は自らが権力者だということをもう少し自覚したほうがいいと思います。(今日の答弁では)「促していない」とおっしゃっていますが、「今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかければ、人事権も公認権も持っている最大の権力者ですから、それは自民党の議員が周りをキョロキョロ見ながら立つわけです。そこも含めて、最大の権力者がどういう姿勢で臨むべきなのかというところが、私とはやはり見解が違うなと思いました。
 かつては自民党の中には、ああいう時に(相手が)総理・総裁であろうともバシッと言う人がいたと思うのですが、今、残念ながらいないのではないですか。せめてもの救いは、大島議長が「ご着席ください」ということで明確に着席を求めた。あれは唯一の救いだと思いますが、残念ながら自民党の中にはそういう方が極めて少なくなっているということだと思います。だからこそ、今日の質疑もそうですが、我々野党はしっかりブレーキをかけるところはかけなければならないと思います。
 福井照さんの件(「TPPは強行採決で実現」発言)も、(特別委理事を)お辞めになりましたからこれで最後にしますが、あの映像を見ていますと、ご本人の発言もとんでもない発言なのですが、周りで笑い声が聞こえるのですね。つまりそういう雰囲気が自民党内に蔓延しているということだと思います。「国会、何するものぞ」というか、もう自民党が決めればそれで決まるんだと。「そこどけ、そこどけ、自民党が通る」という感じですよね。この環境は非常にまずいと思います。

○輸入米高値偽装問題について

【テレビ朝日・白川記者】
 今日の予算委員会で出たSBS米(国の管理下で行われる売買同時入札で輸入される米)について伺いたい。影響はあまりないと思うので、調査はしているが、あえて予算の審議等には影響を与えずに進めていきたい、という回答だったが、その点についていかがお考えか。

【代表代行】
 できるだけ事態を収拾したいということなのでしょうけれども、とても認めがたいと思います。
 これから、SBS米については、TPP(発効)ということになると枠がさらに広がるわけです。その制度の根幹が揺らいでいるし、どういう影響があるかもわからないのに、とてもではないが審議には入れない。これは当然のことだと思います。この問題を小さく見ないほうがいいと思います、やはり農家も怒っていますし。

○衆議院東京10区・福岡6区補欠選挙について

【共同通信・田窪記者】
 10月のダブル補選について伺いたい。告示日が11日と迫ってきた。民進党は衆議院北海道5区補選、参院選、都知事選と、共産党と野党共闘を続けてきたが、ダブル補選ではどうされるのか伺いたい。

【代表代行】
 政権選択の選挙ではありませんから、そこは若干性質の違いというのはあると思います。
 あとは、私も代表代行にはなりましたが、それぞれ担当というのもありますから、何でもかんでも私が口を出さないほうがいい面もあると思いますので。幹事長がいろいろお考えになっているところだと理解をしています。

○IR推進法案について

【日本経済新聞・林記者】
 IR(統合型リゾート)法案について、昨日議連が、自民党を中心に、今国会で法案を成立させたい方針を確認した。民進党は、民主党時代から党としての考え方をまとめた経緯はなく、党内でもいろいろな意見があり、旧維新の党は法案を提出もしているが、今後民進党としてこの議連の動きにどう対応していくか、どう党内の意見をまとめるか伺いたい。

【代表代行】
 そこはNC(「次の内閣」)が、個別の政策についてはしっかり議論するという形になりますので、大串博志政調会長のもとでしっかりとやってもらうということだと思います。

【日本経済新聞・林記者】
 細野代表代行自身は、IR法案のメリット・デメリットについてどうお考えか。

【代表代行】
 あまり私が言わないほうがいいでしょう。私もいろいろな方からヒアリングをしたことはありますが、これから党内でいろいろな調整もやっていかなければなりませんので、その調整を難しくしてもいけないので、と思っています。

○「対案・提案路線」について

【北海道新聞・金子記者】
 今回、蓮舫さんが代表になり、「提案型」ということを強調して今回の臨時国会に臨んでいると思うが、代表質問が終わり、今日から予算審議に入って、細野さんの今日の質問も含めて、今のところ「提案型」ということについてどのように評価されるか、どのように振り返られるかお聞きしたい。

【代表代行】
 これはバランスなんですね。
 政府・与党が暴走したり横暴をしている時に提案だけしてもだめなので、そこは正面からガチンとぶつけなければならないところがあります。ですから、スタンディングオベーションの問題もそうですし、あとは福井照さんの発言なども、あれを見過ごしていたら国会をやっている意味がありません。そういうところはきちっと指摘する。TPPの、SBS米の問題等もそうだと思います。
 一方で、私も心がけたのですが、パリ協定、温暖化の問題とか、さらには生前退位のところも提案をにじませたつもりです。そういった建設的に議論しなければならないところについては我々も提案していくことも重要だと思います。
 ですから、どちらかだけやっていても、野党として役割を果たしたとは言えない部分があるの。
 今日は予算委員会で、私も自分の時間だけではなくて他も、テレビで見たりしていましたが、与野党ともに非常に騒がしくなったり、いろいろありますが、やはり議会の緊張感は大事です。何となくまったりとしていたり、全体に緩んでいる雰囲気よりは、荘重と、閣僚も含めて緊張感を持って答えなければいけないという雰囲気になることは、悪いことではないと思います。客観的に見て、他の政党の質問と比べても、民進党の時間というのは委員会室に緊張感が張り詰めることは間違いないと思います。
 ですから、提案も必要、しかし一方でしっかりとブレーキをかけることも必要なので、そこのバランスをしっかりとりながら、国民の期待に応えるということだと思います。今日はその意味ではバランスはよかったのではないかと思っています。

○小池都知事による政治塾の立ち上げについて

【日本経済新聞・林記者】
 小池都知事が今日、「小池塾」の開講(の告知・募集)をした。小池新党という憶測も永田町には広がっていて、大阪都構想を唱える橋下さんとの連携や、今度の都議選では無党派層を民進党と奪い合いになるのではないかという懸念も広がっているが、細野代表代行はどう見ているか伺いたい。

【代表代行】
 小池知事を見ていて思うのは、豊洲の問題にしても、オリンピック・パラリンピックのいろいろな施設の問題にしても、「都民ファースト」ということでやっておられるのは非常に原則が明確でいいことだと思います。我々も見習うべき部分はかなりあるのではないかと思います。
 あとは新党どうなるかということになってくると、これはちょっとまた違う次元の話になってきますので、今の時点で私のほうから感想を述べる段階ではまだないかなと思います。

○代表代行の髪について

【フジテレビ・寺田記者】
 細野さんは久しぶりに髪を染められたと思う。今日が予算委員会審議の初日ということで、特別な思いだったり、心境の変化があったのだったらお聞きしたい。

【代表代行】
 1年半くらいですかね、当初は単に忙しくなった時期があってなかなか散髪に行けなかったら、だんだん白くなってきた。いろいろな人から「染めろ」「染めろ」と言われてきたのですが、そこそこの年齢にもなってきたし、これでいいかなということでそのまま染めずに来たのですが、代表代行にもなりましたし、いろいろな発言の機会も増えてくるので、気分を変えて、元気にやろうということで、それでこういうことになったということです。